- 『芸術家 』 作者:Town Goose / 未分類 未分類
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原稿用紙約6.8枚
とある天才「芸術」画家と、とある天才「芸術」小説家の話
昔々のようなお話か。とある天才画家と、とある天才小説家の話があった。いや、「話」というより「話し」なのかもしれないが、そんなことはどうでもよい。
ただ、その物語に二人の男がいた……瞼を閉じるように、薄く薄く、小さな物語……
do now not getgetget futule
懇々と雨が降りしきる中、二人は走った。どちらの男も、場所が違くとも理由は同じ、雨を凌ぐ為、走った。
――――そして、結果も同じ、その二人は、偶然(ひつぜん)に出会った……
多分雨宿りに、と入った店だったのだろうか。だが、不意打ち、とでも表しようか?その店はかなりの異端だった。
《おや…珍しい。二人しか来ないなんて………
ようこそいらっしゃいました。お部屋へどうぞ》
なんでも、語り合わせるのだそうだ。そして勝負させる。それが楽しみでしょうがないのだ、と支配人はうれしそうに語ってくれた。
「さあ、語り合ってください。ただ、今回は何時もと趣向を変えてみますかねぇ。こんなのはどうでしょうか?」
――――――この先、どちらが成功するかどうか、……とか、ね?
芸術家と芸術家の話
「さあて…、どうしましょうか?実は私、人と話すの苦手なほうなんですよ。」
「小説家、なのにですか?」
その答えに、小説家は苦笑する。
「はは…何せ売れない小説家ですからね。それに、多分、自分は愚かなんです。自分の文章に絶対の自信を持ちながらソレを認められず、しかしソレが私の芸術である以上変えることは嫌なんですよ。」
それに、画家は笑いながら答えた。
「その気持ちは分かりません。僕も芸術家ですから。」
「ふふ、面白いですよね、同じく芸術家だから分からない。さらに面白いのが一般人にすらその気持ちは分からない。なんたって、芸術家ですからね。」
まったくです。と
「詰る所、芸術家なんてのはあれです。自己満足なんですよね。しかもソレを他人と共有しようとするからたちが悪い。もともと自分と他人の価値観がずれているにも関わらずソレを誰かに認めてもらいたい。とあるアメリカ囚人の話を思い出しますよ。」
「孤独は人生最大の恐怖である……でしたっけ?つまり孤独に耐えられないから、誰かに認めてもらいたい、と。」
「違いますよ、孤独は人類最大の恐怖である……です。自分の思ったことを他人に押し付ける、というよりみんなそうなんだ、と思い込んでるあたりが僕たちとそっくりじゃないですか。」
う〜ん、とうな垂れる小説家
「どうなんでしょうかね。自分と似ているモノなどクローンでさえあり得ないと思いますけど、……でも、やっぱり似ているんでしょうね。」
「芸術家って根本は同じなのかもしれませんね。まったく違いますが。」
二人は、笑った。
「さて、そろそろ本題に入りましょうよ。私たち、どちらが成功するんですかね。」
「分からないでしょう」
「分かりませんよね」
「他人の心なんて理解できませんから」
二人は、笑った。
「「なんたって、芸術家ですから」」
◇
100年の月日がたった。
二人の芸術家はもうこの世には居ない。
結果
この戦いは、画家が勝った。
何故かだって?簡単だろう。よく考えましょう皆さん。小説は月日が経つことを認めますか?
ゴッホやミロ、死んでから評価される画家
誰 や誰?死んでから評価される小説家?
そんなもの、聞いたことも無い……
この小説が、
この百年後の世界に、
最高と呼ばれる小説であっても、
それは………
完
あとがき
さて、こんな事を語ってみる。絵画と小説の違いとか。絵画は時が立つにつれ、評価される可能性がある。だが、小説にはそれがない。
だから小説は芸術ではなく、娯楽である。自分の思うどんな芸術を描こうがその時代に合わなければ完膚なきまで忘却される。
さて、今、自分が書いた小説が現在、どんなにもつまらなく、致命傷なまでに変な文章だったとする。それは、果たして駄作なのであろうか?
別に自分の小説のつまらなさを正当化する訳でもない。だからもしもの話、今、自分の書いているものが数百年後、評価されるものであったとしたら?
――――言い訳ですが、それはどういう意味を表すのでしょうか?
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2005/06/25(Sat)23:43:02 公開 / Town Goose
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■作者からのメッセージ
上で書いてしまったので書くことはありません。ええと「九九の話」の番外というかそんな感じで読んでいただけたらと、