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『冬なのに麦わら帽子』 作者:朱華 / 未分類 未分類
全角1486.5文字
容量2973 bytes
原稿用紙約5.65枚
変なのにすごく気になる。

変だからすごく気になる。

でもこんな気持ち恋じゃない。

あいつが変わり者だから、気がつくと目で追ってるだけ。



学校から帰って、着替えて買い物に出かけた。
今は2月。外がひどく寒いからニット帽を被って。
やっぱり街を歩くと、マフラーをしてニット帽を被っている人が多く見えた。
いつもと変わらない街並み。一つだけ気になるものが見えた。
麦わら帽子を被っている。冬なのに麦わら帽子。
「深沢っ」
私は麦わら帽子を見た瞬間走り出して、男の頭にのっている麦わら帽子を奪った。
男は驚いて振り向いた。思ったとおり、正体は深沢昇。
「あ、相見さん」
「あ、相見さん。じゃないよ!何これ」
思わず声を張り上げてしまったので、周りの視線を少し感じた。
「麦わら帽子だけど」
深沢はきょとんとしている。
「そんなの分かってるよ!今は冬だよ、なんで麦わら帽子っ?おかしいって。周りの目とか気にならないわけ?」
手に持った麦わら帽子を動かして、身振り手振りで一気にまくしたてた。
「………………」
深沢は黙りこくってしまっている。
「言いすぎたかも…ごめ」
「返して」
深沢は特に怒らず気にもせず、いつもの声のトーンでそう言った。
「あっ、うん」
急に言われてとまどって、素直に帽子を返した。
「ありがとね、じゃあ」
そう言うとあっさり、麦わら帽子を深く被り直して歩いていってしまった。
わからない。本当にわからない人。
でもこのままだと、らちがあかないので、深沢を追いかけた。
「待ってよ」
深沢はまた振り返った。
「今度は何?」
「何って…」
しばらく続く沈黙。その間に二人の横を五人は通った気がする。
「俺相見さんに何かした?」
いつものきょとんとした目ではなく、少し怪訝そうな顔をした。
「何もしてないけど、でもその帽子…」
なんだか怖かった。深沢がすごく大きな人に見えた。
「なんでそんなに俺のことかまうの。迷惑かけた?」
「かけてない…ごめん、なんでもない」
もう何も反論できず、声も小さくぼそぼそとしか喋れなかった。
あっそう、と言って深沢はまた歩いていった。
私は追いかけることもできずに、ただ後姿を見ているしかできずに。
すると、私の横を通った女の子達が、あきらかに深沢のほうを見て笑った。
「なに、待って!あれ麦わら帽子?」
「えっ、わけわかんないあの子」
「冬だよね、ほんと変だよ、おかしいって」
指をさして笑いながら、曲がり角を曲がっていった。
どうしてかわからないけど、悔しくて。
笑われているのに気づかない深沢の後姿を見ていると、なんとも言えない気持ちになった。
なんでだろう。私に迷惑かけたわけじゃない。変だと思うならさっきの子達みたいにバカにして笑ってればいい。
なのに、そんなことできなくて。


少し早歩きをしたら深沢に近づいた。
年季が入った麦わら帽子。何かあるんだろうか。
注意されても笑われても被っていたい麦わら帽子。
その意味は分からないけど、なぜだか分からなくてもいい気がした。
そんなことよりもっと大事なこと。
私は深沢の肩を叩いた。
「相見さん…何」
「さっきのことはごめん。余計なこと言って。今度はちゃんと言いたいことがあるの」
深沢の目はまだ厳しい目をしている。
「好きなの。好き、すごく好き」
「え……」
「好きでいていいですか?」
深沢の目が優しくなった気がした。
「俺、変だよ」
「いいの」
「麦わら帽子だって被るよ」
「いいの」
「本当に変だよ、なんで俺なんか…」
「私も相当変わり者みたい」

夕方の道を並んで歩いた。
麦わら帽子をかぶってちょっと照れた人の横を。


おわり。

2005/02/01(Tue)19:40:46 公開 / 朱華
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■作者からのメッセージ
はじめてなんで話の展開も変です…。
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