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創作小説 投稿掲示板『登竜門』 『【ディープ・ゴースト】』
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- 『【ディープ・ゴースト】』 作者：ヒツ / 未分類 未分類
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全角2866.5文字
容量5733 bytes
原稿用紙約10.3枚
１
小さくたたずむ一つの影。周りには沢山の墓がドミノのごとくずらりと並んでいる。
こんな墓場に、こんな小さな少女が何のよう用だろう。少し不気味にも見える。
だけどその少女からは、何か違和感が感じられた。まるで、この空気になじんでいないような…
私はゆっくり近づいた。
私が近づいていることに気づいていないらしくて、ピクリとも動かない。
それがまた、不気味なのだが。
茶髪の、なかなか長い髪だった。正座をし、手を合わせている。
きっと親も心配していることだろう。今頃、探しているんじゃないか。
後姿から見て、そんなに幼いとは思えない。５〜６歳ぐらいだと思われる。
「もしもし？」
私は少女に、静かに声をかけた。
少女はゆっくりと振り向いて、私に笑いかけた。
途端に背筋がぞっとして、一歩退いた。
何だ、この少女は。
さっきの笑みは恐ろしく冷たかった。
いや、別にそれはどうでも良いことだ。私はさっき居た位置に、少女と目線を合わせるよう座った。
「…お姉さん、誰？」
それはこっちの台詞だろう。
そう思いながら、私は微笑みながら答えた。
「お姉さんはね、真浜美代子 っていうんだよ。君は？」
「千代は、出雲千代 っていうの」
にっこりと微笑む少女の姿が、さっきと違って愛くるしい。
でも、この子は何故こんな所に一人でいるのだろうか。
母は？父は？兄弟とかは？
私は聞こうとしたが、やめた。
彼女の顔や、袖から覗いた腕や足には、アザやカッターか何か、刃物で切られたような傷があった。
それも普通じゃない。これはたまたま出来たものなんかじゃなくて…
虐待、というものだろう。
「千代ちゃんは、こんなところで何してるの？」
「ん…お祈り」
お祈り？そうでなく、お参りだろう。いや、少女に言っても仕方がない。
私は祖父のお参りに来たのだ。少女もきっと、祖父か親戚か…
まぁ、周りに親達が居ないのが不思議だけど…
「……え？」
思わず目を疑った。結構低めの高さの墓に、刻まれた文字。
何度見ても文字は変わらなくて、私はそれが信じられなかった。
”出雲 千代”
少女と同じ名前を持つ友達が居たのか？
私は少女を見た。
少女は依然と変わらず、笑顔で墓石を見ている。
「こ…の人、知ってるの？」
「うん。千代だよ」
「千代って…千代ちゃんのこと？」
子供でも分かるような言葉を使う。
少女は、きょとんとした顔を見せた。
「そうだよ？」
じゃあ、この子は？
私は震えた。
あの時の、不気味だった表情は。何か感じた違和感は
少女が……
「痛かったんだ……何か赤いものが沢山出て…お母さんが、ちょっとだけ笑ってた。
千代、笑ってくれて嬉しかった」
…痛い
私の胸が、切り刻まれるように痛かった。
母親は、こんな純粋な少女を殺したのだ。
その少女は、自分が死んだ ということに気づいていないのだ。
……残酷すぎる。
少女の笑顔が、痛々しい。
「それでその後、千代お空を飛んだんだよ！すごいでしょ！！」
私は、やっと”そうだね”と答えられた。
手を広げて、空の大きさを表そうとする。
やっぱり、気づいてないんだ。
どうしよう。
この子に、母の居場所を教えてもらおうか。
おそらく、母親はこの子を刺した後、焼いたに違いない。そうすれば、死亡推定時刻や、指紋などは検出されない。
その間に母親…いや、少女を除いた家族は旅行か何かに出かけ…
帰ってきたとき、驚き悲しむ演技をすればいい。
そうすれば証拠も何も検出されないから、自分が犯人だという容疑があっても、
それを決定する証拠はない。
だから、自分達の行方をくらますような真似はしないはずだ。
後は自分の家の位置を教えてもらえれば、それで全ては解決する。
「…でもねぇ、その後何か変だったんだ」
「な、にが？」
「赤いの沢山流した人たちがいっぱいいて、千代を呼んだの。だけど千代、お母さんからずっと前に、
