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『日差し  序章』 作者:オキノ / 未分類 未分類
全角639文字
容量1278 bytes
原稿用紙約2.35枚
今は朝の7時。
父さんは、まだ上の部屋で寝ている。
なにせ、今日は会社が休みだから。
いや、会社があろうとなんだろうと、父さんは朝遅い。
何故かというと、それは、父さんの息子の僕がよく分かっている。
父さんは会社なんて行く気はさらさらなくて、毎日を家でぐうたら過ごしている。
だから、家事全般はほとんど僕がやっていた。
何故父さんはこんな風になってしまったのだろう?
その理由は僕にも分からなかった。
ずっと前までは、優しくて働き者の父さんだったのに。
今では、僕と話そうともしない。
学校の授業参観にも出ないし、何もしていないのにしょっちゅう睨まれる。
こんな生活、もう絶えられなかった。
だから僕は心の中で決心を固めた。
この家を出よう、と。
もちろん、置手紙も挨拶もしない。
息子が家出したって、父さんは気にもしないだろう。
最初は、なんとか父さんに好かれようと努力していた。
だが、後々考えてみると、息子に心を開かない父親に、
愛情なんて求めても仕方がない。と思うようになったのだ。
そして今日、僕はあの苦しい生活から開放されるのだ。
リュックに自分の荷物を一切詰め込んで、ボロボロのスニーカーを履いて、
家を出た。
これであの生活ともおさらばだ、と思うと、心の中に日差しが差した。
僕はあの家を、一度も振り返らずに学校へと行った。
この清々しい気持ちに、僕はため息をついた。
閉じこもっていた殻を破って、体を自由に伸ばせるような気持ちだ。
まだ学校へ行くには早いが、僕は気にせず、学校へ向かった。
2005/08/12(Fri)12:51:03 公開 / オキノ
■この作品の著作権はオキノさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
どんな作品にしようか迷いましたが、こんな話になりました。
序章が短くなってしまいました(汗)
次からは長くするつもりです。
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