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『blade』 作者:風間新輝 / 未分類 未分類
全角4262文字
容量8524 bytes
原稿用紙約12.65枚
 彼は一陣の風を纏い、エリスの母が経営する宿に現れた。この町は交通の要所となっていため、夕暮れ時に旅人が来るのはよくあることだった。
 でも、彼は普通の旅人とは異なっていた。服装はすべて黒で統一されていた。それだけでも変わっているのに、髪は白く腰のあたりまであり、顔も色白で服装とは対称的だった。そのため、青い瞳と紅く薄い唇が際立っていた。顔立ちはまるで女性と見間違うほど端正だった。実際にそこらの女性より美しかった。そんな女性的な顔とはかけ離れて、背中に大剣を帯刀している。
今のご時世に剣とは。それがエリスの感想だった。今は銃が主流武器となっており、剣はかなり時代遅れだったのだから、エリスの感想も仕方ないだろう。そのような彼が旺盛なエリスの好奇心をくすぐるのも無理のない話だった。エリスはまだ10歳の少女だ。得体のしれない旅人にいつもエリスが関わろうとするので母親のマリアが心配していたのも当然と言えよう。だが、エリスにそんなことをまったく気にしていなかった。
 エリスは向かいの家に住む親友のルツと共にその旅人と話そうと部屋へと向かった。ルツはエリスと同い年だ。
「私はエリス。このは宿の主人の娘よ。こっちはルツ。あなたの名前は?」
 この宿の主人とはマリアのことだ。マリアの夫、ジンクは3年前に山賊に襲われ殺されてしまったのだ。マリアはまだ幼いエリスを女手一つで育てている。
 ルツはエリスの後ろに隠れていた。ルツはエリスとは反対に人見知りの激しい、物静かな少女だった。
「僕はシド。旅人だよ。あっ、見ればわかるか」
シドはにっこりと笑う。年は16、7といったところだろうか。
「ねぇ、なんで未だに大剣なの?」
「う〜ん。銃よりかっこいいからかな」
「その服装は?」
「汚れが目立たないからだよ」
 旅をしていく上で、汚れることが多多あるのだろうとエリスは考えていた。エリスはこのとぼけた青年にどこかしら鋭いものがあるような気がしていた。気がついたら、もう辺りは暗くなっていた。
「そろそろ食事をしたいんだけど、どこに行けばいいのかな?」
 シドは正直目の前の少女が鬱陶しかった。 
「向かいの家が食堂なの」
 そう、ルツの家は食堂である。自分の家が話題にのぼったというのにルツは口一つ開かない。
「じゃ、僕は食事に行くから」
 シドはすっと立ち上がる。漸くこの少女から解放される。少々、ほっとした。
「私達も一緒に行くわ」
 エリスがそう言い、シドについていく。ルツはエリスについていく。金魚の糞状態だ。シドは二人に気づかれぬようにため息をついた。
 ルツの家の食堂はかなり繁盛していた。この町唯一の宿であるエリスの家の客が皆ここで食事をするためだ。
「僕は海老フライと玉子焼き定食」
「はいよ。あれ、エリスちゃんも一緒なのかい?エリスちゃんとルツはいつものでいいね?」
このおばさんがルツの母親レベッカだ。夫のヤコブはただいま果てしない注文とキッチンで格闘中だ。
「ルツはこの店の子なの?」
ルツはこくりと頷く。暫くして、レベッカが戻ってきた。
「ルードル盗賊団ってのが隣の町を襲ったらしいから、いつもみたいに暗くなるまで遊んでては駄目よ」
 レベッカは料理を置きながら、ルツに言った。
 エリスとルツは先程のシドの言葉の真意を知った。シドの食べ方はめちゃめちゃだった。生後3日の子供のほうがましかもしれない。それぐらいひどかった。ぼたぼたと食事を落とす。そんな変わった所がますますエリスの好奇心を刺激したのだろうか。エリスはルツと二人で作った秘密の遊び場にまでシドを連れていくことにした。秘密基地を作るのは普通なら少年だが、エリスはこういった遊びのほうが好きだった。シドは少々困惑気味だったが、優しい性格のためかエリスについていった。山の中に秘密の遊び場はあるらしく道は少々険しかったが、元気な少女と旅人には楽だった。元気な少女ではないルツには少々辛そうだった。秘密の遊び場は元々あった山の洞窟に自分の宝物とランプを持ち込んだだけの些細なものだったが、シドはへぇとかほぉとか言って興味があるようなふりをしてくれていた。
 突然、ワー、キャーなどの悲鳴と銃声が聞こえ、シドは洞窟の外に飛び出した。町が赤い、火事まで起きているようだ。
「様子を見てくる。君達はここにいて」
「嫌!あそこにはお母さんとお父さんがいるの。人事じゃないもの」
 意外にもそう言ったのはルツだった。
「僕の言うことに従うこと。じゃなきゃ、連れていかない」
 ルツの真摯な様子にシドは逆らえなかった。仕方なしに下まで3人で行くことになった。
 下に近づいていくと、低く野太い声が聞こえてきた。
「そこの岩陰に隠れていて」
 二人を残し、シドは声の方へと駆け出した。シドは見つからぬように家と家の間から盗賊一味の人数を認識していた。まさか本当に盗賊団が来るとは思っていなかった。
「銃を持ったヤツが7人に、バスターソードを持ったヤツが1人か。ちっ、数が多いな。しかも逃げ遅れた人を人質にしてやがる。見張らしがいい広間に陣どってるから、奇襲は無理か……」
 シドは独り呟く。7人の内、金目の物を物色するために民家に入っていくヤツに的を絞った。誰にも見つからぬようにそっと自分も民家に入り、腰にぶら下げたナイフの内の一本を取り出し、一瞬で間合いを詰める。室内で大剣は使えないためだ。
