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『とても言えない』 作者:つん / 未分類 未分類
全角1682.5文字
容量3365 bytes
原稿用紙約6.4枚


 君のことばかり考えてますなんて、とてもじゃないけど言えないよ。
 君の弁当箱を盗んだのは僕だってこと、どうしても言い出せないよ。
 君のリコーダーをこっそり咥えて、ガキみたいに喜んでるだなんて、
 君のことを想いながら毎晩あんなことをしてるだなんて、恥ずかしくて顔には絶対出せないよ。

 それでも君は毎日僕に話し掛けてくれるし、毎晩夢にも出てきてくれるよね。
 君は僕の家に来て、勝っ手に上がり込んできて。
 僕は黙って君を出迎えて、二人で並んで腰掛けて。
 君はあのたまらない目線で僕を見上げて。
 僕は君の唇に唇をかさねて。
 夢はそこで終わるけど。
 それだけで下着を交換するはめになっちゃうんだよ。
 恥ずかしくてどうにかなりそうだよ。
 ああ、だから。
 僕の気も知らずに話し掛けてくる君の可愛い顔を、蹴り飛ばしたくなるんだよ。
 一生残るような痣ができるくらい、殴ってみたくなるんだよ。
 ぶっ殺したくなるんだよ。
 
 だから話し掛けないで。
 でも居なくならないで。
 僕をイライラさせないで。
 言う事をちゃんと聞いて。
 暴力を振るわせないで。
 よく解らない事を言うのは止めて。
 ベタベタしないで。
 僕に期待しないで。
 うっとおしい気分にさせないで。
 さっさと足開いて。
 やりたいことをヤらせて。


 ある日君がいなくなった。
 そのうち戻ってくるだろうと思ってたけど、なかなか戻ってこないね。
 耐え切れなくなって、クラスの奴に君の事訊いたよ。
  
 ああ、そう。
 転校したの。
 僕のこと嫌いになったんだね。
 いいよ、別に。
 本当にもう少しで、君のこと殺してしまう所だったものね。
 知ってたのかい?
 僕の鞄の中には、布で包んだ刃物が入っているんだよ。
 君の血のついた刃物を、どうしても家に置いておきたくなったんだよ。
 また新しいことができると思ってたのに、少し残念だね。
 でも、もう気にしないよ。
 だって君は、そのうち戻ってくるんでしょ?
 

 だって僕の夢には、君は毎晩来てくれているものね。
 僕のことを愛してるって、言ってくれるんだものね。
 君にそんなことを言われると、つい恥ずかしくなって。
 僕を見つめる瞳がなんだか恐ろしくて、また酷いことをしてしまうけれど。
 それでも次の日の夜には、ちゃんと夢に出てきて。
 僕を愛しているって、言ってくれるんだよね。
 
 君が愛してるって言うたびに、僕が君に酷いことをするたびに。
 僕の精神と体の一部がドロドロになる。
 暗い部屋で目が覚めて、今の夢を追って、時間を遡って。
 鼻血とよく解らない粘液でぐちゃぐちゃになったの君の顔を思い出して。
 よぎる恍惚と幸福感に思わず口元が綻ぶ。
 でもね。
 やっぱり少し、物足りないよ。
 自分でもどうしようもないくらい虚しいんだよ。
 ホンモノの君に会いたいよ。
 でも、君のことが必要だなんて、絶対に認められないよ。
 ねぇ、いつ戻って来るんだよ。
 とっくに学校なんて卒業しちゃったよ。
 クラスの下らない連中は、今は社会人気取ってて、どんどん歳をとって。
 連中にお似合いの下らない生活してるみたいだよ。
 君は何をしてるんだよ。
 僕に会いに来てよ。
 僕を助けに来てよ。
 僕に愛してるって言ってみてよ。
 ……今度君の家へ行くことにするよ。
 夢の中では君がいつも僕の家に来るから。
 たまには僕が君の家へ行くことにするよ。
 転校先なんて、調べればすぐにわかるんだものね。
 別に会いに行くわけじゃないよ。
 ただ通りかかるだけ。様子を見に行くだけ。
 家の前でうろうろしてる僕を見つけたら。
 君は昔のように僕に話し掛けてくれるよね。
 そしたら僕は……。
 
 明日だ。
 明日君の家に行こう。
 そんなことを思いながら目を閉じたら、
 夢の中の君が、また僕に擦り寄ってくるよ。
 無邪気に微笑む顔を捕まえて、僕を見上げるその眼を抉り出してやるよ。
 そしたら優しくキスしてあげる。
 君はキスが好きだから。

 
 …………。
 君のことを――だなんて、とても言えない。
2005/04/22(Fri)03:08:03 公開 / つん
■この作品の著作権はつんさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
せいいっぱい暗い系目指しました。
しかし荒らし通報されてしまっては不本意なので、
性描写(?)は頑張って削減し、押さえ込みました。
私の中のマイナス要素をかき集めてこの程度ですので、
至らないところがあります。
感想評価をよろしくお願いいたします。
気分を害されたかた。
誠に申し訳ありません。深くお詫び申し上げます。
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