- 『窓』 作者:猿も木から落ちちゃう / 恋愛小説 恋愛小説
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全角9346文字
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原稿用紙約34.85枚
ある日、1人の女が転校してきた。
ここは、ある中学校。
僕は先月、3年生へと進学した。
僕のちょっとした紹介をする。
運動は少しできる。勉強も皆と一緒くらいできる。友達はあまりいない。ちょっと暗い性格せある。
転校生は髪は肩までくらいあって、肌は白い、背は165cmくらい。スタイル抜群の女の子だった。
僕は少しかわいいなぁと思った。
先生は、大橋先生と言って、数学担当のごく普通の教師だった。
「皆、今日は紹介したい人がいる。今月からこのクラスに入ってきた、三谷愛さんだ。仲良くしてやってくれよ。」
と先生は、三谷さんの事を紹介した。
「じゃぁ三谷、君は一河君の隣に座りなさい。」
先生は僕の横を指さしてきた。
僕の名前は一河真也。
静かに僕の方に来た君は、目を合わせようとせずに、座った。
教科書を机に入れているときにさりげなく、
「よろしくね。」
と君は言ってきた。
僕も当然のように
「よろしく。」
と言い返した。
僕はなんか暗そうな子だなと思った。
チャイムが鳴り休み時間となった。
僕のクラスの女子はうるさいヤツばかりで、すぐに三谷さんのとこへ行った。
「ねぇねぇ!三谷さん!携帯持ってる?アドとか交換しようよ!」
最初に声をかけたのは、クラス1うるさい矢吹さんだった。
「私、携帯持ってない。」
と、三谷さんは返した。
「そっかぁ〜。じゃぁ今日プリクラでも撮りに行こうよ!近くにデパートあるでしょ!そこにいいやつあるんだよ!」
と矢吹さんは誘った。
しかし、三谷さんは、
「まだ引越ししてきたばっかだから、家の荷物片付けてないの。今日はどこにも行けそうにないの。ごめんね。」
と断った。
「あぁそうだね。まだ引越してきたばっかりだもんね!」
と矢吹は言って、廊下へ出て行った。
「おい!真也!」
僕に話かけてきたのは、クラスで1番仲の良い、藤井竜だった。
「何?」
と返すと、
「三谷さんかわいいぢゃん!」
と言ってきた。
僕は、
「そう?」
と返した。
本当はすごくかわいいと思ってた。
「俺狙うからな!」
と、ちょっと笑いながら竜は言ってきた。
「かってにしろよ。」
と笑いながら、返した。
そして、1時間目の始まりのチャイムが鳴った。
僕の隣に、三谷さんが座った。
僕はちょっと隣になれてラッキーだった。
「今日は教科書の120ページだったな。よし、三谷。読みなさい。」
先生は三谷さんをあてた。
「あ、はい。」
と、ちょっとあせって返事をした。
三谷さんは教科書を開いていなかったので、大急ぎでページをめくっていった。
そしてちょっと動きが止まり、
「先生、私の教科書前の学校のなので、この学校のと違います。」
と言った。
「あぁ、それならしかたないな。一河。貸してやりなさい。」
と先生は僕に言った。
「はいこれ。」
と言って教科書を渡した。
「ありがとう。」
と御礼を言って、読み始めた。
そして、学校は終わり、家に帰った。
「ただいま。」
と玄関で靴を脱ぎながら言った。
「おかえり。」
と台所から母さんの声が聞こえた。
「あ、そうそう!」
と言って母さんは玄関に来た。
「今日転校生こなかった?」
と母さんが聞いてきた。
「うん。来たけど、なんで知ってるの?」
と聞いた。
「実は、うちの隣に引っ越してきたのよ。」
それを聞いた瞬間僕はビックリした。
「え?本当?」
「本当よ。昨日隣にトラックとまってたのは、荷物入れ込んでたのよ。」
「ああ、そいえばトラックとまってたね。」
そして僕が靴を脱いで廊下に1歩踏み入れた瞬間、チャイムが鳴った。
「はーい。どなたですか?」