「なにもんだ!?」
 気づいた時にはもう遅かった。首筋から鮮血が舞う。確実にシドのナイフは頸動脈をとらえた。一瞬間で絶命する。 
 シドは窓から屋根の上に上がり、この盗賊一味の行動パターンを理解した。半数の4名が金目の物をあさり、残り3名が広間の通路の見張り、人質を取っているのが、親分のルードルだろう。ルードルはバスターソードを携えている。かなりの巨躯だ。あのバスターソードを楽に振り回すのだろう。シドは屋根づたいに移動し、金目の物をあさる任務の盗賊が入った家に入る。
「なんだ、てめえ?」
 盗賊は銃を構える。しかし、既にシドはナイフを投げていた。ドスッ。見事に心臓に刺さる。やつの集めた金目の物の中にショートソードがあったので、拝借し、また同様に屋根づたいに移動し、次の目標の盗賊が入った家にはいり、ショートソードで肩口から切り捨てる。また、だれだなどと言っていた。バリエーションが乏しい。同じ家にもう一人入ってきた。町で一番大きな家だから、一人では宝物を持ちきれないと判断したようだ。思わぬ誤算だった。ショートソードを引き抜く瞬間を見られた。とっさにナイフを投げる。
「親分!敵だ!」
 少々遅かった。ナイフが眉間に刺さり絶命したが、ヤツらにバレてしまった。
「出てこい!出てこないとこの女を殺すぞ!」
 エリスの母親のマリアだ。
「母さん!」
 エリスが飛び出してきた。シドとの約束を破り、近くまで来ていて、母親の危険に我慢できず、飛び出してしまったようだ。パァーン。乾いた金属音がする。
「か、母さん……」
 エリスはどさりと倒れた。
「エリスー!エリス!」
 マリアは泣きながら、我が子に駆けよろうとするが、ルードルがその手を掴む。シドは外に飛び出していた。シドは鬱陶しいとは思っていたが、こんな理不尽な殺され方は許せなかった。通路の見張りが銃を構える。盗賊は撃鉄に指をかける。狙いはシドの頭だ。盗賊が撃鉄を引いた瞬間、シドは横に跳びつつ、ナイフを投げる。弾丸はシドの頬をかすめた。シドのナイフは喉元に刺さってた。
 見張りが2人共こちらに向かってくる。シドは家の中に走りこみ、盗賊の骸を持ち上げる。二人が銃を構えて近づいてきたが、中に入ろうとはしない。骸を窓から投げ捨てる。一瞬だが、骸に気をとられた。その一瞬で十分だった。シドは右手でナイフを投げ、左手にショートソードを携え、間合いを詰める。銃は目標を見失った場合、対処がしにくい。銃を構えるまでにシドのショートソードが盗賊の腹を裂いていた。返り血が顔にかかる。ナイフを投げられたほうの盗賊は利き腕に刺さっただけだった。止めを刺すために、シドはショートソードを振り上げた。盗賊は利き腕ではないほうの手で銃を打つ。肩に当たった。シドは苦痛に顔を歪めながらも、心臓をショートソードで突き刺した。
 後は一人だけだ。シドは広間へと駆け出した。ルードルが立っていた。
「遅かったな。あんなクズどもじゃ、あんたの相手は無理だと思ってたぜ。何をそんな怖い顔をしてるんだ?あぁ、この女か。あまりにもうるさかったからな。いい女だったのに、もったいないことをしたぜ」
 マリアは首を斬られ殺されていた。悲痛な顔が嫌でもシドの視界に入った。
「言いたいことはそれだけか」
 シドの怒気にあたりの空気がはりつめる。
「いや、まだあるぜ。人質は一人で十分ってことだ」
 ルードルの左手はルツを捕まえていた。エリスと一緒にここまで来てしまったのだろう。
「武器を捨てな」
「ガキ一匹で俺がお前を殺すのをやめると思っているのか!」
 シドはゆっくりとルードルへと進む。ルードルはルツを人質の価値がないと判断したのか、ルツを突き飛ばし、バスターソードを抜く。シドも大剣を抜いた。二人は間合いをつめながら、対峙する。シドが大剣を振り降ろす。ルードルはそれを受けとめる。金属同士の乾いた音がする。ルードルのバスターソードの一撃を一歩前に出て受けとめ、蹴りを放つ。接近戦では体捌きが重要な役割を果たす。しかし、その蹴りを一歩下がり避ける。巨躯のわりに動きは俊敏だ。シドは一歩下がったのを見逃さず、さらに間合いをつめ、斬撃を繰り返す。次第にルードルが押されだした。ルードルは倒れた瞬間に砂を掴み、投げる。だが、シドは迷うことなく、剣を振り降ろす。血しぶきが舞う。シドの一撃はルードルのバスターソードを折り、そのままルードルをも切り裂いたのだ。ルードルのバスターソードは押されはじめてからの連続の斬撃に耐えきれなかったのだ。
「大丈夫かい?怖かったろう」
 シドはルツに優しく話しかける。ルツには返り血にまみれたシドが恐ろしく見えた。ルツは思わず後ずさる。
「僕が怖いんだね……」
 シドは鮮血に白き髪と顔を染めたまま、去ってた。










「ルツおばあちゃん、この続きは?シドはどうなったの?」
 ルツはただ首をふるだけだった。あの風は今も吹いているのだろうか。

2005/07/29(Fri)22:35:21 公開 / 風間新輝
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■作者からのメッセージ
自分の文章能力の低さを痛感させられた作品です。
この作品に対する感想 - 昇順
[簡易感想]おもしろかったです。完結したら細かい感想を書きたいです。
2013/08/28(Wed)15:33:030点Ramachandran
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