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『Links』 作者:犬 / 未分類 未分類
全角919.5文字
容量1839 bytes
原稿用紙約2.75枚
黒い手それは生きる証
自分を創る真実


人生が嫌になってもう死んでしまいたいと思っていたら手に黒いあざができていた。それはまるで呪文のような記号のような図形のような、そんなよくわからないものが手のひらにびっしり刻まれていた。自分の手をこんなによく見たのは久しぶりだった。これは何だとか、なんでできた、なんてどうでもいい。とにかく俺はこんなによく自分の手を見たのは子供のとき以来だな。そう思っていた。
俺は高3の夏から学校に行かなくなった。だるかったとか、勉強が嫌いとか、友達づきあいが苦手とか、そんなありふれた理由じゃない。けど理由はない…。
ありふれた親に育てられ、ありふれた毎日を過ごす俺は普通の人間だと思っていたのに違ったらしい。母親はいつも時間になると自分の部屋に飯を持ってくる。もうこれが母親の日常になってしまったようだ。何も言わずに食事を置いていく母親。夜まで仕事に行っている父親。これが引きこもりが住んでいる家の普通なのだろう。
普通普通普通…

なぜか高校に行っていたときのことを考えた。
学校にいる時はクラスの人気者とかそんなのは羨ましいとは全然思わなかった。そこにはただ人が居るだけで、ただ人がいて自分と話をする、そのときは楽しかったのかもしれない。誰からもおかしく見られないように…みんなから好かれるように…けど学校にいるうちに自分が周りに溶けていっている気がしていた。まるで自分が無くなってしまうようなそんな変な感じ…そうそれが俺が引きこもりをしたわけ…だった。それで自分がなくならないように壁を作り誰も入ってこないように鍵をかけた。この黒いあざができてからやっと答えが出た。
しかし答えが出たところで何も変わることはない…。俺はやっと気づけた、それだけなのだろうか…ずっとこのくらい部屋の中なのだろうか。
俺は気がつくと部屋を飛び出していた…。この手のおかげなのかもしれない。何でもいい。今はこの手のせいって事にしておこう。母親がびっくりした顔でこっちを見ている、当たり前だ。ずっと子供のこんな顔なんて見たことなかっただろう…。これは俺だけの笑顔だ。そして俺の言葉で言う。

「行ってきます」

母親は言葉を返さなかった。


2005/08/03(Wed)02:09:35 公開 /
■この作品の著作権は犬さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
なんか長くしたかったんだけど書いていったらこれで終わってしまいましたww
この話はテレビで引きこもりのことやっていて何で引きこもるのかな?と思って書いた話です。
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