- 『俺の日記』 作者:アスパラ / 未分類 未分類
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全角3100文字
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原稿用紙約9.15枚
真夜中、隣の部屋から咳きが聞こえる。俺はなんだろうと思い、隣の部屋を覗いてみた。するとそこには、咳きをしているおふくろがいた。おふくろは起き上がって頭元にある棚に手を伸ばしゆっくり引き出しとあけ、薬を取り出しそれを口に含み、また布団に戻った。俺は気にせず自分の部屋に戻り布団に入った。
次の日、朝起きて台所に行った。そこには朝食を作るおふくろがいる。
「おふくろ、昨日夜中咳きしてたろ?」
俺が声をかけてもしばらく返事はしなかった。2、3分して返事を返してきた。
「あぁ、ちょっと風邪気味なの。」
おふくろは朝食をテーブルに並べながら言った。俺が朝食をもぐもぐ食べていると、おふくろが俺の顔を見て悲しそうな顔をしている。
「なんだよ?」
俺は口の中にあるパンを飲み込み言った。おふくろは窓から外を見て、
「いや、なんでもないわ。」
と言った。俺は、なんとも思わず朝食をすませ部屋に入り、写真を持って布団の上にころんだ。写真を見て思い出した。昔、公園に家族3人でよく行った時に撮った、写真だった。その頃はまだ親父も生きていた。だが、ある日、公園から帰っている時、俺とおふくろと親父が道路を歩いていると、1台の車が前からフラフラ状態で近づいてくる。そして車との距離が5メートルほどになって、急に車がこちら側に来て、体当たりしてきた。親父は俺とおふくろをかばって1人で逝っちまった。その車の運転手は飲酒運転だった。
そして10年経った今。俺は変わった。10年前は素直で良い子と良く言われたが、今の俺は髪は金髪。学生服は、スケーターに短ラン。不良に変わっていた。おふくろはそれを見ても何も言わなかった。逆に、金を出せと言えばすぐに出す。たまにもうダメ!と言われた。だが俺は口答えばかりして、いつも金をもぎ取る。おふくろはたまに泣いていたが俺にはそんなの関係ない。俺は写真を置いて、制服を着て学校へ行く準備をし、外に出た。外に出ると、バイクで2人の迎えが来た。
「上田!おせぇぞぉ!」
言い忘れていたが俺の名前は上田 真一。声をかけてきたのは、田村 誠。誠と一緒に来たのは、羽村 崇。俺含めてこの3人は、世間で言う親友、マブダチだった。もちろん皆、不良生徒。先生なんてもちろん敵。他校の不良との喧嘩は日常茶飯事。俺は、この暮らしが最高だった。
「わりぃ!じゃ学校行こうぜ!」
俺はそう言い、バイクの後ろに乗った。そして3人で一緒に学校へバイクで登校。学校の手前まで着いたらバイクを学校の近くの駐車場に止めて、学校へ向かう。廊下を歩くと皆俺達3人を避けて通る。先輩も避けて通るという有様。ちなみに俺は中学2年。誠、崇も同級生だ。
廊下を歩いていると、スピーカーから放送の音楽が流れる。
「2年B組、上田真一。2年E組、田村誠。2年G組、羽村崇。至急3人は職員室へ来なさい。」
もちろん、そんなのは毎日無視。そして俺達は各自教室に入る。俺が教室に入ると、皆顔を下に向け、静まる。他のクラスから遊びに来てる生徒は皆自分の教室に戻る。俺はいつもその態度に腹が立ち、クラスの男子をボコボコにした。クラスの男子はいい迷惑だ。そして先生が来る。
「こら上田!何やっとるんだ!ちょっと来い!」
俺は隣のやつの机を蹴って、
「上等だよこら!」
そして、使われていない教室に呼び出され、床に座らされた。
「上田。なんでそこまで荒れているんだ?おまえの家庭状況は、私もよくしっとる。だから余計心配だ。あまり母親に迷惑かけちゃいかんよ。」
先生は落ち着いて話てくれた。俺はこの先生だけはあまり嫌いじゃなかった。いつも怒る時は、他の先生と違い、落ち着いて話をしてくれる。皆の前じゃ、先生全員上等みたいな文書背負ってるけど、この先生と2人になると、俺は落ち着く。
