- 『キミはぴかぴかのガラス玉 1【前編】』 作者:緋智柚樹 / リアル・現代 未分類
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原稿用紙約4.8枚
薄汚れ光る宝石とぴかぴか光るただのガラクタ。そんなふたり【ボクと彼女】のお話。注意:かなり暗いものになります。
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キミはガラクタだった。
それこそどこにでもあるような
だけれどキミは
ボクのようにケースに並ぶキラキラとした豪華な宝石なんかよりも純粋にキレイで
ボクは心 惹かれたんだ。
ボクは宝石店に皆と同じ顔して並ぶ、薄汚れ光る宝石
キミ は ぴ か ぴ か の ガ ラ ス 玉。
→ボクと彼女の場合。
ねぇ、キミが好きなんだ。大好きで、大好きで。
何でもするから。キミが望むならば何だってするから。
ねぇ、だからもう一度あの頃のように笑って?
僕の名前は早坂 裕一朗(はやさか ゆういちろう)。
僕の父は大手企業会社の社長。
そして僕自身も、小さいもののすでにいくつかの会社を父から任せてもらったりと、このままいけば次期社長間違いナシと言われている。
出世街道、真っしぐらの超エリート。その上、見目までも麗しい。
そんな僕に女はいつもいれぐい状態だった。
淑やかな女性から艶やかな女性。僕に声をかけてくるのは大抵みんな上等な女性ばかりだった。
そして気に入ったら試しに付き合ってみて。だけども誰として長く続くことはなかった。
どんなに完璧な女性でも一ヶ月として続かなかった僕だったが遂に一生を共にしてもいいと思える程の人に巡り会った。
彼女の名前は朝丘 麗美(あさおか れみ)。
しかし彼女は今まで僕が付き合ってきた女性たちとはハッキリ言って比べようもないくらいに全てが普通な女性だった。
彼女との出会いも極々平凡だった。任せられていた会社のひとつの新入社員として彼女は入ってきた。
社長室、僕の前には新入社員計五人。皆緊張してぎこちなくも一言ずつ挨拶していく。麗美もまた、緊張した面持ちで挨拶を終えた。
僕は彼女に対して特に何も思わなかった。
ただの新入社員。それだけの認識だった。
そんな彼女に興味が沸いたのはそれからしばらくしてからのことだった。
「やっぱり社長って格好イイよね!」
会社のロビーの一角で女性社員何人かが噂話をしていた。
少し離れた席で新聞を読んでいる僕の事には気づいていないようで辺りを気にせずキンキンとした大きな声で喋っていた。
そこまでは日常、いつも通りだった。だが…
「え? そう?」
女性社員の一人、友人達が揃って「やっぱりー」「だよね」などと盛り上がっている中、麗美は一人キョトンとそう返した。
「何、麗美ってば興味ないの!?」
「んー、別に。そんなことよりもさー」
心底驚いたように聞き返す友人達に、彼女は本当に特に何でもないと言ったように返した。
僕がそれについ新聞から目を離し麗美を凝視してしまうと、女性社員の一人が僕に気づいたらしく慌てて他にも知らせると「お、お疲れ様です」とペコリと頭を下げ、麗美ごとそそくさと逃げるように僕の前から去っていった。
僕は驚いていた。勝手にもプライドが傷つけられた気分になった。
僕について全く興味がないといった、横顔が目に焼きついていた。
身体の内からクツクツと湧き上がるような感情があった。
そこで初めて朝丘麗美という人物に興味を持った。いや、興味というには、もっと屈折した。
彼女の顔を歪ませたくなった。僕自身の力で押さえつけて。僕の下で泣いて懇願させて……。
そんな屈折した思いが僕の中で渦巻いた。
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■作者からのメッセージ
はじめましての方も、お久しぶりの方もこんにちわ。
「ユズキ」改名しまして「緋智柚樹」です。
ええと、来ないとか言ったものの早くも断念(ぉぃ
これからは受験が終るまでは一話一話完結のものを投稿させていただきたいと思います。
読者としても現れたりしばらく現れなかったりと不規則です;
自分勝手な事ばかりを言っておりますが生ぬるく見守っていただければ幸いです。
この話【キミはぴかぴかのガラス玉】はテーマだけを一緒にして一話完結の話になります。
今回は「ボクと彼女の場合」です。一応、前・後か前・中・後で終る予定です。
相変わらず甘くてストレートな恋愛ものを書けないので次からはかなり暗くなる気満々です(ぉぃ
説明(?)にもありますがそういったものが苦手な方はご注意ください。
それではここまで読んでくれた方ありがとうございました!
短くても、辛口でも甘口でも何でも良いので批評・感想等いただければ幸いです。