といいながら、母さんがドアを開けた。
するとドアの前には、三谷さんと三谷さんの母さんが立っていた。
「あ。」
と僕は言った。
すると三谷さんも
「あ。」
と同じように言った。
「愛どうしたの?」
と三谷さんの母さんが言った。
「この人、私の隣の席の人。」
と、僕に指を指して言った。
三谷さんの母さんが驚いた顔で、
「ああそうなの!?すごい偶然ですね。席も隣で家も隣ですか。」
とちょっと笑いながら言った。
僕はその場にいるのが恥ずかしくなり2階の自分の部屋へ行った。
なんで恥ずかしくなったのかは、わからないけど、顔が真っ赤だった。
そして5分くらいたつと、2人は帰っていった。
僕はカーテンを開けて窓をあけた。
そこには、全く同じ大きさの窓があった。
これはいつもの光景だった。
窓と窓の距離は1メートルもなかった。
すごい近い距離の窓だった。
ああ、三谷さんかわいいなぁ。と思いながら窓の外を見ていると、隣の窓も開いた。
僕はビックリした。
なんと、向かいの窓から顔を出したのは三谷さんだった。
「あ、一河君。」
と三谷さんは言ってきた。
「あ、三谷さん。部屋も隣だったんだね。」
と僕は言った。
「なにもかも隣だね。」
笑いながら三谷さんが言った。
「本当すごい偶然だよね。」
と僕は言った。
「だね。」
と笑いながら返してきた。
僕はまた顔が赤くなった。
「どうしたの?顔赤いよ?」
と三谷さんは言ってきた。
僕は、
「そう?熱あるのかも。」
と返した。
本当はすごく恥ずかしかった。
顔を見られるのも、声を聞かれるのも恥ずかしかった。
「熱あるの!?大変ぢゃない。」
といいながら三谷さんは僕の額に手をあててきた。
僕は、
「いや大丈夫だよ!」
といいながら、顔をよけた。
「大丈夫なの?ならいいけど。」
と三谷さんは心配そうな顔で言ってきた。
僕の顔は真っ赤だった。
窓ごしでも手は簡単にとどく。
こんなの耐えられないと思い僕は、
「ごめん、ちょっと寝るね。ばいばい。」
と言って窓を閉めた。
閉めるとき微かに聞こえた。
「ばいばい。」
と。
僕は布団にもぐりこみ、ずっと目を瞑った。
でも寝れなかった。
三谷さんの事ばかり考えていた。
僕は三谷さんに惚れてしまっていた。
僕は、なにもかも隣で幸運に思えた。
隣ぢゃなく、一緒になりたい。
と僕は少しづつ思っていった。
次の日、学校へ行こうと、ドアを開けた。
すると、三谷さんもピッタシの時間たいにドアを開けた。
「おはよう。」
と、三谷さんが言ってきた。
僕も、
「おはよう。」
と返した。
「またまた偶然だね。」
と、笑いながら言ってきた。
「そうだね。」
と言い返した。
僕の家から学校までは、5分くらいの距離だったので、僕は徒歩で登校している。
三谷さんもそうだった。
僕は歩きはじめた。
三谷さんは僕の後ろをついてきた。
「どうしたの?道わからないの?」
と僕は聞いた。
「うん、昨日は母さんと車で行ったから、よく覚えてないの。」
と答えた。
「そうなんだ。ぢゃぁついておいで。」
と言ってあげた。
「ありがとう。」
と御礼を言って、三谷さんは僕の隣に来た。
僕らはまるでカップルのようだった。
僕は最高だと思った。
そして学校へたどり着いた。
ゲタ箱で靴を履き替えると、三谷さんはまた僕の隣にきた。
「どうしたの?」
僕は聞くと、
「学校の中もまだあんまりわからないの。」
と答えた。
そして教室まで一緒に行った。
僕らは家を出て、机まで行くまで、ずっと離れずに来た。
何もかも隣だからだ。
離れる事はない。
そして、学校は何事もなく終わり、下校の時。
「まだ道覚えてない?」
と三谷さんに聞いた。
「まだ覚えてないから一緒に帰ろう。」
と言ってきた。
僕は本当に嬉しかった。
僕らは3センチくらいの幅を空けて歩いた。
すごく近かった。
家につくと、三谷さんは言った。
「今日もし良かったら、窓で話しない?」