「先生。俺やっぱりおふくろに迷惑かけてるよな?」
先生はビックリしていた。
「なんだよ急に。おまえ熱でもあるのか?」
俺は先生に本当の気持ちを言った。
「俺は喧嘩が好きだ。この不良生活も最高に充実している。だけど、おふくろにはあんまり心配はかけたくない。俺おふくろに迷惑かけず、不良やり続けれないのか?」
先生はちょっと黙った。そして静かに口を開いた。
「おまえがその生活を続けていれば、母親に迷惑をかけ続ける。しかし、おまえがその気持ちなら大丈夫だ。」
先生は意味不明な事を言って、出口に向かった。
「親孝行しろよ。」
先生はその一言を残し、出て行った。俺は考えた。親孝行かぁ。何すりゃ喜ぶんだよ。おふくろ。
そして何分か経ち俺も教室を出た。出るとそこには、誠と崇が待っていた。
「おい上田。おまえ何してたんだよ?」
誠が心配そうに言ってきた。
「別に。」
俺はそう言って、廊下を歩き出した。
その生活を続けて半年経った。
〜半年後〜
俺は朝起きるといつも通り台所で朝食を作るおふくろがいた。今もまだ咳きが続いている。俺は台所へ行き、朝食がテーブルに並べられるのを待った。おふくろは咳きを何度もしていた。だが俺はいつもの事だと思い、気にしなかった。朝食がテーブルに並ぶと俺はすぐ食べて自分の部屋へ行った。部屋にある、机の引き出しを開けた。そこには俺の通帳が入っている。実は俺は、おふくろのため思って、金をためていた。もうちょっとで10万だった。10万円たまると、俺はおふくろにプレゼントを贈ろうと思っている。親父が死んで、1人で俺を育ててくれたおふくろに。俺は中学生だが、背も高いし、金髪だから、バイトをしても中学生だとはばれなかった。
そして1ヶ月後〜
とうとう念願の10万円が貯まった。俺は銀行から金をおろした。10万を財布にしまい、街を歩いた。何を買おうかな。と迷っていた。そしてそこへ、20人の不良達が来た。
「おい、上田。ちょっとツラかせよ。」
声をかけてきたのは、俺が前にボコボコにした奴だった。今度は仲間を連れてきやがった。俺はヤバイと思った。金がとられたらおしまいだ。と思ったからだ。
そして、古い神社に連れてこられた。
「上田、前はよくもやってくれたなぁ。次は俺の番だよな?」
相手はそう言って、仲間と一緒に俺を囲んだ。俺はもう終わりだと思った。
そして俺はボコボコにされた。相手はまだ気がすまないと言い、俺のポケットをあさりだした。そして財布が見つかった。
「うひょー!上田、お前金持ちじゃねぇか!10万もあるぜ!ありがとよ!」
相手はそう言い、去って行った。
俺は泣いた。おもいきり泣いた。
そしてボロボロのまま家に帰った。家に帰って、中に入るとそこには、信じられない映像が目に入ってきた。
おふくろが倒れていた。
「おふくろ!!おふくろ!!!」
急いで救急車を呼んだ。すぐに救急車は来て病院へ運ばれた。俺もついて行った。手術室におふくろは入って行った。俺は大丈夫だよな。と心に言い聞かせた。5分もせず、手術室から医者は出てきた。
「おふくろは!?おふくろは大丈夫なのか!?」
医者から信じられない言葉を聞いた。そして俺は黙って下を向いた。そして医者は喋った。
「あなたのお母さんは、咳きをしていませんでしたか?」
俺はうなずいて言った。
「ああ。毎日のようにしてたよ。」
「それは病気の始まりなんだよ。もうちょっと早く病院に来れば…。」
俺は走って家に帰った。布団を抱きしめて俺は泣いた。
俺はおふくろに何もしてやれなかった。おふくろに面倒ばかりかけて…親孝行など1度もしていない。なのにおふくろは逝っちまった。おふくろ…なんで俺に親孝行させてくれなかったんだよ!おふくろ!!
そのまま俺はずっと泣いていた。1日中。
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2005/08/01(Mon)13:04:14 公開 / アスパラ
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■作者からのメッセージ
もう疲れたんで続きはまた今度。