- 『仮面武道会-プロローグ-』 作者:神崎 / 未分類 未分類
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主人公ヒイラギ リュウの先祖は昔、クロの住んでいる世界の者を無差別に殺害し、独裁し続けていた。先祖はある日、日の当たらない世界へ戦争をしかけるが、圧倒的強さで敗退してしまった。やがて日の当たる世界は日の当たらない世界へのっとられ、大罪人の先祖は死刑となった。そして・・・
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プロローグ。
大罪人に下された判決は死刑。
はむかう者全てを殺してきたお前は
もう必要は無い。
キエロ。
目が覚めると、薄暗い部屋に障子からほのかな光が差し込み、青白く光っている。
もう朝なのだろうか。
床の間にいけてある花の強い香りが鼻を突いた。
障子が微かに開いているのか、一筋大きな光が差し込み、そこへホコリが舞い上がる姿がある。
畳の上に一つだけしかれた布団の上に、俺は横たわっていた。
遠くから聞こえる小さな小鳥のさえずりに、耳をそばだてる。
自分が何処へいるのかさえわからなかったからだ。
だるい身体を動かしてもぞりと動くと、声にならない痛みが身体を走る。
激痛というより、鈍痛に近い。
目がかすんで自分の現状がイマイチどうなっているのか解らなかった。
のっそりやってくる痛みを押しこらえて、その場に起き上がる。
きょろりと見回すと、香りの原因は百合だったようだ。
黒い花瓶に丁寧にいけてある。
しかし見たことも無い風景に少しだけ身体を震わせた。
静かな空間に、自分だけが潜んでいるという感覚に陥る。
すると障子の向こうの縁側から、人の足音が聞こえた。
敷かれた板を踏む音から、大人ではない。
どんどん近づくその音に耳を這わせ、障子へ目をこらす。
「あっコラ。アズミ。引っかいたら痛いじゃろ」
障子の前を人影が通る。どうやら少女のようで
少女なりに小さい声で何かに話しかけたつもりなのだろうが、この静かな中でハッキリと俺に声は届いた。
ニー。
甘えるような猫の声が聞こえるため、どうやら少女は猫を抱えているらしい。
一旦影は俺の寝ている部屋を通過し、慌てたようにまた戻ってきた。
スッと開く障子。
「お、目覚めたか。どうじゃ、目の調子は」
開けば俺の目を見つめ、薄く笑ってたずねてきた。
少女とは思えぬその口調にすこし違和感を感じるが、慣れてしまえば大丈夫だろう。
血のように美しい紅の髪が印象的だった。それと同じ色の瞳も、何かを思わせる。
ビンソギに整えられた髪は、少しの風にも靡く長さだ。
「あん?目ェ?……あ、俺眼帯してたのか」
行っている事が理解できずに、思わず嫌なカオをすると、俺の右目には眼帯がつけてあることに気づいた。
「まだ不調みたいじゃのぅ…」
ふぅ、とため息をついて抱えていた猫を軽く持ち上げる。
そしてしゃがんで俺のカオを見上げた。
透き通る白い肌には黒すぎるほどの着物をまとっている。
「何故此処に自分がいるのか。不思議でたまらんじゃろ」
理由を聞きたいか?
小娘が生意気にもニヤリと笑って俺に言う。
聞きたいのは山々だが、まず俺の個人情報を教えて欲しい。
自分の個人情報を人に聞くというのも何だか不思議な心境だが。
それを察知したのか、ニヤニヤと生意気に笑っていたカオがいきなりおとなしくなり、薄い唇を開いた。
「お前サンの名前はヒイラギ リュウ。私の名はクロ。で、まず何が聞きたいんじゃ?」
ヒ イ ラ ギ リ ュ ウ 。
たった今聞いたような新鮮さ。聞き覚えのある名前ではなかった。
まさか世間で言う記憶喪失とかそういうヒロイン設定じゃあないだろうな。
「此処、何処だ?」
「えらく率直じゃの…まぁ良い、教えてやろ」
猫を抱えたまま胡坐をかいた。俺もそれに伴って胡坐をかく。
俺は布団の上で、クロという少女はたたみの上で胡坐をかき、障子を背中に向き合っている状態だ。
「…そうじゃな」
パン、と開いた手で膝を叩く。
日の当たる世界とでも言おうかの。
その言葉の意味が理解できなかった。
続
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2005/09/13(Tue)21:39:41 公開 / 神崎
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■作者からのメッセージ
まだまだ訳のわからないところが多いですが、
段々と解ってくると思います。
まずはこの世界観が解らないという気持ちになっていてだければ嬉しいです^^
主人公本人が記憶喪失という設定なので、その主人公と一緒に内容がわかっていくと思います。
ではご指摘等お待ちしております^^