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『〜大人になりたい〜』 作者:弾丸 / リアル・現代 ファンタジー
全角1001.5文字
容量2003 bytes
原稿用紙約3.5枚
大人になることを目指しているうち、いつの間にか不良の仲間入りになっていた、「俺。」そんな俺に、あるひとりのおっさんが近寄ってきた。「通りすがりのお人よし」その横に電話番号が書かれていた。大人ってなんだろう。「俺」が親父と深めていく、不思議な絆。


どうしたんだい、少年―。

……あん?

煙草なんか吸って。まだ未成年じゃないか。

……どこのおっさんかしらねえけどよ。子ども扱いすんじゃねえよ。

どこのおっさん…か。よし分かった。名刺を置いとこう。気が向いたら、電話しなさい。

スーツ姿の親父。眼鏡を掛けてひげを生やし、気前のよさそうなヤツだった。















ゴミ置き場に座って煙草をふかしていた俺。そんな俺に話しかけてきた親父。それが、あいつとの出会いだった。ドブネズミのようにボロボロな俺。誰も寄り付きはしなかったさ。ただあいつは、なんのためらいもなく俺によってきた。
そして、名刺を置いて去っていったのだ。

良く晴れた日のことだった。



〜大人になりたい〜

中学生の頃、俺の両親は殺された。
犯人は分かっていない。警察は捜索中とか言うけど、なんの情報も入ってこない。
おばさんの所に引き取られて、しばらくそこに暮らした。
いや、暮らしぬいた。とにかくひでぇばぁさまだった。一日二食でいいほうだ。
言うこと聞かなきゃ殴る蹴る。パシリにしか思っていなかった。
3ヶ月そこで暮らしてばぁさまが俺に言った。

「アンタは子供だから役に立たないのさ!あたしのね、子供達は自立してしっかりやってんだよ!お父さんは小さいときに逝っちまってね。……アンタみたいな役立たずなガキってのはね、人類の失敗作なのさ!
悔しかったら大人になることだ!心も体もね!」
ふっきれた。その言葉で。
だから俺は大人になることを決めたんだ。その日の夜中にその家を飛び出した。
その時点で、おれはちょっぴり大人になった気がした。
大人になるってなんだろう。そう、たとえば、働く。そして、金を貰って…。

俺には無理だ。大人…。長い間、考えた。
初めに、煙草を買ってみた。そして夜の街を遊び歩きながら、煙草を吸う。
そんな馬鹿げたことをしながら、半年が過ぎた。1月。真冬の寒さを、半そでの俺を襲う。不良に寄り付いて金を貰っていた。それしか生きていく術はなかった。
そんな中、あの親父が来たのだ。
不良仲間が煙草と酒を買いに行っている間に、縄張りを守っていた。(守るまで立派なもんじゃない。ただ座って煙草を吸ってるだけだった。)
あの親父は名刺を置いて去っていった。
拾ってみてみると、「通りすがりのお人よし」と書いてあった。

ほんとに、それだけ。
それが、親父との出会いだったんだ。
           
2005/09/05(Mon)20:27:34 公開 / 弾丸
■この作品の著作権は弾丸さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
はーい。こんにちわ。弾丸です。今日も絶好調でございます。
今回はもう一つ小説を書いてみることにしました。
もう一つの小説は(宣伝になるので名前は伏せます)異世界色が強いのですが、今回は現代風に仕上げてみました。
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