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『壊れた人間は恋をする』 作者:今井詩鹿 / 未分類 未分類
全角6821.5文字
容量13643 bytes
原稿用紙約23.9枚
ああ…神よ…
この僕の手に、愛しい人に触れれるように…
この僕が愛しい人に愛されるように…
手を差し伸べてください…

第一話

愛しいひとができた、その子は親友の恋人だ。思いを伝えたくても伝えられない息苦しさを俺は感じている。愛しい愛しいあの人は、とても幸せそうに笑うの。
愛しい人が幸せなら、俺は心の中にこの気持ちを押さえて愛しい人を見守るつもりだったのに、
アイツがいけないんだ…アイツがいけないんだ…アイツがいけないんだ…
アイツのせいで愛しい人を悲しませ、そして俺を狂わせたんだ。
「響き(ひびき)ちゃん?」ある日の放課後のことだった、時間はもう6時を過ぎていた薄暗い教室の中、愛しい人が泣いていた…「どうしたの?」もう一度声をかけてみると愛しい人は涙で顔をぬらし聞き取れないような小さな声で、俺に言った。
「…真(まこと)が…キス…」片言のその言葉にとまどった。
愛しい人を落ち着かせ、事情を聞いてみると…
何ということだろうか、愛しい人の彼氏こと俺の親友の真が愛しい人の親友の翼(つばさ)が裏庭の校舎で口付けを交わしていたという。
二人とも笑っていたと…愛しい人は言った。
「真の奴…」
俺は真相を聞きだすべく真のケータイに電話をしようとした。
「−っえ…」
「やめて」
ケータイを取り出すと同時に愛しい人が俺の手を握った。
心臓が飛び出しそうだった…今にでも抱きしめたいという思いが俺の頭をよぎった。
しかし、それを押さえ「どうして?響きちゃん?真に聞かないとなにもわかんないよ?」
と言うと「怖いの…まだ…もう少しまって」

ああー
愛しい人は本気で恋をしていた…
いちずな思いで…彼を信じてきたことは愛しい人を見るとすぐにわかる。
それなのに、アイツは…っ
「今日はもう帰ろう?」俺は愛しい人を家まで送った。愛しい人うつむいたままだった。
愛しい人には悪いけど、俺はこのときを楽しんだ。
(愛しいと思える人と一緒にいることは、とても心があったかくなる)
そう思い続けていた。
次の日、俺は真を呼び出した。
「何の用だよ、若(わかし)?」彼は眠たそうな顔をして呼び出した裏庭にやってきた
「昨日、翼さんとキスしてたんだって?」一瞬彼の顔が強張った。
「んだよ…見てたのかよ、八ッ」開き直ったように笑い出す
「響きちゃんは?付き合ってるのにいいのかよ」
「ああ、アイツ?あきちゃった!まあ、顔はいいし?一容付き合っておくよ」
「二股か?」
「まあ、ぶっちゃけそんな感じかな?」
「−っひどい」後ろを振り向くとそこには愛しい人が立っていた。
「響き…(チッ)」「響きちゃん…」
泣きながら愛しい人は走っていった。そして、俺は…
ードカッ
「−っいってーなにするんだよ!」愛しい人を泣かせた彼をこぶしで殴った
「お前なんか、人を愛することはできない!これ以上彼女に近づくな!殺すぞ!!」
そういって愛しい人を追いかけた。
(僕の愛しいひと…どこにいるの?どこで迷子になっているの?まっててね…今俺があなたを迎えにいきます)

「響きちゃん…」
「あはっ…はははっははは」愛しい人は屋上にいた。狂ったように笑っていたよほどショックだったのだろう、そしてカッターを片手に持っていた。
後ろからそっと、抱きしめるといいにおいが鼻をくすぐった。
「あんな奴のためなんかに死んじゃいけないよ…君には俺がいる」
邪魔者はもういない…用意したセリフでつぶやく…
(俺の愛しい愛しい人に汚れた奴なんかに触れさせなければよかった。強引にでも俺のところに引きずり込めばよかったんだ)

今からでも遅くない…

「一緒に…いよう?」





第二話

愛しい愛しい彼女が僕のものになった…
愛しい愛しい彼女が裏切られたあの日から俺たちは結ばれた。
好きで…愛しくてたまらない…
愛している…もう彼女を傷つけたくはない…

だから俺は自分の部屋に彼女を監禁した…
俺は狂っているのだろうか?いや、ちがう…本当の恋をしているから…
愛ゆえに行った行為だ。
邪魔者はいない…これからは二人で生きていくんだ。
君がいればどんなところも楽園になるだろう。



