- 『白い壁』 作者:犬 / 未分類 未分類
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全角1142文字
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原稿用紙約3.75枚
気がついたらお金持ちそうな部屋にいた少年のお話です。
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あぁここはホテルのスウィートルームか
あぁここは洗い立てのシーツの中か
あぁここは海の真ん中か
あぁそうだ思い出したよ
ここは…
「うっ」
不快な寝起きだった。ベットに寝ていたはずなのになぜか体が痛くて起きてしまった、きっと寝ている間に落ちてしまったのだろう
体を起こし上を見上げるとガラスの屋根らしきものが見えた。
「あれ?」
自分の部屋はこんなに高級そうなつくりじゃない
「あれ?やばい」
ドキドキして息が詰まってきた、この状況はやばい。冷や汗が体をつたうのがわかった、どうやら僕はいつの間にか知らない人の家の中で寝ていたらしい。どうしてかはわからないけど昨日の酒が原因だ…、やばい何も覚えてない。昨日どうした?家に帰ってどうしようもないくらい酒飲んで寝て…それでここ?なんで?あぁわからない…。
さてどうすればいいのか。今は何時なのか、ここはどこなのか、金もない。
「とりあえず謝りにいくか」
ぼそりといったその言葉が部屋の中に響き渡るとここの空間がおかしいことにやっと気づく。この部屋は上はガラスの屋根、床は今本当に地面にたっているのかわからなくなるくらいの白、そしてその色の壁が直径20メートルくらいの円で周りを囲っている。あと一際目を引くのがまるで漆を塗ったかのように輝く黒い扉である。金色の取っ手がついたその扉はこの部屋からひどく浮いて見えるものだった。
「お金持ちの家なのかな?」
ふとそう思った、こんなへんてこな部屋を作るやつはそうはいない。もしかしてサンルーム専用の部屋とかなのだろうか、上から降り注ぐ日差しを見ながら思った。
「…あっ」
とても大変なことに気がついた、お金持ちの家だったらますますこの状況はやばい、見つかったら速攻警察沙汰かもしれない。っていうか僕はどうやってこんな金持ちの家には入り込めたんだ?もしかして泥棒の才能があったりして…
「…そんなこと考えてる場合じゃない!」
思わず言葉に出してしまった。そう、とにかくここを出ない事には話は進まない。見つかったら状況を説明して見つからなかったらそのまま逃げよう。
この答えが正しいのか正しくないのかはもうどうでもよかった。
息を大きく吸い金色の取っ手に力をかける…
「ガコン」
自動で開いたのかと思うくらい簡単にその扉は開いた、さすが高級な扉は開きもスムーズだ。
静かに外を見てみると一瞬先がどうなっているのか分からなかった。
また白い壁だ…。白すぎて境目と奥行きが分からない。この先は廊下なのか?
とにかく一歩進んでみることにした。
「ドコッ」
「え?」
…信じられないことになった。
これはどういう事なの?僕が何をしたっていうんですか?これは誰かのいたずらですか?助けて神様!
そう、扉の先は何もない…ただの壁だったのです。
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2006/04/14(Fri)22:04:20 公開 / 犬
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■作者からのメッセージ
半年以上ぶりの更新です
更新って言っても話は進んでないのですが…
これからも末永くお願いいたします。