- 『魂の謳』 作者:瑠華 / ファンタジー ファンタジー
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原稿用紙約4.5枚
死神
人間を地獄に送る冥府の使い
牙を剥く者には鎌を振るう
それは限りなく愛に近い
Denevolence
「その死神 死神にあらず」
―いつまでたっても成長せんヤツだ―
あんたはもう爺腐って成長もできねぇんだろうが
―ハデス様に付け入って調子に乗りおって―
ああん?なんで俺があいつなんかに付け入るんだ
―お前など謳を謳っておればいいのだ―
言われなくたってそうさせてもらいますよ
―落ちこぼれ死神め―
俺だってなりたくて死神になりたかったんじゃない
―もう一度基礎から学び直すべきだ―
その基礎をもう一回改正したらいいんじゃねぇの?
落ちこぼれ死神。
ハデスの死神。
魂が狩れない死神。
謳うことが好きな死神。
優しい死神。
そう彼が「Denevolence」の名を持つ死神。
「落ちこぼれ死神 へっぽこ探偵」
はらはらと桜が舞い落ちる。
学校へ行く子供の騒がしい声。
新しい年への始まり。
―まぁそんなの俺には関係ないけどね―
「ちょっと!話を聞いていますの!」
「あー、はいはい」
なんでおばさんってヤツはこうもうるさいのか。
代々「夫が不倫している!」なんて……当たり前だろとか思う。
なんで俺の仕事は不幸に見舞われてるんだ……。
「とにかくさっさと調べて頂戴!」
……嵐が去った……
「あー楽しいことないかな……」
なんなら少しは楽しい仕事でもいいけど。
あのおばさんと声張り合ってたら喉が痛くなる。
「コーヒーでも飲もう。少し休んでも罰はあたらないよな」
カップを片手にコーヒーを含んだ。
―俺はガラス越しにある人物を認識した―
「ぶっ!」
その驚きの限り噴出してしまった。
しかしその人物は何事もなかったように……
「ぎゃぁぁぁ!くるな!バケモノ!」
もちろんガラスを……すり抜けてきた!
「なんだお前、相変わらず儲からない仕事してんのか」
「消えろ!俺はお前なんて知らないぞぉぉ!」
「そんなに言われたら俺だって傷つくんだけど」
「知るかぁ!お前なんぞどうでもいい!」
そう俺は。
死神も公認済みの霊感を持っている。
これのせいで人生どんだけ曲がったか……。
挙句の果てには死神と知り合いになっちゃって。
俺はどうすればいいんだぁぁぁ!!!
「一人感傷に浸るのもいいけどさぁ」
しかもこの死神は。
「探偵なんてやめちゃってエクソシストでもすれば?」
俺を変な仕事に誘ってくるし!
「今なら俺の援護付」
俺の人生は本当に呪われてるのかもしれない……
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2005/08/04(Thu)08:48:10 公開 / 瑠華
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■作者からのメッセージ
前作「死神の謳」の物語。
「その死神 死神にあらず」
次回からいろんな話に突入。
儚くて優しい物語になればいいと思います。
「落ちこぼれ死神 へっぽこ探偵」
探偵さん登場。名前は次回で。
今回は探偵さん視点で。
ちょっとコメディ入ってきちゃいました…。