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『「連続無差別殺人事件ー1〜4」』 作者:ちゃーしゅうめん / ミステリ ミステリ
全角3049文字
容量6098 bytes
原稿用紙約8.55枚
「連続無差別殺人事件ー1〜4。」
1「殺人事件」
 東京都、連続無差別殺人事件というのを知らない人は今の日本にはいない。死者10名を越える大事件となった。犯人は黒田 隆(21)の男性。逮捕できたものの、自分が犯人だとは認めていない。だが、日本警察は彼は100パーセント犯人だと記者会見で発表し、死刑判決も出た。死刑は1年後に行われる。
 だが、俺(隆)は自分が犯人ではないと牢で叫び続け、そして大声で泣く。犯人の家族も諦め、死刑を素直に受け入れている。周りの者は隆が殺人をやった。世間も警察もそういっている。

「俺は・・・。やっていない!。信じてくれ。死刑になりたくないとかそんなことを、言っているんじゃない!。俺はそもそもやってもいないんだ」
 牢の中では俺はそう涙ながらにそう大声で叫んだ。自分自身やった記憶も無い殺人になぜ、私は受け入れなければならない?。可笑しい。しかも死刑判決。誰一人疑いを持つものはおらず、弁護士さえも俺の事件を担当してくれるものはいなかった。
 冷たいコンクリートの冷たさが、俺の皮膚を感じて伝わる。小さな窓ガラスから見える風景は外で遊ぶことも立ちの姿。食事は、パン切れと少ないご飯の上にかけられたカレーライス。21歳の俺にとって見れば少ない食事の量だ。
 こんな、生活なんてやってられるか!。こんな、ひもじい生活はゴメンだ。早く、この牢から出たい。だが、そう簡単に逃げられそうもない。俺は24時間監視カメラで見られている。おまけに、牢の鍵は一番奥にある管理室の中にあり、その間約100メートル。到底、無理である。この完璧に密集されたこの空間をどうすればいいのか?。俺は毎日そのことを考え、気が付けば1ヶ月はたっていた。
「あと、11ヶ月で俺は死ぬのか・・・。短い人生だな。」
 俺は牢でそう呟く。なんだったんだろう俺の人生。実を言うと俺の大学は早稲田大学に通学しており、将来は世界的有名な歴史の学者になるのが俺の夢だった。だが、その夢ももう無い。今あるのは、死の恐怖。そのことで頭がいっぱいだった。もう、どうやってこの牢を抜け出すなんて考えてもいない、もう無理なのだ。つかまった時も、実際言うと偶然にその無差別連続殺人犯に殺された女性を見つけてしまっただけだった。そこを、警察に見られ通報。そして俺は捕まりそして今日の俺がここにいる。あの時、俺が犯人の凶器の包丁をさわりさえしなければ、今の俺がいない。後悔している。
 犯人は今頃、俺がつかまったことで安心しているだろう。世間は120パーセント俺が犯人だと決め付けているからな。絶対、自分がつかまることは無い。安心したのか、俺が捕まって無差別連続殺人の被害者はもういなくなった。

2「面会」
 月の終わりに俺は家族と会える面会時間と言うものがあり、今日が俺の始めての面会時間だった。時間は30分。短いが、別にどうでもいい。俺は死ぬんだしな。いや、いまは家族との時間を大切にするべきか・・・。まあ、どうせ相手は俺が犯人ではないと信じてくれない母だしな。記者会見のとき、「息子がどうも申し訳ないことを・・・」と言った時点で俺の敵だ。俺を信用していない。一ヶ月前の容疑者として逮捕された時も「馬鹿なことしたね〜。」と傷ついている俺に言った。そもそも母は、いつも俺のことを嫌っていた。内心、俺が捕まって喜んでいるんじゃないか?。小学生の時なんか俺を殴ったり、叩いたりしていわゆる虐待を受けた。中学の時は、勉強しろと学校から帰ったら自分の部屋から出してくれず、晩ご飯も自分の部屋で食べた記憶がある。学校では虐待を受けているじゃないか?。って皆から馬鹿にされていてた。母はこのことを知っていて、逆に喜んでいた。高校は何とか遠くの高校に行き、母の虐待の受けない学校の寮に住んでいた。
