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『上弦〜かぐや姫の謎〜』 作者:東山小駒 / ミステリ 未分類
全角1709.5文字
容量3419 bytes
原稿用紙約6枚
北東中学二年の月菜は、ある日親友の悩みを聞き、事務所に行く事を決意する。 しかし、親友が背負っているモノは、只者ではなかった・・・・!!?
 漆黒の闇に囲まれたこの世界で、ただ光りを頼りに生きる者が居た。
ただただ、光りを頼りに・・・・。

「じゃぁ、文化祭の劇はかぐや姫でいいですねぇ?」
 癖のある喋り方を持つ生徒委員会の委員長、刃科 健悟が話をまとめ、黒板にチョークで丸を描いた。
 多数の生徒が「はーい」と声を上げる。
 北東中学一年、蓮見 月菜もそれに倣った。
「月菜、かぐや姫に立候補すれば?」
 そういったのは、隣に座っている親友、源 美咲だった。
月菜はあいまいに笑いかける。
「うーん、私なんかよりは白百合さんのほうが似合ってると思うんだけど。」
 白百合とは、委員会の書記、長い黒髪の美しい少女だった。
「言えてルー。月菜ってどっちかって言うとガサツっぽいよね。」
 あはは、と笑いが起こる。
「かわいそー。月菜だってかわいいじゃーん。」
「やめてよぉ。」
「照れてルー!憎めない奴め!」
 そして、終業のベルがなる。
「はい、じゃぁ今日はこれで終りなー。」
 担任の西山が号令をかけて、生徒たちは帰りの支度を始めた。
「ネェ月菜、新しいゲーセンできたんだって!見に行ってみない?」
「うん、行く行く!」
 こんな風にして何時も終わる、幸せな日常を、取り壊したいものが居る。
自分達だけが哀れ。
 そう思っている人たちが、必ずどこかに居るのだ・・・・。
「ところでさー、見てよこれ!昨日の夜、急にケータイなってさー、見たら、メールが入ってたの!」
 月菜の目の前に差し出されたケータイの画面には、赤いデジタル文字で、こう書いてあった。
『あなたは、殺したいほどにくい人が居ますか?死にたいほど、悩んでいる事はありますか?
 ありましたら、こちらに電話してください。
  ‘*%−#&%−$〜&。

            尊いかぐや姫より』
「な・・・何これ。何が言いたいの・・?」
「何か気色悪いでしょぉ?やんなっちゃうよ。このメールのせいで私、昨日殆ど眠れなかったんだからぁ。それにね、聞いてよ・・・。」
「どうしたの?」
「昨日、寝ようと思ってね、ベットに入ったの。それで、しばらくマンガ読んでたら・・・子供の笑い声がして、窓あいてないのにカーテンがゆれたのよ!」
「え・・・何時?生きてる子供なんでしょ?」
「違うわよっ!13時だったのよ!?一般の子供なんて起きてるわけないじゃない!」
 月菜は悪寒が背中を伝うのを感じた。
・・・・死ね。・・・・・そういう運命なのだから・・・
「え!?」
 月菜はあたりを振り返る。
かどにも、何処にも人は居なかった。
「ちょっとぉ・・・どうしたのよ?・・大丈夫?」
「あ・・・声・・・聞こえなかった?」
「声?何のぉ?」
 月菜は悪寒が背中を伝うのを、じっと感じていた。
何かが、起こる。
 起こってはいけないことが、起ころうとしている。
「・・・ねぇ月菜、事務所・・行かない?」
「事務所?・・・何の?」
「あのね、知美から教えてもらったんだけど。『ロッカーキーパー』って言う事務所があってね、そこは幽霊とか、怪奇現象の相談を受け付けてるところなのよ。」
「怪・・・・奇現象って・・・・・・行くの?」
「行くしかないでしょう!?怖くて私今日眠れないかもしれないじゃない!」
 月菜は戸惑った。
ここで、私がついていったら。
 私まで、怪奇現象の的になってしまうかもしれない。
だけど・・・・・!
「うん、分かった。じゃぁ、行ってみよっか。」
「!!ありがとう月菜!!」

 十分後、付いたのはある某所だった。
「こんな汚いところが、事務所?知美、本当に住所あってるのかな・・。」
 月菜は、もはや耳を傾けてなど居なかった。
怖い。
 本能が、私に訴えかけている。
ここに居たら、だめだ。
 死ぬかもしれないのに。
「ねぇ月菜?入ろうよ。」
「あ・・・・・うん。」
 本能は、だめと言っている。
だけど、足はひとりでに動いていた。

「スペル、クライアント{依頼人}がきたよ。」
「やっとか。ククッ・・・今回の客はどんな魔物を連れてきたんだろうなぁ?」

 暗黒の扉は放たれ、万物の魂は開放された。
黒く、そこに輝く漆黒の星は、いったい何を照らしたというのだろう・・・。
2005/10/16(Sun)07:31:49 公開 / 東山小駒
■この作品の著作権は東山小駒さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 この作品にして、はじめまして、東山小駒です。
まだ小学生なので、至らないところもあるでしょうが、今後とも私の作品をよろしくお願いいたします。
 十月十五日  

          東山小駒
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