知らない人についていっちゃダメ って言われたから、行かなかったんだ！」
…母、から……？
謎だった。
何故、虐げる子供にわざわざそんなことを教え込んだのだろうか。
まさか、昔は少女を大切に…？
「それから…千代、千代の名前忘れちゃって。他の人に聞いてみたら、優しく教えてくれたんだよ。良かったー…」
他の人…
墓石の名前で教えたのだろうか。
同じ幽霊なら、誰が死んだのか分かる という事務的なことがあるもかもしれない。
「千代の家も分かんなくって、どうしよって泣いてたら、その人が助けてくれて、一緒に住もう って言ってくれたんだ！」
…記憶喪失？
少女は至って笑顔だ。
教えてくれた人も、幽霊に違いない。
一緒に住むというのは、おそらく幽霊が集まる場所だ。
親切な幽霊が居たものだ。この子一人では何も出来るはずがない。
よく見れば、この子は３歳ぐらいだったのだ。
まだこんなに幼いのに
…そんな母が居たから……
私はその母に、怒りを覚えた。
たとえ初対面でも
とても可哀想な人に同情するのは当然だ。
この子の居場所はない
そんな子を、ほっとけるわけがなかった。
「ねぇ、お母さんの顔とか、おうちの周りにあるものとか……」
「覚えてないよ？」
記憶喪失…
これはやっかいだ。
家の周りや、母の顔の大体を思い出してくれれば、何とかなるかもしれない。
犯罪なのだから、捕らえないと……
「あのね、お姉ちゃんはどんなお仕事してるの？そのお服、どこかで見たことあるのー」
「んー？お姉ちゃんはねー……」
警察官。
２
でも、ただの警察官なんかじゃない。
それをこの子に言っても分からないと思うので、私はその部分は言わないことにした。
私は、幽霊が見える。だけどそれは当然のことだった。
昔から見えていて、今では幽霊を見ても大して驚かない。驚くのは、驚くが。
私の居る警察署…は、警察署とは言い切れないのかもしれない。
そこの目的は、”幽霊”に深く関係がある。別にれ、霊媒師というわけではない。
他人に上手く説明は出来ない、複雑な場所。
そこが私の居場所なんだと分かったのは、つい最近。一年前だった。
デパートに買い物に行こうとすると、行き道で様々な霊に声をかけられる。
うっとおしい。恐怖などは感じられないが、私にはただの邪魔なものにしか見えないのだ。
だが中には、たちの悪い霊もいて。気が付けば、さっき居た場所と違う場所に居たりする。
初めて体験したときは、死んだのかと思った。
さっきまで、デパートの地下にいたのだから。突然、狭い路地に居た。
ありえない。これが現実だというのなら、架空の世界は半端じゃなくなる。
周りはコンクリート。私はそこをゆっくりと進んでいった。
目の前に、光が見えたから、それに向かって。
足は当然震えている。この先、何があるのか分からないのだから。
第一、ここはどこだろう。もう意味が分からない…
そして見えたのが、古い古い建物。コンクリートで出来ているが、周りには草が生い茂り、植物が壁にへばりついていた。
辺りは殺風景。他の建物は見当たらなかった。
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2005/07/28(Thu)10:58:06 公開 / ヒツ
■この作品の著作権はヒツさんにあります。無断転載は禁止です。 -
■作者からのメッセージ
お久しぶりです、元黒アゲハでございます。
名前は、他の場所で変わったものです。
その場所によって名前が違うと、ややこしいと思いまして…
えっと、本編について参りましょう。
今回は、いつもとは違うものです。
話のないようがよくつかめない方もいらっしゃると思います。
いや、掴んでしまっては困ります。
話が進むにつれ、段々と理解していってくださるのが私の理想です。
もしかしたら、最後までよく分からない ということがあるかもしれませんが…；
主人公は警察官です。
やけに幽霊に詳しいのは、また後日…（ぇ
それでは、これからもまたよろしくお願いします。
あぁ、題名ベタだなぁ
こんにちは。題名が変わりました。
えーと…
つまり、この警官は霊媒師に近い警官だということです。
異様に短くて本当にすみません。
時間が突如なくなりました。
誤字・脱字があれば、教えて下さると光栄です。
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