- 『スーパー家族4【1】』 作者:千夏 / 未分類 未分類
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朝の光はなぜにこんなにも美しいのだろう。
制服を着た、ランドセルを背負った、スーツを着た人々が、皆いつもと同じことを繰り返す。それでも太陽から放たれる強い日差しは毎回異なる。僕も、毎度それを敏感に感じ取る。でも変わらない、いつも僕は目覚めるとカーテンの隙間から外を見下ろす。
「おはよー朝岡」
僕の寝ている部屋のドアがガチャリと開いた。そこから覗き込む小さな女の子、マリア。確か、イギリスの女の子だった気がする。現在小学三年生だ。
「朝岡ぁ」
マリアは僕を朝岡という。日本語の発音で。マリアは僕が寝ていたベッドの上に、よじ登って来た。そして抱きつく。長いブロンドの髪が日光に当たってキラキラと眩しい。僕は目を瞑り、マリアの頭を撫でた。
「おはようマリア。今日も学校やで、はよ夢から覚まさんかい」
んーん、とマリアは頭を僕の腹に擦り付けて来る。少しくすぐったい。僕は、ベッドへ倒れこんだ。
「眠いぃ」
「僕も眠いでー」
青い瞳で僕を見て、笑った。僕も笑った。マリアは朝岡、朝だよぅと言って起き上がると、小さな手で腹をポンポンと叩いた。
「よーし、今日も一日がんばらなあかん!マリア、着替えや!」
僕はそう言うとマリアをベッドから降ろし、二人で居間へ向かった。
「よっ」
右手を少し挙げながら、大和が言った。居間にあるソファの上に寝転がっていた。
「大和もはよ起きー。マリアが一番早いやん」
マリアは僕の左手をしっかり握って、あたしが一番と恥ずかしそうに笑った。
大和は起き上がるとテレビのスイッチを付けた。いつものアナウンサーが朝早くからハキハキとした声でニュースを読み上げている。テレビが付いたのを確認すると、大和はマリアの前に立って
「マリア超可愛い」
寝ぼけた感じでぎゅーと抱きしめた。マリアはあははと笑っている。
「やめんかこの変態大和!」
僕は大和の寝ていたソファに、ペシャンコになった昨日の新聞を見つけてそれを丸めて頭を叩いた。
「いってー!マリア、こいつ俺の頭殴ったんだぞ、笑ってる場合か!」
マリアは声をたてて笑った。大和はヤンキー座りで頭を摩っている。マリアは僕の見方について、大和が悪いのー、とペシペシ頭を叩いた。
僕らはあと一人、佐代の存在を忘れている。
「ちょっとー、あたしの存在忘れてんじゃないわよ。つれないなーマリアまでこんな腐ったアホどもと笑いあって」
居間へ入ってきたこの女は、亀島佐代。この家で一番年上だ。
そんなこんなで、この家の一日は始まる。
年齢が若い順で言うと、マリア、大和、僕、佐代だ。その年齢差なんと…いっぱい。数えるのが面倒になるほどである。
そもそも、なぜ僕らがこんな風に暮らしているのか、それには深い訳があるのだ。それは、今まで辿って来た道のりが関係している。
続。
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2005/02/20(Sun)15:38:02 公開 / 千夏
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■作者からのメッセージ
コンニチワ、お久しぶりですv
今回は新連載になります!!
こういう非現実的なものを書きたくてv
とうとう書いてしまったというわけです!
多少無理のある設定もこれから多々でてきますが、
そこはどうぞみなさんの広い心で見守ってください。
それではv