あの日から、俺は真と言葉を交わさなくなった。そんなことはどうでもいい、学校には一つのうわさが流れていた。
ー神崎 響 が誘拐されたー…と(ふざけるな…)俺は思った。
あの日から彼女は学校へ足をはこんだことがない。
うわさを聞いた真はバツの悪そうな顔をしている。思えば彼女が学校へ足を運ばなくなってから2ヶ月たっている。もうすぐ夏休みだ…
「相変わらず若は帰るのが早いな」放課後、急いで帰ろうとしている俺にクラスの奴が話しかけてきた(ウザイ…)正直そう思ってしまう。
「ちょっと用事があってね」はき捨てるように答える。「それってコレか?」小指をたててからかうように問いかけてきた。
「そんなのより、ずっと愛しい人だよ!」
話しかけてきた奴らに背をむけ足早にその場を去っていった。

「ただいま…俺の愛しい人」荒い呼吸をしながらドアを開けるとそこには俺の愛しい人、−神崎 響 −がベットの上で眠っていた。俺はそっと彼女の髪をなで、話しかけた
「まったく…誰が誘拐だ…俺は君を汚れた奴らから守っているのに。失礼するよな。ああ…そうだ、今日ウザイ奴らがいてね、君に早く会いたいのに俺の足をとめたんだ。ほんとに迷惑な奴らだよね?おかげで君といる時間が2分も送れたよ」
「遅くなってゴメンネ?」と言って俺は彼女の額に口付けをする。
不意に彼女の唇が動いたが聞いていないふりをして、俺は晩御飯を作ることにした。
俺は、出身が秋田県なのだが東京の高校に通うために一人暮らしをしている。
(東京に来て正解だった)とつくづく思う。
(彼女に会えた…愛しい彼女に会えた…)最近、そう考える回数が多くなった。
「できたよ。今日はオムライスだ、君の嫌いなものは入ってないから」
そういって俺はテーブルにオムライスをおくと、彼女はいすにつきスプーンで一口一口丁寧に食べ始める。
彼女の一つ一つの行動に愛しさがこみ上げてくる。
「おいしい?」そう聞くと、彼女は笑って…「おいしい」と答えてくれる。
彼女が幸せならそれでいい…彼女が望むのなら誰かを殺していい。

翌日の朝、彼女に異変がおとづれた
「ゴホッ…ゴホゴホ…かはっ」朝食を食べている途中に彼女が急に吐き気をおこした。俺はどうしたらいいのかあせった。
「くるしい…よ」ハアハアと息継ぎをしながら俺に助けをもとめる
「大丈夫だから…っ俺がなおしてあげるから」
「…うん」彼女は深い眠りに入った。
落ち着いた彼女をベットまで運び学校に休むことを連絡する。
そして俺はドアに鍵をかけて外に出かけた。

図書館に足を止め一冊の本を見る。「病気の種類」
(ただの風邪とおもっていたらいけない…もしものことがあったら)
ぱらぱらと本をめくるとその本は病状から判断することのできるようになっておりなんとも簡単に病気がわかる本だった。
「吐き気に…深い眠りか…」彼女は吐き気に襲われたあと、深い眠りに落ちたそのことで病気を調べてみるが病状がいまひとつなのか、病気はわからなかった。
図書館を後にして、彼女が食べられそうな果物を買っていこうとした。


彼女と離れたことがいけなかったのだろうか?



そのとき、真は若の住むマンションに来ていた。担任から「お前は若の親友なんだからこのプリントを届けてやってくくれ」と言われたからだ。
「くそっ…なんで俺が…」
若に殴られてから一言も言葉を交わしていない真はドアの前で戸惑っていた。
(チャイムを鳴らしたら…若がでてくる…会いたくねえ…)
考えた末に真は下のポストに入れることにしてその場を去ろうとしたときに物音が聞こえた…
ーガタッ
(若の奴…いたのか)
家の中にいることを確信し真はエレベータで下に降りた。
ーチーン
エレベーターが止まったと思った瞬間真はおどろいた。
目の前に若がいたからだ。若も真に気づき顔を強張せた。
「「…」」
きまづい二人の沈黙を破ったのは真だった。「コレ、プリント…」そういって真は走りだした。






