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『想い出を・・・』 作者:龍一 / ファンタジー ファンタジー
全角4540.5文字
容量9081 bytes
原稿用紙約16.5枚
学校の帰り道、俺と彼女は一緒に帰っていた。
彼女の名は高田真由。クラスでも評判の美人だ。
「孝弘、今日孝弘の家に行っていい?」
孝弘。俺の名前だ。
「いいよ。そのかわり勉強教えて」
「いいよ♪」
真由はよく家に来るが、別に恋人という関係ではない。
小さいころからの幼なじみだ。
そのことでクラスの友達にひやかされることもあるが、もうなれてしまった。
「で、今日はなにが目当てなわけ?」
「もちろん、今日こそはメモオフミックスで孝弘に勝ちに行くんだよ」
最近、俺等はメモオフミックスにはまっている。
「やっぱり、どうせ君じゃ勝てないよ」
正直、真由はかなり弱い。真由に勝つより、真由を勝たせるほうが難しい。
「ふ〜んだ、馬鹿にするなら孝弘がメモオフやってること、皆に言っちゃおう」
ぐ…、それは痛い…。
「メモオフは面白いんだぞっ!?」
「どうせゲームの女の子ばっか見て、現実の女の子なんて見てくんないんだよね…」
「ごめん、聞こえなかった。もう一回言って」
…気のせいか?今、一瞬顔が沈んだような。
「なんでもない。ところで、孝弘は好きな人とかいる?」
いきなりかよっ!
「一応いるよ」
「へえー孝弘にもいるんだぁー」
そう、いるのだ。しかも目の前に。
「そういう君はどうなんだよ」
「うーんとね、いるよ。いるけど…」
また真由の顔が沈んだ気がした。
「…どうした?」
「ううん、なんでもない」
「告ってみれば?君なら多分その辺の男ならOKするよ」
でも、できればだれにも告ってほしくない。
君が誰の手にも渡ってほしくない。
「想いは届くと思う?」
「とどくさ」
「じゃあ…」
いきなり歩みを止め、俺のほうに向き直った。
「孝弘。好きなの。つき合って」
そう言って俺に抱きついてきた。
「え、え、ちょっと…」
うれしいけど、どういう反応をすればいいかわからない
そう考えていると、真由の顔が近づいてきた。
「孝弘…」
目をつぶった。と思った瞬間、真由が顔を放し舌べらをチロッと出した。
「アハハ、ドキドキした?」
僕は、理解するまでに数秒かかった。
「あれ?孝弘?もしかして本気にした?」
「い、いや、びっくりしただけだよ」
ちょっと声が上擦ってしまった。
「ほんと〜?私が孝弘なんかを好きになるわけ無いじゃーん」
「え…」
「あ、ちょっとショックだった?孝弘のことは好きだよ。友達としてなら」
友達…。俺の心の中で、その言葉がむなしく木霊した。
「…俺も好きだよ」
友達としてじゃなく、一人の女として。
「ありがと。あ、今日はやっぱ行くのやめとく」
「あぁ、わかった」
そろそろ真由と別れる場所まできた。
「じゃ、また明日ねー」
「じゃな」
手をふって別れる。とてもむなしい。
所詮俺は、彼女にとって仲のよい友達でしかないのだ。
そう思うといつも涙が出そうになる。
僕は天に顔を向け、深呼吸してから家に向かった…。

気がつくと、昼休みだった。
周りを見ると横に真由がいた。
「おはよ。しっかしよくねるね〜。龍一と孝弘はいつも寝てるね〜」
「あいつといっしょにすんな。俺は睡眠学習をしてんだ、格がちがうんだよ」
と、言うものの、俺より龍一の方が成績は良い。
「ふーん。そうなんだ…。うっ…!」
いきなり顔を歪め、しゃがみこんだ。
「どうした!おい!顔が青いぞ!?」
ただ事ではなさそうだ。
「だ、だいじょぶだよ…。ちょっと立ちくらみがしただけ…」
そういってるが、顔は青く、息も荒い。
「保健室行ったほうがよくないか?」
「うん…、じゃあおんぶして…」
「わかった。おんぶでもなんでもしてやるから、早く行くぞ!」
「うん…。ありがとう…」
俺は素早く真由を背負うと、全力で保健室へと向かった。
途中、他の生徒に変な目で見られたが、そんなことを気にする暇は無かった。
長い道のりを経て、保健室にたどり着く。
「先生!」
そういうと同時にドアを開ける。
「どうしたの?…高田さんの具合が悪いのね。わかった。連れてきてくれてありがとう」
真剣な顔をして真由を俺の背中から抱きかかえると、ベッドに寝かせた。
「孝弘君、ありがとう。運んできてくれたのに悪いんだけど、治療するからこの部屋は私と高田さん
二人にしてくれる?」
「はい、わかりました。真由を、お願いします」
俺は部屋からでた。
結局今日は、一度も教室には戻ってこなかった。

