- 『メール』 作者:瑠璃奈♪ / ミステリ ショート*2
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全角1727.5文字
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原稿用紙約6.35枚
重い病気を患った少女・涼子と突然、涼子と知り合った少女・朱実の織り成す殺人ストーリー
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この物語は、重い病気を患った一人の少女の話である―…。
何の面白味も無い毎日、話すのだってうざったい。
何もかも消えればいい。 ―― 最近はそう思う。一つの疑問が浮かぶ。
どうして世界はこんなに残酷で、たった一人の少女さえ助けてくれないのだろう―…?
―― ここは、歩道橋。今は午前3時だ。誰も、いない。
「ここから飛び降りたら死ぬのかなぁ…?」
ふふふと、涼子は笑う。背後ですっと人影が通る。
「死なないよ、電車に向かって飛び込まない限り。」
会話もしていないのに答えた。
「そっか、つまんない」
「だね。」
相手は見ず知らずの人なのに、会話を始める。
話題は、どうでもいいことだ。相手の名は朱実といい、涼子と同じ考えをしている。
珍しく涼子が他人と楽しそうに喋っている。いつもなら必要最低限のことしか言葉を交わさないのに。
「ねぇ」
「何?」
涼子は、朱実に一つ、教えてほしいことがあった。
「あのさ、メールアドレス教えてくれない?」
おずおずと聞く。
「別に…いいよ。」
―― この時から、二人はメールをするようになった。
とある街のホテル。涼子は誘われるがままにここへ来た。
相手の男によると、涼子としたいらしい。
「別にいいよ、…暇だし。」
適当に答えた。別にしてもいい、そう思っている。
部屋に、入った。いきなり涼子の制服を脱がすと、男は始めた。
涼子は思った。 こんなことして何がおもしろいんだろう。快感を味わいたいからか?
何故だろう?そもそも「これ」は子孫を作るためのだけのことではないか。特に理由も無いのにやって楽しいのか…? その間も涼子は、朱実をメールをし続けていた。
「ねぇ。あのさ、どうでもいいならそいつ、殺しちゃえば?」
そう、送信してきた。
「別にいいよ。こいつがどうなっても別にいいし。」
そう、返信した。
「んじゃ、今殺してよ。」
「い い よ」
そう…返信した。
涼子は、右手に自分のブラジャーのワイヤーを持つ。きゅっと拳を握る。
次の瞬間、男の首にワイヤーを回し、絞めた。男は、びくっと反応する。
必死に抵抗してくる。うざったいと思った涼子は、ブレザーのポケットの中に入れておいたナイフを片手に男に向かって振り下ろした。ぶしゃっと血が噴出す。涼子の顔についた。制服にも。
「汚い…。何こいつ、ムカつく」
男に思い切り蹴りを入れた。息はもうすでに、無い。
――3日後…――
涼子は早朝から朱実とメールをしていた。
「ねぇ、朱実さん。久しぶりに会おうよ。」
「いいわよ」
「んじゃ、あの歩道橋でいい?」
「うん」
メールを朱実から受け取ると、電源を消し、携帯電話を閉じた。用意を全て終わらせると、さっさと家を出た。
「…そっか。今日で朱実さんとのメールもおわりかぁ。寂しいな。ちょっと」
ふふふと、笑う。しかし、瞳は笑っていない。
―…何故か、ポケットにはナイフが入っている。
涼子は、歩道橋にいる。待ち合わせ時間まで後、10分。時計に目と通す。
「もうそろそろ…」
ポケットからナイフを取り出すと、手でくるくると回す。
「おぉ〜い!涼子さ〜ん!」
左の階段から朱実の声がする。涼子は、ナイフをポケットへと隠す。
「おっおまたせ!早かったんだね。ご免ね」
「いや、いいよ。私も来たばっかりだから!」
おきまりの会話。涼子はつまらなさそうにため息をつく。
「ねぇ」
「ん?何?」
「何じゃないよ!何のためによんだの?」
沈黙が走る。冷たい風が吹いた。朱実を声をかけようとすると、涼子がそれを遮った。
「…それは、私と一緒に死んでもらうためよ」
「え…?」
その瞬間、血が噴出した。それは涼子のものなのか、朱実のものなのか少しも理解できなかった。その血は…朱実のものだった。朱実は涼子に刺された。
「何…?」
朱実は状況を把握できていなかった。涼子は涙を溜めた瞳で朱実を見つめる。
「貴女を殺したかったの―…。せめて、自分が死ぬのなら誰かと一緒に死にたかったから…。」
涙を流しながら、涼子は言った。
そして、朱実に最後のとどめをさした。
「さようなら…」
そう言うと、涼子は自分の喉を刺した。そして、絶命した。
――涼子は微笑みながら、死んだ。
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2005/10/08(Sat)18:03:15 公開 / 瑠璃奈♪
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■作者からのメッセージ
こういう殺人ストーリーは前から書いてみたかったんです。でも、何かが足りないなーという感じです。皆様もそう思われませんでしたか?まだまだ修行中の身ですので、これからも精進いたしたいと思います。それでは!