「ああ…びっくりした…」驚きと動揺を隠せない真はマンションから少し離れたところで足を止めた。
真はある疑問をいだいた。
「あいつ…一人暮らしだったよな…?」

つぶやいたその言葉は風邪とともに消え去った。




第三話


「ただいま。・・・・響!!!!!」
買い物を済ませ、帰宅しようとした途中、真にあった。そして、プリントを片手にドアを開けると廊下に彼女が倒れていた。
「大丈夫!?どっか痛いのか?」何度か問いかけるが彼女からの返事はなかった。
「どうしよう・・・どうしよう・・・ぁぁぁぁあ・・・」
俺は混乱していた、彼女が生きていることさえわからなかった。無我夢中で彼女を抱きしめその場に座った。どうすればいいのか正直わからなかった。

ー彼女が・・・愛しい人が・・・・

考えただけで極度の恐怖が俺を襲った。
「ぁ・・・ぁぁぁあっ誰か・・・誰か助けてぇ・・・・ぁぁ」
彼女を抱きしめながら叫んだ。のどがかれるまで・・・
「若!!!!」不意に、ドアの前から聞きなれた言葉が聞こえた。声の持ち主は若にプリントを届けた真だった。
「どうしたんだよ!!若!?」
「ぁぁぁ・・・ああああああっ血が!!」
「一体・・・どうしたんだよ・・・!!」真はドアの鍵がかかっていないことに気がつき、慌ててドアを開けた・・・
「わかっ・・・・響・・・?」
「助けて・・・助けて・・・血が・・・俺の愛しい人がぁぁぁぁ」
真の目に写ったのは廊下の真ん中で血を口から出して倒れている響と響を抱え込むように抱きしめている若の姿だった・・・
「お前が・・・響きを誘拐してたのか。とにかく病院に電話!!」
「まこと・・・俺の愛しい人が・・・愛しい人がぁぁ」
「電話借りるぞ!!」
真は若の家に上がりこみ、そして電話をかけた・・・
「もしもし・・・警察ですか?実は神崎さんを誘拐した人物がわかりました。同じクラスの 立川 若 です。はい・・・では」

ーガチャ

「今・・・どこに電話した?」
響を抱きしめながら真のいるリビングに若がいた。
「どこって?警察だけど・・・」
「どういうことだ・・・真・・・」
「こういうことよ・・・」
若は驚いた。さっきまで血を流し返事さえもしなかった響が自分を見つめ何事もなかったように話してくるからだ。
「真!!」
一瞬のすきに響は若から離れ真へ向かった。
「ど・・・いうことだ・・・」
「先週、響きから電話がかかってきて驚いたよ。気がついたら若の家にいて、若・・・お前に監禁されてるなんてな。俺に助けを求めてきたんだよ。信じられなくて・・・何かの間違いだって思ってたけど・・・来てみたら本当にお前が・・・」
「ゴメンネ・・・私、若君をすきになれないの。それに私・・・真にふられてから何日かの記憶がなくって・・・病気のふりをしてればもしかしたら外にでられるんじゃないかって・・・」

ーああ・・・そういえば彼女はとても演技が得意な人だった・・・

彼女は俺が血と勘違いした赤い液体をぬぐっている
「・・・・・・・・る」
「「え・・・」」二人に恐怖が襲った・・・
「お前ら・・・殺してやる!!!!!」
ー狂った・・・完全に狂った・・・ と真と響が思った瞬間台所から若が果物ナイフを取り出して真に襲い掛かった
「ぐっ・・・」
「お前のせいだ!!お前のせいだ!!汚れている!!彼女を泣かしたのもお前のせいだ!!俺を苦しめたのも俺のせいだ!!」
真は左腕のところをかすり程度でよけた。そして若は愛しい人のもとへ走り出し目の前で立ち止まった。
「どうして!?俺は君を守りたかった!!汚れた人間から!!どうして俺から離れていくのさ!君には全ての愛情を注いだのに・・・!」
「ごめんなさい・・・確かにあなたは私に優しかった。けれど私はあなたを愛せない。
あなたには何かに取り付かれたような恐怖があったわ・・・怖かったのずっと」
「・・・・」
響が言うと若はその場に倒れこんだ。

そして一時間後、若は精神カウンセラーを受けるとともに警察の世話になることになった

取調べに若は壊れたロボットのように同じ言葉を繰り返し言っていた
「・・・彼女帰りたいってつぶやいてた・・・俺がいるのに・・・何で?俺の愛しい人が離れていってしまった」







「・・・恋って難しいわね・・・」
公園で響と真はベンチで座りなから話していた
「まあな・・・若にとっては愛し方が以上だっただけだよ」
「私・・・頑張って幸せになるわ・・・」響は空を見上げてつぶやいた。
「ああ・・・・」
「だから、真も幸せにね・・・?」
「うん・・・」
「若君も・・・いつか若くんを理解して、愛してくれる人が絶対できるわ。私は彼を愛すことができなかった・・・だから私は彼といられなかった。」




