- 『上弦〜かぐや姫の謎〜』 作者:東山小駒 / ミステリ 未分類
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原稿用紙約6枚
北東中学二年の月菜は、ある日親友の悩みを聞き、事務所に行く事を決意する。 しかし、親友が背負っているモノは、只者ではなかった・・・・!!?
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漆黒の闇に囲まれたこの世界で、ただ光りを頼りに生きる者が居た。
ただただ、光りを頼りに・・・・。
「じゃぁ、文化祭の劇はかぐや姫でいいですねぇ?」
癖のある喋り方を持つ生徒委員会の委員長、刃科 健悟が話をまとめ、黒板にチョークで丸を描いた。
多数の生徒が「はーい」と声を上げる。
北東中学一年、蓮見 月菜もそれに倣った。
「月菜、かぐや姫に立候補すれば?」
そういったのは、隣に座っている親友、源 美咲だった。
月菜はあいまいに笑いかける。
「うーん、私なんかよりは白百合さんのほうが似合ってると思うんだけど。」
白百合とは、委員会の書記、長い黒髪の美しい少女だった。
「言えてルー。月菜ってどっちかって言うとガサツっぽいよね。」
あはは、と笑いが起こる。
「かわいそー。月菜だってかわいいじゃーん。」
「やめてよぉ。」
「照れてルー!憎めない奴め!」
そして、終業のベルがなる。
「はい、じゃぁ今日はこれで終りなー。」
担任の西山が号令をかけて、生徒たちは帰りの支度を始めた。
「ネェ月菜、新しいゲーセンできたんだって!見に行ってみない?」
「うん、行く行く!」
こんな風にして何時も終わる、幸せな日常を、取り壊したいものが居る。
自分達だけが哀れ。
そう思っている人たちが、必ずどこかに居るのだ・・・・。
「ところでさー、見てよこれ!昨日の夜、急にケータイなってさー、見たら、メールが入ってたの!」
月菜の目の前に差し出されたケータイの画面には、赤いデジタル文字で、こう書いてあった。
『あなたは、殺したいほどにくい人が居ますか?死にたいほど、悩んでいる事はありますか?
ありましたら、こちらに電話してください。
‘*%−#&%−$〜&。
尊いかぐや姫より』
「な・・・何これ。何が言いたいの・・?」
「何か気色悪いでしょぉ?やんなっちゃうよ。このメールのせいで私、昨日殆ど眠れなかったんだからぁ。それにね、聞いてよ・・・。」
「どうしたの?」
「昨日、寝ようと思ってね、ベットに入ったの。それで、しばらくマンガ読んでたら・・・子供の笑い声がして、窓あいてないのにカーテンがゆれたのよ!」
「え・・・何時?生きてる子供なんでしょ?」
「違うわよっ!13時だったのよ!?一般の子供なんて起きてるわけないじゃない!」
月菜は悪寒が背中を伝うのを感じた。
・・・・死ね。・・・・・そういう運命なのだから・・・
「え!?」
月菜はあたりを振り返る。
かどにも、何処にも人は居なかった。
「ちょっとぉ・・・どうしたのよ?・・大丈夫?」
「あ・・・声・・・聞こえなかった?」
「声?何のぉ?」
月菜は悪寒が背中を伝うのを、じっと感じていた。
何かが、起こる。
起こってはいけないことが、起ころうとしている。
「・・・ねぇ月菜、事務所・・行かない?」
「事務所?・・・何の?」
「あのね、知美から教えてもらったんだけど。『ロッカーキーパー』って言う事務所があってね、そこは幽霊とか、怪奇現象の相談を受け付けてるところなのよ。」
「怪・・・・奇現象って・・・・・・行くの?」
「行くしかないでしょう!?怖くて私今日眠れないかもしれないじゃない!」
月菜は戸惑った。
ここで、私がついていったら。
私まで、怪奇現象の的になってしまうかもしれない。
だけど・・・・・!
「うん、分かった。じゃぁ、行ってみよっか。」
「!!ありがとう月菜!!」
十分後、付いたのはある某所だった。
「こんな汚いところが、事務所?知美、本当に住所あってるのかな・・。」
月菜は、もはや耳を傾けてなど居なかった。
怖い。
本能が、私に訴えかけている。
ここに居たら、だめだ。
死ぬかもしれないのに。
「ねぇ月菜?入ろうよ。」
「あ・・・・・うん。」
本能は、だめと言っている。
だけど、足はひとりでに動いていた。
「スペル、クライアント{依頼人}がきたよ。」
「やっとか。ククッ・・・今回の客はどんな魔物を連れてきたんだろうなぁ?」
暗黒の扉は放たれ、万物の魂は開放された。
黒く、そこに輝く漆黒の星は、いったい何を照らしたというのだろう・・・。
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2005/10/16(Sun)07:31:49 公開 / 東山小駒
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■作者からのメッセージ
この作品にして、はじめまして、東山小駒です。
まだ小学生なので、至らないところもあるでしょうが、今後とも私の作品をよろしくお願いいたします。
十月十五日
東山小駒