僕は彼女をもった気分だった。
「もちろんいいよ。」
当然の答えを出した。
そして、僕はすぐに自分の部屋へ行き、窓を開けた。
三谷さんは2分くらいすると窓をあけた。
「あ、ごめん。遅かった?」
と聞いてきた。
僕は、
「全然遅くないよ!僕も今あけたとこだから。」
と言った。
「そうなの。良かった。あ、一河君っていつもここの窓あけるの?」
「うん。あけてるよ。あ、後、一河君ぢゃなくて、真也でいいよ。」
「真也?かっこいい名前ね。」
「そうかな?」
「ぢゃぁ私のことは愛って呼んでくれる?」
「うん、わかった。愛って呼ぶよ。」
こんな感じで今日の会話は終わった。
次の日。
ドアを開けると、君は道のすみに座っていた。
「何してんの?」
と聞いた。
「遅いよ!真也の事待ってたんだよ!」
「え?まだ道覚えてないの?」
「覚えてないよ。連れてって。」
と会話をして、2人でまた学校へと向かった。
そして学校から帰ると窓ごしで話をする。
これが日常となった。
そして2人は付き合い始めた。
学校の休み時間はいつも2人で話をして、登下校も2人でして、家へ帰っても窓ごしで話をする。
すごい幸せな日常だった。
そして1ヶ月たったある日。
いつものように窓ごしで話をしていた。
「ねぇ、窓ごしで話すの飽きたから、そっち行っていい?」
愛は僕の部屋に入りたいと言い出した。
「別にいいけど、あんまり大きな声出さないでね。」
と言い、僕は窓から離れて、愛は窓から入ってこようとした。
だが、愛は足を踏み外し、落ちてしまった。
窓と窓の間は、1メートルない。
この狭い空間に落ちていったので、壁にぶつかりながら落ちた。
「愛!!!!」
とさけんだが、愛は頭から血を流し、倒れていた。
壁にぶつかりながら落ちていったので、音ですぐ親が気づいた。
愛の母さんもすぐ外に出た。
僕の母さんも外に出た。
愛の姿を見ると2人は悲鳴をあげた。
僕は救急車を呼んだ。
救急車は5分程たってようやく来た。
僕は救急隊を案内した。
愛は血だらけだった。
愛は救急車で運ばれた。
僕と僕の母さんと愛の母さんも一緒に乗っていった。
愛は、集中治療室へ入った。
僕は放心状態だった。
そして、一夜が過ぎた。
次の日、僕は学校を休み病院へ行った。
愛は意識不明だった。
医者に様態を聞くと、医者はこう言った。
「やはり狭いところへ転落したので、壁に頭を打ちながら落ちたので頭へのダメージが大きいですね。今はどうも言えない状況です。」
僕はその言葉を聞き、頭の中で、僕の責任だ!と自分を責めた。
僕が集中治療室の前のベンチに座って頭をおさえてると、そこへ愛の父親が来た。
愛の父親は、警察だった。
昨夜、愛の父親は、仕事で家へ帰っていなかった。
僕は愛の父の姿を見るとすぐ立ち上がって気をつけをした。
「愛をこんなめにあわせてすいませんでした!全部僕の責任です!すいません!」
僕は謝った。
愛の父は無言で、怒りに満ち溢れた顔だった。
僕がちょっと怖かった。
愛の父は静かに口を開いた。
「外へ来なさい。」
と言い、僕に背を向け歩き出した。
僕はついていった。
そして病院の中庭についた。
「なぜ愛は落ちたんだ?」
愛の父は僕に聞いてきた。
僕は、
「僕がこっちの来ない?って誘って、窓から来させようとして、そしたら足を滑らせて。」
と答えた。
もちろん嘘だった。
愛を少しかばった。
愛の父は、
「そうか。」
と言い、手に力を入れた。
そして次の瞬間僕を殴った。
僕は倒れた。
愛の父はすごい力で殴ってきた。
「おまえはなんてやつだ。許せれん。」
と静かにいった。
そして中庭の大きな木の近くのベンチに座った。
僕は立ち上がり愛の父の前に立った。
「気がすむまで殴って下さい!」
と僕は言った。
だが愛の父は何も言わず、腕を組んだ。
そして口を開いた。
「君を殴ってもどうしようもない。殴ったところで愛が元気になるわけでもない。」
と言い、立ち上がり病院の中に入っていった。
