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『誘拐』 作者:I / 未分類 未分類
全角886文字
容量1772 bytes
原稿用紙約3.2枚
誘拐されました。

気がつくとうっすら笑顔を浮かべた男が入ってきました。

「やあ。僕のうちはどうだい?広いだろう?おなかはすいてないかい?もうすぐコックがご飯を作るよ。」

男はそういってどこかへさっていきました。強い風が体に当たり寒いです。家に帰りたい。
逃げようとしたら男が何かを手にして戻ってきました。

「壁に向って何をしてるんだい?それよりもご飯だよ。今日はカレーさ。」

この男は何を言っているんだと思いました。壁なんてどこにも━━

男はカレーを僕に差し出しと自分は(なんと!)それを食べだしました。冗談じゃないようです。

じゃり…じゃりじゃり…ごり…
 
「このカレーのご飯はじゃりじゃりしていてとても硬いな。君は食べないのかい?」
男は口をじゃりじゃりさせて言います。男の口からこげ茶色のさらさらした粒が唾液に固まってが見えます。自分には食べる気なんてとてもしない。だってそれは…!

男は僕の分のカレーを下げると
「今日は君と眠るよ。」といいました。

「ベッドに入らないのかい?」
男にそう聞かれたけど、僕はその質問に答えることが出来ません。

しばらくして男が眠った隙に逃げようとしました。

ところがうっかり立てた物音に男は目を覚まし
「どこに行くんだい?其処は窓だよ。夜の散歩は危ないよ。君は悪い子だ。」

僕は男に動けなくされました。



4日後

いいかげん疲れてきました。何も食べてないし飲んでません。風が無慈悲に体を刺します。頭もくらくらしてきました。


「今日のご飯はステーキだよ。君は最近元気がないからね。」
おなかはすいてるけど食べる気がしません。
それをどうやって食べるのかも解りません。

ガッ!ゴリッ!ガッ!!

「このステーキは硬いな。ぜんぜん噛めない。それに繊維がいっぱいある気がする。」
男はナイフでステーキをきっています。四角くて薄茶色のステーキが「ゴリゴリ」と鳴りました。


1ヵ月後
「君は最近とても無口だね。眠っているのかい?それに最近とても臭いよ。二人でお風呂に入ろうか。」

その日一人の通行人がゴミ捨て場の真ん中で腐乱死体と話してる男を見ました。




2005/04/29(Fri)23:13:39 公開 /
■この作品の著作権はIさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
これも短くなりました。
解りにくいと思うので解説を
男が誘拐してきた子供と豪邸だと思いこんでるゴミ捨て場で生活します。

彼の言う壁はゴミの山。彼の言うステーキは板切れです。



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