- 『白の宿命 黒の使命 いちわ』 作者:風間 リン / 未分類 未分類
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原稿用紙約4.2枚
「姫様は今日も何もおっしゃいません…」
少し高めでそれを軽く抑えたような声の召使が、豪華に宝石をちりばめたドレスや髪飾りを身につけた女に深く頭を下げたまま小さく言った。
その豪華な女は扇を軽く開き自分の顔に向かってあおいだ。
「スノーホワイトは本当に人間なのか…産み落としたわらわを疑う…」
女の夫は一国の王…。つまり女は王妃だ。
王妃には2人の娘がいる…。いや、「いた」といったほうが正しい。
娘の一人はとても病弱であったが、隣国の皇子と結婚させるために12歳の誕生日にその国に嫁がされ、1年もたたぬうちに流行病に犯されこの世を去った。
その姉にあたる、14歳の「スノーホワイト」。
髪も瞳も肌も雪のように白いのである…。
彼女の「声」はまだ奏でていない…。
丘の上に、黒い髪、黒い瞳をした少年が立っていた。
その丘からは、街と宮廷、そしてスノーホワイトの住む離宮が良く見える。
少年が丘に立ってから1時間はたっただろうか…少年は身を包んでいる黒く、深いマントを翻し歩き始めた。
「白の宿命…そして黒の使命…」
少年は静かに宮廷に向かっていた。
宮廷では王と王妃が贅をこらした昼食を食べていた。
「今年のぶどうは質がよろしいですわね」
「新しく入った調理師は料理がうまい」
などと満足げに会話をしている。
二人の周りには二人の食事運び、ぶどう酒運び、ロウソク係、下げのものをあわせて200人はいた。
そして部屋の外には謁見を申し込む田舎の領主や貴族、宝石商や仕立て屋などがずらりと並んでいた。
そして一時間にも及ぶ長い昼食会が終わると一人ずつ謁見を申し込み、長々と話していた。
謁見者の184人目にあの黒い少年がいた。
少年はその暗黒のマントを脱ぎ、左腕に軽く乗せ深く頭を下げながら言った。
「本日は、スノーホワイト様のことついて両陛下にお話がございます」
その言葉に王も王妃も驚いた顔をしていた。
国民には皇女は「二人とも病気で死んだ」と伝えてあるからだ。
スノーホワイトが生きているのを知っているの王、王妃、そして11人の取り巻きだけだ。
「そなた、ホワイトのことをどこで知った…?」
細く背の高い王が低い声で言った。その顔は、やさしくもあり厳格でもあった。
「……それはいえませんが…。しかし姫様が言葉を話し、笑ったり泣いたりとするようになるでしょう……」
ぼそぼそとした声は暗く、落ち着いている。
「あなた…方法があるのなら、一度お話だけでも聞いてみてはいかがでしょう」
王妃が扇をめいいっぱい広げ、ほおにあて王に話し掛けた。
「そなた…名は…?」
「ブレイド・レックインドです…。今年で16になります」
「眼に生きている心地がない…やはり白の呪いか…」
スノーホワイトの肩をつかみ、じっと眼をみている。
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2004/11/24(Wed)01:48:41 公開 / 風間 リン
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■作者からのメッセージ
お久しぶりです…。すみません・・・。
PCがこわれてしまって前の作品すべて消えてしましたした・・・。
てことで今回はたまたま落書きをしているときにおもいついた作品です・・・。
楽しんでもらえたら、感想お願いします!
目標は・・2日に一回更新・・・。