僕は愛の父が座っていたベンチに座った。
どうすればいんだ。どうすればいんだ。とずっと考えていた。
そこへ、友達の竜が来た。
「あ、竜。学校は?」
と僕は聞いた。
「学校は終わったよ。」
と答えてきた。
僕は時計を見た。
「あれ?もう4時か。3時間もここに座ってたのか。」
僕はどうすればいんだ。と3時間座って考えていたのだ。
「三谷さんの様態はどうなんだよ?」
と竜が聞いてきた。
「愛はまだ意識不明だよ。」
「そうか。」
そして20秒くらい無言になり、竜が僕の横に座った。
そして竜が口を開いた。
「真也がそんなに悩んだって三谷さんの意識は戻ってこないよ。今は自分がどうすればいいかじゃなくて、今は意識が戻るのを願っとこうぜ!」
と励ましてくれた。
僕は、それもそうだな。と返せなかった。
なぜかという理由は言葉ではどう言えばいいかわからないが、なんとなく無責任だという考えが浮かんでくる。
そして竜は言った。
「三谷さんの事心配じゃないのか?本当に三谷さんの事が好きなら自分を責めるより三谷さんの心配しろよ。」
と言い、竜は立ち上がってカバンを持ち、帰っていった。
僕も立ち上がった。
病室に行こうか迷った。
今行っても愛の父に追い返されるだろうと思ったからだ。
そして僕は、決心した。
愛の病室へ向かった。
病室の前のベンチには愛の父が座っていた。
僕は隣に座った。
とても静かだった。
そして愛の父が口を開いた。
「やはり本当に愛の事が好きなんだな。」
と言ってきた。
「はい。」
僕はこうしか返せなかった。
「ここに来るか心配だったよ。このまま帰ったら、多分君をボコボコに殴ってたよ。」
と言ってきた。
僕はなんとも返さなかった。
そして無言が続き1時間過ぎた。
愛の父は立ち上がった。
「私は仕事がある。いくら娘が心配でも、警察だからな。仕事を休むわけにはいかない。愛の事頼んだぞ。」
と言い、去っていった。
僕は心の中で思った。
え?今までの怒りはどこへいったんだ?愛の事心配なはずなのに仕事!?
僕は混乱した。
だがすぐにその思いを頭から消し、愛の事だけを考えた。
そして、集中治療室から医者が出てきた。
僕は立ち上がり、
「愛はどうですか!?」
と聞いた。
医者は汗を拭き、言った。
「意識を取り戻しました。しかし…」
「しかし?」
僕が聞くを静かに口を開いた。
「記憶の1部がありません。」
「え!?記憶がない!?」
僕は驚いた。
「記憶がないのは1部だけです。」
「1部?」
「はい。多分2ヶ月くらいないと思います。」
「2ヶ月!?って事は、引越してくるちょっと前か…」
「はい。今はまだ両親の方しか会わせれません。」
「両親は今来ていません。父親は1時間前くらいに帰りました。」
「そうですか。では連絡をしてきます。」
そして医者は去っていった。
僕はまたベンチに座り込んだ。
少し経つと、愛の母親が来た。
愛の母は、僕の顔を見向きもせず、すぐに治療室に入った。
中の会話が少し聞こえた。
「愛?大丈夫なの?」
と愛の母がすごい勢いで尋ねた。
「あ、母さん。私何があったの?」
「え?覚えてないの!?」
「うん、医者の人に、記憶喪失になったって聞いたわ。」
「記憶喪失!?でも母さんの事はわかるの?」
「うん。記憶がなくなってるのは2ヶ月分くらいって聞いたよ。」
「じゃぁ、引越ししたの覚えてる?」
「覚えてない。引越ししたの?学校も変わってるの?」
「変わってるわよ。ぢゃぁ、一河真也君の事も覚えてないのね?」
「一河…信也?」
「覚えてないのね!?」
「覚えてない。」
僕は愛のこの言葉を聞きショックだった。
その後、愛の母がとんでもない事を言った。
「良かった。もう一河真也って子の事は思い出すんじゃないよ。」
「うん。でもなんで?誰なの?一河真也って。」
「あなたを殺そうとした人よ。」
僕はとっさに立ち上がった。
集中治療室にすごい勢いで入った。
