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『Until a sandglass finishes.(修正)』 作者:新先何 / 未分類 未分類
全角928文字
容量1856 bytes
原稿用紙約3.2枚
Until a sandglass finishes.

           砂時計が、終わるまで

 きっと君がひっくり返したんだ。
 気がつけば赤い砂は流れる様に下へ、下へ。十五分の間動き続け下へ。

「知ってた?砂時計の中に入ってるの砂鉄なんだって」
 君が砂時計を買って来たときだ、この話を聞いたのは。君はその後、全部の砂が下に落ちるまで、飽きる事無く眺めていた。
 砂時計が動きだすと、世界の物全てが止まる気がする。砂時計の音だけが流れる。
 砂の音が流れる間、君に声を掛けても聞こえていなかったらしく返事もしてくれない。君はずっと、ずっと。

 その後だろうか、君の耳が聞こえなくなったのは。
 彼女はピアニストになりたかった。
 僕は君にどうする事も出来なくて、部屋の隅にうずくまっていた。君の涙が止まるまで、死にたくなるくらい長い時間を砂時計は刻み続ける。
 気が付けば君の顔に涙の跡は消え眠っていた。
 君は毎日努力した、部屋の中でピアノと向かい合い延々と弾き続ける、これは「ベートーヴェン ピアノソナタ第8番ハ短調」だろうか、君は不安と恐怖に顔をくしゃくしゃにして僕にしか聞こえない音楽を。
 ピアノの片隅には赤い砂時計。

 君は久々に街に出た。
 新鮮な空気、君には聞こえない街の騒音。
 戸惑う事なく君は笑っていた。鞄に入れればいいのに、君は砂時計を手でもって商店街を歩く。
 君はあるお店に入る。ここは、あの場所だ、君と出会った店。砂時計もここで買ったはずだ。
 店内をうろつき、君は満足した顔で店を後にする。
 砂時計を掃除するためのセットを買ったらしい。

 悪い事は唐突に起こるものだ。
 風呂から上がりさっぱりした気分は一気にひいた。
 君は最初眠ってるようだった。
 そばにある水と薬も風邪薬だと思った、とにかく認めたく無い事実。
 理由は分からない、何か辛い事があったんだろうか。
 そして僕はその場から動くことが出来なくなった。

 きっと君がひっくり返したんだ。僕の事を。
 気が付けば赤い砂は流れる様に下へ、下へ。十五分の間動き続け下へ。
 僕には赤い血が流れてる。
 赤い砂鉄の血。
 流れきっても気づけば君がひっくり返す。僕の事を。
 誰か、彼女の死に気づいておくれ。
2004/12/14(Tue)19:54:38 公開 / 新先何
■この作品の著作権は新先何さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
修正しました、というか、「その」とか「この」を消しただけです(おい!
それから「僕」は砂時計と言う設定です(くどい・・・・・・
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