- 『一番の働き者』 作者:樂大和 / ショート*2 ショート*2
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原稿用紙約4.15枚
だぁぁぁぁ!!
やってらんねぇ!
やってらんねぇよ。畜生! なんで、こう毎日、毎日同じ仕事ばかりなんだか。いや、マジでたまには外周りの連中みたく、お天道様のもとハツラツと仕事に勤しみたいもんだね。まじ、この部署つまんねぇ!
いや、外の連中が大変なことぐらい分かってるよ。ここは中央管理するとこなんだし、大概の部署の情報は流れてくんのよ。いい情報から聞きたく無いような事まで……。まぁ、連中も夏は太陽の日射しに焼かれ焦がされ、冬は寒風に身を切られる思いで頑張ってんだろうけどな。
……そう考えると、ここは一年中暖かいしな、意外と重宝されてんのかな、俺。
いやいやいや、そう思わせるのはトップの陰謀だ。きっとそうだ。彼奴ら俺を一生ここに閉じこめておくつもりなんだ。そして、ずぅぅぅぅっと、こんな単調で変化の無い仕事を押しつけておくつもりなんだ。ゆるせねぇ!ああ、イライラする!
大体、トップも何考えてんだか分かりゃしねぇ。どうしてここまで部署ごとで仕事に差をつけるかね! 俺らみたいに年がら年中休み無しでチマチマ働いてる所もあんのによ。大概の部署はちゃんと決まってお休みがあるそうな。何でもいいからちったぁ労えっての。俺、偉い! うん偉い!
この前なんか、下の部署の奴の愚痴聞いて俺ぁキレそうになったね。何でも、大きな飲み会があったらしくて、えらく騒がしいと思ってたんだが、翌朝には二日酔いだぁ〜、気持ちわり〜、アルコール分解しきれてねぇよ〜だとよ! 馬鹿か! てめぇら、アルコールと触れ合えるだけでも感謝しやがれ! んな事言ってるから、そんなに脂肪だらけの不健康状態爆進しちゃってんだよ! 俺なんか……、俺なんか……、てめぇらがワイワイと楽しく、よろしくやってる間チマチマと仕事してんたんだよぉ。俺も一度でいいから思いっきりアルコール漬けになってみてぇぜ。もう、アルコールでスイミング!
ああ、もう血管片っ端から切れそう!
上の部署の奴らは奴らで、朝から晩までスパスパ、スモーキンタイムだとよ。てめぇらなんかヤニまみれになりやがれ! いや、もうヤニだ! ヤニ部署! あんたら真っ黒!
……マジで、ここロクな事ねぇよ、きっと俺が一番損してるんだよ。死ぬまで、休み無しでこき使われんだよ。ああぁああぁ、辞めたい、辞めたいよぉう。トップは本当に俺の事考えてくれてんのかな。この前、なんかアロマなんたらって煙や音楽やらで癒されてたらしいけど、その割には俺ん所にすんばらしい采配は全然伝わってこねぇし……。
そりゃ、昔は楽しい事もあったよ、可愛いお姉ちゃんに恋してる時期なんか、俺は人一倍頑張ったね。もう、毎日フルスロット! いや〜若かった! ビバ、俺。でもさ、最近じゃめっきりトキメクこともねぇし。毎日、毎日同じ事の繰り返し。朝から晩まで終わりの無いルーティンワーク……。
もう、飽きたよ。っつーか、何、今日?俺以外ほとんど休み?なんでこんなに静かなんだよ。トップも働いてる感じしないし……。なんだよ、また俺一人馬鹿みたいに働いてんのかよ。もういいや、今日でもう止めよ。俺も疲れた。これまで俺よく頑張った。
うん、俺偉い。ビバ俺。……何十年くらい働いたかなぁ?もう、わかんねぇや……。
……じゃあな、バイバイ。
「……午前0時56分、心臓停止確認しました。ご臨終です おじいさんは最後までよく頑張りましたよ。安らかな、最後でした」
深夜の病室のベッドの上、酒、タバコをこの上無く愛した老人は安らかな最後を迎えた。
生まれた時から死ぬまでつきあってくれた「一番の働き者」とともに……。
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2005/04/05(Tue)23:15:31 公開 /
樂大和
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■作者からのメッセージ
もう、なんでしょう?
勢いです!勢いで書ききっちゃいました(笑)
なんか、自己満スッキリって感じです。最近、上手い独白SSを拝読させてもらいまして、独白系書きたくなり、興奮冷めないウチにやっちゃいました。もともと、僕の原点なんですよね独白スタイル。イイ作品は刺激になります。やっぱり、SSはいいなぁ〜って勝手に達成感です(イイ汗)
どうぞ、皆さん、批評、酷評ガンガンぶつけてくださると嬉しいです!
すんません、さらに微調整しました(汗)