オリジナル小説 投稿掲示板『登竜門』へようこそ! ... 創作小説投稿/小説掲示板

 誤動作・不具合に気付いた際には管理板『バグ報告スレッド』へご一報お願い致します。

 システム拡張変更予定(感想書き込みできませんが、作品探したり読むのは早いかと)。
 全作品から原稿枚数順表示や、 評価(ポイント)合計順コメント数順ができます。
 利用者の方々に支えられて開設から10年、これまでで5400件以上の作品。作品の為にもシステムメンテ等して参ります。

 縦書きビューワがNoto Serif JP対応になりました(Androidスマホ対応)。是非「[縦] 」から読んでください。by 運営者:紅堂幹人(@MikitoKudow) Facebook

-20031231 -20040229 -20040430 -20040530 -20040731
-20040930 -20041130 -20050115 -20050315 -20050430
-20050615 -20050731 -20050915 -20051115 -20060120
-20060331 -20060430 -20060630 -20061231 -20070615
-20071031 -20080130 -20080730 -20081130 -20091031
-20100301 -20100831 -20110331 -20120331 -girls_compilation
-completed_01 -completed_02 -completed_03 -completed_04 -incomp_01
-incomp_02 -現行ログ
メニュー
お知らせ・概要など
必読【利用規約】
クッキー環境設定
RSS 1.0 feed
Atom 1.0 feed
リレー小説板β
雑談掲示板
討論・管理掲示板
サポートツール

『初恋【1】』 作者:否命 / 未分類 未分類
全角1686.5文字
容量3373 bytes
原稿用紙約5.8枚




 初恋は実らない。
 誰がこんな無責任な言葉を作ったんだろう。
 もちろん、ぼくだってこんな話を完全に信じているわけじゃない。
 でも、
 それでもこの言葉が思い浮かんだのは、
 自分の初恋が叶わないことを知っていたからなのかもしれない。




―――――――――――――――――――――――――――――――――




 ぼくは大型スーパー内のある部屋で、中年の男性店員と向かい合って座っていた。隣には担任の綾乃先生が心配そうな表情で立っている。理由は簡単、万引きの現行犯逮捕というやつだ。
「ご連絡したとおり、おたくの生徒さんが万引きをされたんですよ。でも、清算を忘れていたの一点張り。自宅の電話番号を聞いても親はいないとしか言わないし……」
 店員が疑うような目付きでぼくを見ながら、さっき学校に伝えた電話の内容を繰り返す。
 そう、ぼくには万引きするつもりなんてさらさらなかった。店員に話したことは全部本当で、単純に清算を忘れただけだったんだ。といっても、店員がそんな話を信じてくれるわけはない。当たり前だ。ぼくが店員でも信じないし。
 でも、綾乃先生は違った。
「それで、勇介君は謝ったの?」
 こっちを向いて真剣な眼差しで質問してくる。
 ぼくはためらいながら、首を小さく横に振った。すると綾乃先生は少し怒ったような顔をして言った。
「ダメじゃない。いくら間違って持っていってしまっただけでも、悪いのは勇介君なんだから。ちゃんと謝りなさい」
 その言葉に、ぼくと店員は少しの間ポカンとしていたが綾乃先生が「ほら早く」と言ってきたので、ぼくは少し迷いながら店員に頭を下げて「ごめんなさい」と言った。
 すると先生は満面の笑顔で、
「よし。じゃあ帰ろっか」
 とだけ言って部屋を出て行こうとする。
 そこでようやく店員がハッとして口を開いた。
「ちょっと先生! こういうのは癖になりますから厳重に注意してください。」
 今度は綾乃先生がポカンとする番だった。
 そして先生は困ったようにぼくの方を見て、
「えっと……勇介君、今度はお金を払うのを忘れちゃダメよ?」
 と簡単に注意した。
 それを見ていた店員はイライラした様子で文句を言う。
「先生、本気で言ってるんですか? 清算し忘れたなんて嘘に決まってるでしょう! 万引きした奴は皆そう言うんですよ!」
 綾乃先生は最初、何を言っているのかわからないという顔をしていたが、店員の話を聞いているうちにだんだんと表情が険しくなっていった。
「この子はそんな嘘をつく子じゃありません!」
 そして、いつもの優しい先生からは考えられない大きな声を出した。
 綾乃先生、本気で怒ってる……。
 こんなに怒ってる綾乃先生を見るのは初めてだった。
「失礼します!」
 先生はそれだけ言うとぼくの手を引いて、つかつかと部屋から出て行く。閉まるドアの向こうに呆然としている店員の姿が見えた。


 ぼくはそのまま手を引かれながら店の外に出た。
 綾乃先生の手は冷たくて気持ちいい。離したくないな。そんなことを思ったけど、他の人に見られるのが恥かしかったから自然と手を離してしまった。
 けど、綾乃先生はそれを別の意味で受け取ったらしい。
「ごめんね。先生、怖かったよね?」
 そんな質問をされるとは思っていなかったので、ぼくは慌てて力いっぱい否定した。
「ううん、怖くなかったよ! かっこ良かった!」
 これは本当のことだ。確かに綾乃先生が怒ったのにはびっくりしたけど、それ以上に自分のために怒ってくれたのが嬉しかった。そんな先生がとてもかっこ良く見えた。
「ふふっ、そっか! かっこ良かったか! ありがと」
 綾乃先生は嬉しそうに笑うと、腰を曲げてぼくの頭にポンポンと手を乗せた。なんだか子供扱いされている気がしたけど、先生の手に触れていると気分が良かったので何も言わないでおいた。
「じゃあ、今日は特別に先生の車で送ってあげる。皆には秘密だからね?」
 そう言って綾乃先生がウィンクする。
 秘密という言葉の響きが妙に楽しくて、家に帰るまでの間はなんだか落ち着かなかった。




2005/08/23(Tue)12:20:20 公開 / 否命
■この作品の著作権は否命さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 プロットは決まっているのに文章は遅々として進まない。小説道とは奥深いものだなぁ、と今更ながらに感心している今日この頃です。

 否命にとっては今回が記念すべき小説初投稿となるわけですのでちょーーーっと緊張気味……最初はSSで練習するべきなんじゃないかとも思ったんですが勇気を持って連載に挑戦させていただきました。そんなに長くはならない予定ですが、がんばって更新しますので感想などあったら書いてくれると嬉しいです! 書いてくれた人には豪華賞品が届くかも(笑) それでは♪
この作品に対する感想 - 昇順
感想記事の投稿は現在ありません。
名前 E-Mail 文章感想 簡易感想
簡易感想をラジオボタンで選択した場合、コメント欄の本文は無視され、選んだ定型文(0pt)が投稿されます。

この作品の投稿者 及び 運営スタッフ用編集口
スタッフ用:
投稿者用: 編集 削除