 「もう少しで、面会時間だな。」
俺が、そう呟くと奥の方から警察の人が着た。分厚い筋肉のある、あごに無精ひげのついている40歳くらいの男だった。
「逃げようなんて、考えたら死刑の期日が短くなるから注意しとけよ。」
男はそう言い、俺に手錠を渡した。指示により、俺は自ら両手に手錠をはめた。そして男は手錠の真中にロープを巻きつけ、俺を牢からだし面会室へと案内された。短い廊下を歩くと、くだりの階段とのぼりの階段がある。この収容所は3階建てで俺がいるのは2階の牢だ。男は
「下だ。」と呟き、階段を下りた。そして、階段を降り廊下を歩くと面会室がそこにはあった。面会室を開け、俺の手錠を開け面会室に入れた。男と俺が入ると「ガチャ。」と鍵のしまる音が聞え、男は隅のほうに用意された椅子に座った。
 面会室は畳9枚分ほどの狭さで互い合うようにドアがあり、真中に強化ガラスに声が聞えるように穴をあけられた境がある。部屋には窓がなく照明は蛍光灯2本ほどで明るさを保っている。
 その時、奥のドアが開いた。
「おにいちゃん・・・。」
ドアから出てきたのは、母ではなく俺の妹の黒部 綾香だった。俺は、中学生までシスコンといわれるくらい妹が好きだった。妹も、俺のことを好きだった。だが、高校のとき俺は母の虐待が嫌になり遠くの高校に行った。それから、妹とは手紙やメールでやり取りをしていた。たまに、東京から俺の実家の岡山県まで新幹線で母に内緒に妹にあったこともあった。
 しかしあるとき妹からの連絡が途絶えてしまい、手紙もメールも来なくなった。大方、予測がつき母の思惑通り俺は手紙を出すのをやめた。大学生3年生になり妹は高校3年。妹とはもう3年ほどあっていなかった。久々に逢う妹だったが前、新幹線で岡山に内緒に行った時とは違い、目は暗く半分ないていた。
「殺してなんかいないよね。お兄ちゃん、家に帰ってきてくれるよね?。」
妹がそういうと、俺は元気ななさそうな顔で
「ああ。やってはいない。しかし、世間は俺を認めていない。もう、死ぬかもしれないんだ・・。」
と言った。妹はその言葉を聴き、顔色は悪かったが少し安心した様子で、
「じゃあ、私信じるよ。お兄ちゃんが犯人じゃないって信じるよ。絶対・・・。」
と俺に言った。俺は、その言葉がとても心の中に響いた。そして、自然に涙が頬を流した。これまで、信じてくれる人なんていなかったのに、妹は俺を信じてくれる。それだけでも嬉しかった。俺は、見捨てられ孤独死するわけじゃない。妹がいる。いや、もっと生きるんだ。死刑なんてなってたまるか。この時、俺はそう感じた。
「おにいちゃん。泣かないの。面会時間過ぎちゃうよ。」
「ああ。ごめん。」
俺はそう妹に言い、古びた服で涙を拭いた。
「俺は犯人なんかじゃない。絶対いつか、お前の家に行く。これは本当だ。死刑になんかならない。あと11ヶ月で俺の人生が終るわけが無いんだ。」
妹は俺がそういうと、「本当?。」と返してきた。もちろん俺は「ああ。本当だ。」と返した。妹は、その瞬間大声で泣き叫んだ。
 「泣くな。綾香。まだ俺は生きている。安心しろ。」
俺がそういうと妹も、服で涙を拭き右手を境のガラスに当てる。俺も右手をだし妹の、手のあるほうへ出し、ガラス越しに手と手を重ねた。
「お兄ちゃん。分かるよ。手が暖かいよ。」
「ああ。おれも。分かる。」
その時、隅にいた男が「時間だ。」というと俺は手を離し、再び手錠をかけられた。
「絶対だよ。絶対帰ってきてよ。」
妹はそう叫ぶと、俺は「絶対帰ってくる。」と妹に聞えるぐらい大声で叫んだ・・・。
2005/04/22(Fri)19:10:39 公開 / ちゃーしゅうめん
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■作者からのメッセージ
一応、プロローグぐらいで3〜4は進めていくと思います。自分なりには良くできたと思っているんですけど。
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