- 『ザ・ショートショート』 作者:夜来香 / ショート*2 ショート*2
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原稿用紙約1.9枚
星新一を思わせる難攻不落のショートショート(SS)。天下に名だたる一刀も、このSSの切れ味には及びません。
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私は小説を書いている。
どんな小説かというと、小説家を目指す主人公が小説を書く話だ。
主人公は小説家なのだから小説を書くのは当然だろう。
そして、私の小説の中に出てくる小説家が書く小説の主人公に選ばれたのは小説家だ。
もちろん、その小説家も小説家に関する小説を書く。
そうして小説の中に次々と小説家が登場する。
この作品の中の小説家たちは、自分が作られた主人公であることに気付いているのだろうか?
いや、もしかしたら私自身も……。
〜終わり〜
友人の視線が最後まで文章の上を移動したことを確認して、私は尋ねた。
「それで、どうだい? 私のショートショートは」
「……面白くはないな」
「どうして」
「アイデアが陳腐だ。オチがわかってしまったら、人は途中で読むのを止めてしまうだろう? それにオチが分からない奴でも、こんな面白みを欠いた文章では最後まで読んでくれやしない」
「じゃあ、何故あんたは最後まで読んだんだい?」
「え? だってそりゃあ、お前が『星新一を思わせる難攻不落のショートショート』だなんて大見得をきったから……」
〜今度こそ終わり〜
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2005/09/25(Sun)21:36:45 公開 / 夜来香
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■作者からのメッセージ
最後まで読んでくださった方々、ありがとうございました。
これはある意味ブラックユーモアの塊のような作品ですので、人によっては理解し難いかもしれません。しかも前書きを読んでいない人もサッパリ分からないと思います。ですが、自分なりにショートショート(SS)がどういうモノかを意識して書いてみたつもりです。
もし感想などがありましたら、どんなものでもいいので書きこんでくれると嬉しいです。