「そんな言い方ないでしょ!僕は愛の事をどれだけ思ってると思ってるんですか!殺そうとしただなんてどうゆうことですか!」
僕は愛の母の前に立ち言った。
「どうゆう事って、あなたはあの日の晩、愛と一緒にいたんでしょ?もういいから出ていって!」
と愛の母が言った。
その時、小さな声で愛がしゃべった。
「あなた誰?一河君?」
と聞いてきた。
「うん、そうだよ。愛と付き合ってたんだよ。」
僕がそう言うと愛の母が、
「愛!騙されちゃダメよ!この子はあなたを殺そうとしたの!」
と愛の肩をもち言った。
僕はすごく腹を立てた。
「愛!僕は愛と付き合っていたんだ!本当だ!いつも窓ごしに話をしていたんだ!」
と愛を見て言った。
「私、どっちを信じればいいの?私、母さん信じたいけど、言ってる事が信じがたい。私は殺されるように生きてた覚えはないよ。普通に生活してたし。でも、一河君も信じがたい。私と付き合ってたなんて…。」
と愛がすごく悩みながら言った。
「本当に付き合ってたんだ!ぁ!窓だ!愛の部屋の窓を見れば思い出すかも!」
と僕は言った。
そこへ医者が来た。
「こらっ!今は家族以外の人は入ってはだめだ!」
と言い、僕を追い出した。
僕はまた病室の前のベンチに座った。
中の会話が聞こえてきた。
「私の部屋の窓みたいんだけど…。」
と愛の声が聞こえた。
その後母の声が聞こえた。
「見なくていいよ。あの男の言う事は気にしちゃだめよ。」
「でも…。」
「いいからゆっくり休みなさい。」
と会話が終わった。
僕は、家に帰りベッドで横になった。
そして学校にも行くようになり、1ヶ月が過ぎた。
愛は、体も大分よくなり、退院した。
僕が学校から帰っていると、愛の家の前に1台の車が止まっていた。
愛の家の車だった。
車から松葉杖の先が見えた。
降りてきたのは愛だった。
愛は退院したんだ。と思いながら自分の家の前まで来て、愛の家の方を見た。
愛はもう家に入っていて、愛の母がこちらを見てさっさと家に入っていった。
その後、愛の父が僕のところへ来て、
「母さんは君の事を恨んでいる。私は君の事を信じているからな。いつでもあの夜の本当の事を教えてくれ。」
と言って、自分の家へ入っていった。
愛の父は僕が嘘をついたってわかってるんだ。と思いながら家に入っていった。
僕は自分の部屋へ行き、ベッドに横になった。
愛と話したいな。と思いながら目を瞑った。
その時、ふと窓を開けようと思った。
そして、いつも愛と話をしていた窓を開けた。
愛の部屋には愛の母もいた。
何か2人で話してるようだった。
なにも聞こえなかったけど、僕の事を信じるな。と言っているように思えた。
そして少し経つと、愛の母は部屋から出ていった。
愛は机のイスに座っていた。
僕は話がしたいと思い、愛の部屋の窓をトントンと叩いてみた。
愛はすぐに気がついた。
こっちを見て少し経つと、窓の方へ来てくれた。
そして窓を開けた。
「愛。僕の事信じてない?」
とたずねると、
「ちょっと信じてるよ。でも…。」
と答えた。
当然僕は、
「でも?」
と返した。
「お母さんが、信じるなって言ってくるの。」
「この窓見ても何も思い出さない?」
「全然思い出せない。この部屋の事も何もわからない。」
「この窓ごしで、毎日のように僕と話をしてたんだよ。」
「そうなの?でもお母さんは…。」
「お母さんの事は信じなくていいよ。僕は本当の事を言ってるんだ。」
「うん。嘘つくような人には見えないけど…。」
「うん。そうだよ。今まで僕は愛に一回も嘘をつかなかったよ。」
「本当に私達付き合ってたの?」
「本当だよ。」
「そうなの。私達どんな感じだったの?」
「う〜ん…、喧嘩一つしなかったよ。」
「仲良かったのね。」
「うん。お互い気を使ってたってのもあるかな。」
「微妙な関係だね。」
「うん。でも仲良かったと思うよ。自分で言うのも変だけどね。」
「そうだね。」
とちょっと笑みをうかべて会話をしていた。
