- 『無題』 作者:月夜叉 / 未分類 未分類
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全角2002文字
容量4004 bytes
原稿用紙約6.65枚
―罪を、購え
―使命を、与えよう
―許されるなどと、思うな
その罪は、今なお呪縛の鎖となってわが身を苦しめる
第一話「一柱に魅入られし者共」
「ああああああ、腹がたつったら腹がたつ!!」
夜中のビルの屋上の上で一人の少年の叫び声が響く。歳は16歳くらい、顔立ちは整っているが、黒曜石のように黒く輝く瞳と頬にはしる一筋の傷跡、黒く日焼けした肌があまりそれを感じさせない。体格はどちらかとゆうと細身で、背中で束ねられている黒髪が更に少年を華奢に見せる。
「狭霧の野郎こんな遅くにこんなめんどくさいこと頼みやがって!!そう思わねぇか氷室!!」
隣のとゆう少年に同意を求める。 歳は14くらいで肩まで届く髪は赤茶に白磁の肌、やや長い前髪の下に湖のように澄み切った青い瞳が覗く。隣の少年よりずっと小柄だが、何の色も浮かばない無表情が、この少年をはるかに大人にみしている。
「・・・イヤなら俺一人でやるよ。帰ってていいよ、凛。」
凛と呼ばれた黒髪の少年は困ったなとゆう顔をして頭を掻く
「や、こんな理由で帰ったら翔に追い出されて雪羅には・・・」
瞬時、先ほどまでと違う風が長い凛の髪を翻す。
「・・・帰るわけには行かなくなっちまったみてぇだし。」
「そうだね。」
目の前に陽炎のような黒い影が現れる。それはゆっくりと獣の形を成していく。その赤い目が向けてくるのは・・・まぎれもない殺意。
スッと目を細めて氷室は手をあげようとするがそれを凛が手で制す。
「・・・下がってろ氷室。」
ニィ・・・と唇の端を吊り上げる。
「コイツは・・・俺の獲物だ!!」
言い終えると同時に凛は走り出す。完全に獣―化け物―は耳を劈く咆哮をあげながら向かってくる凛に拳を向ける。一瞬化け物の拳は凛をなぎ払ったかのように見えた。ニヤリ・・・と化け物が笑う。氷室は短く嘆息する。
「・・・おっせーよ!!」
後ろに現れた凛の手には日本刀のような細長い刀が握られている。その声が耳に届くと同時に鮮血が散る。二度目の咆哮が夜闇を切り裂いて響く。
「あー、うっせぇなー!!」
ピッ、と刀についた血を掃う。
「めんどくさいって言ってたのに・・・」
はっと気がつくと同時に氷室の残像を化け物の拳が叩き潰す。コンクリートの地面に大きな穴が開く。
「うわぁぁぁぁ!!避けるなよ氷室!!」
「一発で仕留めなかった凛が悪い。」
手すりの上に着地した氷室はこのままだと確かに処理がめんどくさいなと思い、目の前で化け物に斬りかかっている凛に悪いなと思いつつ手を上にあげる。
クス、と氷室の口から笑いがもれる。
「・・・バイバイ」
・・・鳴り響くのは一発の銃声。ピッ、と氷室の頬に血が飛ぶ。いつにまにか氷室の手に握られていた銃から煙が昇っている。ドォ・・・ッとゆう音がして化け物が倒れる。
「んだよ片付けんなよ氷室ー!!」
「・・・ごめん」
倒れた化け物の手が動く。二人同時に身構える。
『一柱に・・・魅入られし・・・者共よ・・・・』
化け物の口から悪臭のする血が吐き出される。
『この・・・世界の・・・・終焉は・・・近い・・・すべては・・・狭霧の・・・せいだ・・・せいぜ・・・い苦しみ抗えと・・・我が主・・・』
肉を切り裂く音と銃声が同時に鳴り響く。
「・・・狭霧の罪は俺達が償う。これ以上の罪は背負わせない。」
呟く凛の顔には固い決意が見える。隣で氷室も頷く。
あのとき、暗い地獄の淵から狭霧に救い出してもらったあの時から、
この人のために生き、この人のために死のうと思った。
その思いは、今も変わらない。
「帰ろうよ。きっと皆心配してる。」
「・・・ああ。」
先程の表情の欠片も無い顔で凛は頷き、その場を後にする。
二人が去った後の屋上に、一つの影が現れる。その影は化け物の死体を見、静かに笑うと死体に手を翳す。黒い炎が化け物を包み込むと同時に、耐え切れず大声で笑い出す。その声は静寂が支配する町にいつまでも響いた。
一人の青年が、夜空を眺めていた。月明かりに輝く銀髪に白磁の肌、深い悲しみを宿した藍色の目、スッと通った鼻筋形よい唇―。それはまるで神が気まぐれに作った人形に命を宿したかのような美しさだった。その頬を、一筋の涙が伝う。
「・・・狭霧。」
呼ばれて頬の涙を拭わずに振り返り、淡く微笑む。
「乖離。」
「何だよまーた昔のことを思い出してたのかー?」
言いながら狭霧の頬にふれ涙を拭う。狭霧の顔が少し曇る。
「うわっ、何だよ調子狂うな―じゃ無くて悪ぃ気にすんな今の無し!!」
ナシナシ、とごまかそうと懸命な乖離の顔を見てからまた上を見上げる。
「思い出してたわけじゃない。」
忘れてたこと自体、ないのだから。
そうゆう狭霧を乖離は痛ましげに見る。
「・・・俺達はお前を裏切らない。今はそれじゃ駄目か・・・?」
答えずに狭霧はただ微笑んだ。
深い絶望が襲う
祈りさえ届くなら
永久に信じ続けよう―
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■作者からのメッセージ
初めまして。
ああ、ここにコメントするの三回目ですよクタクタです。一回目は何故か電源が落ちー、二回目は書き終わった!!さぁ投稿だ!!と思ったらパスワード未入力。死ぬし・・・。3度目の正直、文字どうり汗と涙の結晶ですよ!!打つのが遅い、考えるのが遅い、今度は頭ひねっても文章が思い出せない、しかも部屋の中で羽蟻大発生!!ふざけんじゃねぇ!!と叫びっぱなし・・・。狭霧と乖離、凛と氷室以外の3人(下参照)もこの話で登場するはずなのですがあんまりにも遅いので、リタイア。2話に持越しです。
いつも外国っぽい名前ばっかな小説なのにここはそうゆうの無しっぽかったので苦しかった・・・。戦闘苦手・・・。
アニメ好きの腐女子でアニソンの歌詞(たいてい種運命)を使ってたりします。今回は、ハイカラ(略)のサビ。
イメージボイス
狭霧(さぎり)石田彰さん
乖離(かいり)鈴村健一さん
凛(りん)竹内純子さんか進藤尚美さん
雪羅(せつら)保志総一郎さんか千葉進歩さんか浪川大輔さん
氷室(ひむろ)朴路美さんか斎賀みつきさん
翔(かける)桑島法子さんか豊口めぐみさん
宙(そら)大江育江さんか久川綾さん
何とか絞っても、こんなに・・・・次回はモデルかプロフィールにしようかな。では、よろしくお願いします!!