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『if綴り』 作者:Town Goose / 童話 ショート*2
全角2057文字
容量4114 bytes
原稿用紙約6.15枚
 もしもの話
 人を殺しても罪にならぬ。人を殺すのは当然のことに過ぎぬ。
 その様な世界があったならば、と、そのようなことを夢想する自分はもしや異常なのやも知れぬ。
 唯其に在れど自分は考える。もし法により殺人を裁かぬ、それが当然であるならば、どうなってしまうのだろうか、などと戯事のようなものを。
 何、戯言ならぬ戯事に過ぎぬと思えど、夢想に罪になる事は無いであろう。ならばその様な夢想を殊更にこの場に一心に書き綴ることは自分にとって楽しいことやも知れぬ……
 

【人を殺しても罪にならぬ】

 それは単純に人間の理性なる物を無くしてしまうのであろう。このような事ならば人類は滅亡するやも知れぬ。この世界の住人はさぞかし普通なのであろう。もしかしたら、今の自分達のような生活をしているのやも知れぬ。
 近所付き合いも良好であり、お隣同士の田中さんと斉藤さんはとても仲良しなのやも知れぬ。
 ただ殺人が容認されるならあさ田中さんが斉藤さんにおはよう、と声を掛けたならば殺される。というようなこともあるに決まっているのではなかろうか。
 むしろ殺人鬼などはテレビでも放送されることなく当然のこととしてそこら辺にいるのではなかろうか?偽名など使われず、「切り裂き田中さん」などという恐ろしいこともあるでなかろうか?
 ここで、げに恐ろしきは人間の性なのであろう。
 自分は性悪論のような、かの哲学者の言葉を借りて書き綴る気はさらさら皆無にあるし、人間など基に在るものは悪に他ならぬのではなかろうか?等と言うこともあるまいて。
 だが、自分なるものが人間を語れるほど卓越した人物であるかどうかは疑問であるが、人間なるものは、縛られなければなんでもする。そういうものなのではないだろうか?何、人は常に人が殺したくてたまらぬ、等と壊れたことは言わぬとも。
 ただ、駄目と言われなければ、人間と言う者は「必要でなくても」するのではないだろうか?
 無駄な行動を起こすのは人間だけではないか。自分の小さき知識の中、その様に記録されている。

―――つまり、このif綴りに結末を加えるならば、人間は縛らなければ存在しえないものである、と、結論を加えるのが正解なのやも知れぬ。


■■■■


 文学に魂を売ったような女性の山田さんが初めて秋葉原に行(ゅ)く。その様な事があったならば、と、そのようなことを夢想する自分はもしや異常なのやも知れぬ。
唯其に在れど自分は考える。もし山田さんが秋葉原に行ってしまった、それが事実であるならば、どうなってしまうのだろうか、などと戯事のようなものを。
 何、戯言ならぬ戯事に過ぎぬと思えど、夢想に罪になる事は無いであろう。ならばその様な夢想を殊更にこの場に一心に書き綴ることは自分にとって楽しいことやも知れぬ……

【山田さんが秋葉原へ行く】

 山田さんはまず、秋葉原の駅で驚くのやも知れぬ。駅に張られる萌えキャラと評されるものが描かれている物をみて山田さんは「萌え」とは何だと疑問に思い、右手に持った国語辞典をぱらぱらと捲るのである。
 そしてそこには「草木の芽生えの意」等と書き綴られており、顔に掛けた眼鏡がずるりと汗で落ちそうになるのやも知れぬ。
 そして山田さんは人混みに紛れてとあるメイドカフェに紛れ込んでしまうのやも知れぬ。そしてお帰りなさいませご主人様、と言われ戸惑うのである。
 しかし、山田さんはカフェであるならばと何かを頼む事もありえる。
 そこで「ドジメニュー」なる変わったメニューを発見しそれを頼んでしまうのである。そうすると、オレンジジュースが運ばれてきて、それを持ってきた店員さんがこけて、オレンジジュースを山田さん目掛けぶっ掛けられるのやも知れぬ。
 そのオレンジジュース代を換えの無いまま払わせられると、気分を一新しようと山田さんは本屋へ行くのである。
 しかし、秋葉原の本屋が何処に売っているのか山田さんは知らぬ、よって道行く斉藤さんに聞くところ、「アニメイド」なる場所を教えられるのやも知れぬ。
 そこで山田さんは本を買おうとするのだが、文学的な本はどこを探しても見つからぬ。そして、悲しみに明け暮れて秋葉原の道端を歩いていた山田さんはとうとう泣いてしまうのである。すると何故か周りをカメラをもった男たちに囲まれて写真を撮られてしまうのやも知れぬ。そこでまたもや聞く「萌え」と言う言葉を理解せぬまま、山田さんは疲れ果て、自分の世界へ戻ってゆくのである……。
 
―――このif綴りに結論を加えるならば、やはり身分相応、自分の居場所にいることが一番の安全であるし、道を踏み外さぬのやも知れぬ。と結論するのが正解なのやも知れぬ。


■■■■


 もしもの問題に答えを綴る。if綴り、無駄に自己満足であるがこのようなことを書くことは楽しい。この綴りにいつ簡潔な完結があるのやら、それは自分にも分かることが無いのやも知れぬ。だからif、この物語が続くのであれば、自分が、何かに疑問を感じ、それを前提とした話なのであろう……
2005/10/03(Mon)01:57:51 公開 / Town Goose
■この作品の著作権はTown Gooseさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 自分のやりたいことをやってみたかったのです。って、何も考えず、自分のやりたいことをずっと書いていたらこんなものが出来上がっていました(汗 なんか自分、異常者っぽいです(危
 新しい書き方や表現方法をしてみたかったんです。ご感想、指摘、宜しくお願いします。


一言

異常なる自分の遅筆のせいで、作品が終わる前に過去作品のほうへ行ってしまった(泣……向こうでも地道に頑張ります。
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