そこへの母が来た。
「愛!!!!何してるの!!!窓閉めなさい!」
と愛を怒鳴った。
愛は、
「ごめんなさい。」
と言い、窓を閉めた。
僕も窓を閉めて、ベッドに横になった。
愛の母には本当の事言っても聞かないだろうな。と思った。
僕は1冊の漫画を取り出した。
それを読んでいると、ふと思った。
そうだ!愛の父に本当の事を言ってみよう。そうしたら愛の母にもその事を愛の父が言ってくれて、母も信じるかも。
と思い、愛の家の玄関の前へ行き、ノックしてみた。
幸運な事に愛の父が出てきた。
「どうしたんだい?」
と聞いてきて、僕は本当の事を話した。
「あの夜、僕は愛を誘ってません。愛が僕の部屋に入りたいって言って、だから窓から窓へうつらそうとしたんです。窓と窓の間も狭いから大丈夫だと思って。すいませんでした。」
と頭を下げた。
「そうか。よくわかった。しかし、窓をわたらせようとしたのは良くないな。まぁ、母さんにも説明してみよう。じゃぁ今日は帰りなさい。」
と言い、ドアを閉めた。
これでなんとかなるかな。と思いながら自分の部屋へ戻った。
ベッドに横になり、また漫画を読み始めた。
そこへ母さんが来た。
「信也。あなたさっき、三谷さんのとこ行ってたでしょ?」
「うん、そうだけど。」
「もう三谷さんのとこには迷惑をかけちゃだめよ。もう母さんも父さんも三谷さんになんて謝罪すればいいのか。お隣さんだから仲良くなろうと思ってたのに、あなたのせいで三谷さんと全然会話できないじゃない。」
僕はなんとも返せなかった。
「もう三谷さんには一切かかわっちゃダメよ。」
と言い部屋を出ていった。
もう僕の事を信用してくれるのは愛の父だけだった。
その時、窓からトントンと、音がした。
窓の方を見ると、愛の母がいた。
僕はすぐに窓を開けた。
「どうしたんですか?」
と聞いた。
「さっきお父さんから聞いたけど、本当に愛がそっちに行くって言ったの?」
「はい、本当です。愛がこっちに来たいって言って。」
「そうなの。じゃぁ私の誤解だったのね?」
「はい、本当に愛から言ってきました。」
「じゃぁ、窓からそっちへ行こうとしたのをなんでとめなかったの?」
「すいません。この狭い空間だから落ちるとは思わなくて。」
「それはどうでもいいのよ。時間も晩いのになんで来させようとしたの?」
僕はなんとも返せなかった。
10秒くらい沈黙が続いて愛の母は窓を閉めた。
僕も窓を閉め、ベッドに座った。
どうしよう。このままじゃ問題は解決しない。
そしてまた窓の方からトントンと音が聞こえた。
今度は愛だった。
窓を開けて、
「どうしたの?」
と聞いた。
「さっき父さんと母さんの話を聞いたの。私のせいであたなはお母さんに嫌われちゃったんでしょ?」
と心配そうな顔で言ってきた。
「そんな事ないよ。僕が悪いんだ。」
と返した。
「でも、私が行こうとしたから…。」
「愛は悪くないんだ。とめなかった僕が悪いんだよ。」
「私、早く記憶が戻るといいなぁ。そしたら本当の事わかるのに…。」
「もし本当の事がわかっても、僕は嫌われたままだよ。」
「そんなのわからないじゃない。」
「とめなかった僕が悪いんだよ。あの時とめてればこんな事にはならなかった。」
「あんまり自分を責めちゃだめだよ。あなたが全部悪いわけじゃない。私だって悪かったんだから。」
「僕が全部悪いんだ。全部。僕が。」
「私だって悪いわよ。行こうとしたんだから。って言っててもきりがないね。私お母さんと話してくるね。」
と言い窓を閉めた。
僕は窓を開けたまま、ベッドに転んだ。
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2005/04/04(Mon)20:11:08 公開 / 猿も木から落ちちゃう
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少しずつ続き書きます。