「もしかしたら人間は誰かを愛し、愛されなければ生きていけないのかもしれないわね・・」






壊れた人間を理解することは難しい・・
でも、いつか壊れた人間は愛しい人に愛され生きていくだろう・・・
一方的に愛してしまうのはいけないと思う・・・
共に愛し、愛されなければ・・・
一生を愛しい人と生きていけないと・・・
そう・・・思った




END








番外編



気がついたら私は見知らぬ部屋の中にいた・・・
「いたっ・・・」不意に足に痛みが走る。足を見るとロープで結ばれベットに繋がれ
ていた。
解こうとそるが頑丈に縛ってあるロープはまるで私を逃がさないために結んであるみたいだった。
「ここはどこなの・・・?」
カーテンが閉められ薄暗い部屋はまるで闇の中だった。
ゆっくりと体を起こし、手探りでロープを切るものを探した。
何か机のようなものにあたった。そのまま手が届く範囲で机の上をまさぐった。
そして、運がいいのかハサミらしきものが手にあたり思わずそれをつかんだ。
窓際のほうに寄りそれがハサミと確信する。
「えいっ!!」

ージャキッ

足が自由になりドアを探し、ドアを開けると静かな廊下があった。
「・・・誰かの家?」
リビングへ向かいあるものを見つけた。

ー写真?

そこに写っていたのは、真と自分、自分の親友の翼、そして若・・・
しかし、真と翼に関してははっきりしない。なぜならはっきり写っているのは自分と若だけだったからだ。真と翼とされる人物は顔を切り取られていてはっきり断定ができなくなっていた。
「若君と私・・・?」
一体ここはどこなのか?そのことが知りたくて家の中を調べてみた。
そして、ある一枚の紙を見つけた。
そこに書かれていたのは手紙ではなく殴り書きされたものだった。

  愛しい人が俺のものになった。愛しい人が汚れないように俺は守るんだ。
    愛しい人は俺がいないとだめなんだ。
      もう放さない・・・

「何これ・・・・狂ってる・・・」
 恐怖を感じて慌てて玄関の方へ向かった。

ー逃げなきゃ・・・逃げなきゃ・・・

足が止まった。いや、止まらずにはいられなかった。
「だめじゃないか。部屋から出てきちゃ」
目の前には元彼の親友の若がいた
「わ・・・若くん・・・ここは、若くんの家・・・?」
「ああそうだよ」
何のためらいもなく笑顔で言う若に対し更なる恐怖が襲った。
「ああ、ロープだけじゃだめなんだ・・・君は逃げてしまう・・・そうだ、今度は手錠にしようか?ふふふ、なにをそんなに怖がっているの?」

ー完全に狂ってる

そう思わずにはいられなかった。
そして、次の日から足に手錠がかけられ完全に逃げられなくなってしまった。
彼が帰ってくるまで泣いていた。けれど彼がそばにいるときは笑った。
そうしないと彼は機嫌を損ねてなにをするかわからない状況だった。
おとなしくしていればいつか・・・きっと、とそう思い続た。

監禁されて2ヶ月がたった。そのとき彼が私の座っているベットの上にケータイを忘れたのだ。それを手に取り、あわてて電話をかけた。
「はい、もしもし」
「真・・・?」
相手は元彼の真だった
「響!?おまえ・・・今どこにいるんだよ!!」
「助けて!助けて・・・私、監禁されてるの・・・若君に!!」
そう話すと彼は驚いたように聞き返す。
「ウソだろ・・・?」
「本当よ・・・」
「とにかく学校に出てこいよな・・・」
そこで電話がとだえた。真は信じてはくれなかった。若が帰ってきたのでケータイを元の位置に置いた。

ーこうなったら行動にでるしかない・・・

前に見つけた針がねで手錠をはずそうと考えた。しかし、はずしても簡単につかまってしまうのが怖かった。だから私は病気のふりをして機会をまった。






「あれ・・・この番号って・・・」
真はケータイの履歴をみていた。
「うそだろ・・・?」





終わり

2005/03/14(Mon)10:14:21 公開 / 今井詩鹿
■この作品の著作権は今井詩鹿さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ

やっと終わった!!(バンざーィ)
あああああ・・・なんか早く終わらせたくって最後は意味不明になってしまった。
暇なときにまた書き直すと思いますが、一容コレで完結とさせてもらいます!!
何か番外編まで書いてしまった・・・
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この作品の投稿者 及び 運営スタッフ用編集口
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