次の日は、何事も無かったように登校してきた。
「真由、大丈夫なのか?」
「あ、孝弘おはよ。ぜーんぜんだいじょぶだよ」
元気よく、握りこぶしを作ったマネをする。
「あ、そうだ」
真由は俺の耳元に近寄ってきた。
「昼休み、屋上に来て」
「わかった、でもなんで?」
「へへへ、お弁当作りすぎたもんで。いつも孝弘は購買で買ってるからさ、分けてあげようと思って」
それはありがたい。遠慮なくもらうことにしよう。
「しょうがない、食べてやるか」
思ってることとは違うことを言う俺。
「ありがと。じゃ、屋上にきてね」
そう言って、彼女は笑顔を見せた。
しかし、俺はまだ、この笑顔の本当の意味を知らなかった…。

…これは、つくりすぎたのか?
そこには二つ弁当箱が置いてあり、しっかりおかずも入っている。
しかも、二つの弁当箱にはそれぞれ違うものが入っていて、片方の弁当箱は、
俺の好きなものばかり入っている。
「ほんとに作りすぎただけなのか」
「ううん。ほんとは、孝弘の分まで作った」
え?すごくうれしいんだけど。
「…ねえ、孝弘。もし、私が好きって言ったら、付き合ってくれる?」
「いきなりなんなんだよ…」
弁当に手をつけようとおもったら、弁当箱を取り上げられた。
「いわなきゃあーげない」
「わかったよ…。で、なんだっけ?」
「だから、私が好きって言ったら、付き合ってくれる?」
何でそんなことを聞くのだろう。でも、もし真由にこくられたら…。
「付き合う」
「ほんとにー!?じゃあ、付き合おう!」
…え!でも、真由は他の奴が好きじゃなかったのか?
それとも、ほんとは俺のことを…?
いろいろ考えていたら、真由が抱きついてきた。
「ずっと前から好きだったんだよ?なんにも孝弘は気づいてくんないしさ」
そうか…、真由は前から俺のことがすきだったんだ…。
「俺だって前から君の事が好きだったんだよ。お互い様だよ」
「ええ!そうだったの?もっと早く告ればよかった…」
嬉しそうなのに悲しそうだ。とても不思議な表情をしている。
今、君は嬉しいのか…?
それとも、悲しいのか…?
その表情は、何を表してるの?
俺にはわからない。
「ところで、お弁当いらないの?もうすぐ時間だよ?」
「君が話かけてきたんだろ?」
なのになぜか真由の弁当箱はきれいに空になっている。
いつの間に食ったんだコイツは…。
「ほら、あと5分だよ、急いで味わって食べてね」
難しい注文だ…。
俺は、5分で急いで味わって食べ終わり、急いで教室へと戻った。

帰り道だった。真由にいきなりデートの約束をさせられた。
しかも、明日だ。
「なんで明日なの?」
「ダメなものはダメなの!とにかく、絶対明日はマリンランドに来てよ」
ほぼ強制的に行くことになった。
「じゃあ、ちょっと今日は用事があるからさき帰るね。ばいばい」
真由は走っていってしまった。
なんだったのだろうと思いつつも、今日は早く帰って寝ることにした。

「ねえ孝弘、何から乗る?」
俺達は約束通りにマリンランドに来ていた。
空は晴れていて、雲ひとつ無かった。
「俺は何でもいいが…」
「じゃあさ、ジェットコースター行こう!」
「いきなりかよ…。まあいいけど」
「じゃあ決まりー」
真由は俺の手をとり、ジェットコースターへと連れて行く。
俺もそれに従って、真由に引かれた方向へついて行く。
今日は、真由にすべてを任せることに決めた。

その翌日の朝だった。
朝ポストに入っていた手書きの手紙を見た。
そんな馬鹿な…。
俺は信じることができなかった。
手紙にはこう書いてあった。

世界一大好きな孝弘へ

孝弘、ごめんね汚い字で。
昨日はデートしてくれてありがとう。
なんで、昨日じゃなきゃダメだった理由を教えてあげるよ。
私ね、病気なの。
それもね、不治の病で、これにかかったら絶対死んじゃうの。
なんの障害も無かったように見えたと思うけど、
この病気は体の内側からどんどん蝕んでいくんだよ。
そして、激痛が走り、
そのうち死に至る。
私はね、どうしても死ぬ前に孝弘と恋人として遊びたかった。
だから、毎日毎日麻酔みたいなのを体にうって、学校生活をすごしてたんだ。
ほら、一回だけあったでしょ、私が急に苦しんだこと。
あれは、薬が切れちゃったもんで痛みがでてきたんだ。
そのとき、孝弘は私をおぶってくれたよね。
すごくうれしかった。
こんなこともあったよね。
帰り道に嘘の告白して孝弘に抱きついたこと。
あれは、死の恐怖から逃げたかったからなの。
孝弘といると、自分が病気ってことも忘れられたから。
すっごく長くなっちゃったね。
そろそろ本題に入るよ。
手紙を書いた理由は、お別れをするため。
今日、私は死ぬの。
もうね、薬でも痛みを抑えられなくなってきたんだ。
だから、今日、薬で安楽死するの。
だから、もう孝弘とは会えない。
死ぬ前に会いたかったけど
会ったら死にたくなくなっちゃうから会わないことにしたの。
だから本当にお別れ。
この手紙が届く時には、私はもうこの世にいない。
でも安心して。私はいつでも孝弘を見守ってるから。
バイバイ愛しの孝弘。
大好きだよ。

真由より

「……」
とめどなく涙が溢れた。
「ばかやろう…、やっと、つきあえたのに、もう、お別れかよ…。
なんで、言って、くんなかったんだよ。
ほんとに、君は、それでよかったのか?」
君はもう、遠い存在となってしまった。

次の日、真由の葬式がおこなわれた。
そこで、真由がこの病気を生まれた時から持っていたということや、
真由はいつも病院通いだったとか、
毎日痛くて苦しんでいたこととかも、
いろんなことを知った。
でも、そんなことを知ったところで意味は無かった。
木箱の中にいる真由を見る。
彼女の顔は喜んでいるように見えた。
…まるで、悔いはない、というような顔で。
「君は偉いよ。ずっと病気とたたかっていたんだね。
君は病気に勝ったんだよ?痛みに耐えて、みんなと同じように暮らして。
なのに、君は行ってしまった…」
木箱の中にいる真由に話しかけても答えない。
真由は死んだんだ、と再確認してしまう。
涙が溢れてきた。
俺は涙を隠すために外へでた。
すると、フッと温かい風に包まれた。とても懐かしいかんじがした。
一度目を閉じて開くと、そこには真由がいた。
「…孝弘、そんなに泣いてちゃだめだよ?私はいつも孝弘の側にいるからね?」
「真由…。そうだな、いつまでも泣いてちゃダメだな。君だって病気相手にがんばったんだからな」
「そうだよ、だからねがんばろう。私も一緒だから」
「ありがとう」
「うん」
また、目を閉じてゆっくりと開けると、そこには誰もいなかった。
「ありがとう」
誰にも聞こえないように呟いて、天を見上げた。
雲の隙間から光が差し込み、まるでそれは、天が真由をやさしく祝福しているようだった。

END
2005/07/03(Sun)14:22:36 公開 / 龍一
■この作品の著作権は龍一さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
はじめまして龍一です。
この作品は他の小説投稿掲示板にも書いてありますが、書いた本人は両方とも俺ですので、パクリではありません。
その掲示板は「日暮茶坊 公式ホームページ」というとこです(疑わしいなら両方の龍一にメールを送ってもらっても結構です)
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