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『予言。』 作者:シヅ岡 なな / 未分類 未分類
全角2521文字
容量5042 bytes
原稿用紙約9.4枚

はちみつ持ったプーさんがてっぺんに座ってるシャーペン。
これで膣ん中かき回したら、やっぱり痛いのかな。
自己の性感の極地の探求。
わたしの授業、科目はALL保健なの。
すんません、ただヤルことばっか考えてるだけなんですけどぉ。
ミーは受験戦争の敗北者。
あー、むしろ戦争に参加すらしてねぇ。
それならば、「きっと合格!」の旗持って、戦地に赴く同士の無事帰還を祈ろう。
頑張って下さいっ、わたくし御国の為、戦士となる子を大勢産みましょう。
万歳!バンザイ!ばんざい!
平成忠犬ポチ公、ニッポンにファック。



「最近あんまり満たしてあげられなくて、ごめんね。なんせ俺の実力を持ってしてでも、一ツ橋ライフを送る為には、若干の努力を要するのだよ」
隣の席の脳内精液男にも、大学生活を夢見る平凡さが垣間見られる今日この頃。
コウコウサンネンセイは、みんながんばるのです。
「あみたん進路どうすんのさ」
昼休みに進路のお話ですか、ですよね。
我等高校三年生!
一ツ橋ライフを終えて、年収一千万超えたらお前の妾になってやってもいい。
「俺が一ツ橋ライフを、終えるまではどうすんのさ」
あみたんでっす。
19さいでっす。
年上のパパみたいなひとが好きでっす。
にゃんにゃーん。
「あぁ、いいんじゃない。君の痩せた身体に不釣合いな胸と濃ゆいメイクは、きっとおじさん達にウケると思うよ。俺より先に年収一千万超えたら、是非とも俺に貢いでくれ。あ、まだ進路が決まってない永沢さん放送で先生がお呼びだぜ。せいぜい思い悩んだ表情作りを頑張れよ!無名の貧乏短大ぐらい推薦してもらえるかもしれないぜ」

予言。
入試前夜、お前ん家の鉛筆削りは使い物にならないだろう。



「んっと、永沢さんはさ、例えば勉強以外に、やりたいことって、ないのかな?」
教師三年目で初めての三年生受け持ちで、完全受験モードのこの時期にまだ進路未定の生徒が、よりによって先生のクラスで、ほんとごめんなさいね。
「専門学校とかさ。あ、でもね短大ならまだぎりぎり推薦してあげられるの」
先生、学年主任にそのことで毎日ちくちくいじめられてるんだろーな。
いい気味です。
「今は就職がほんとに難しいからね、だから、とりあえず今現在の永沢さんの実力で入れる短大に行くっていうのは、どう?」

さぁ、どうなんでしょう?
優しくて可愛いくて男子から人気の先生、職員室で立場無いもんだから、あたしの進路を決めるのに必死な先生、校則破りの茶色い巻き髪をしているあたしのことが、本当はすっごく邪魔な先生。
毎朝髪が上手く巻けないこと、ちょっと気にしてるでしょ。
だって先生の頭、変だもん。
今度あたしが巻いてあげようか?
「親御さんと、ちゃんと相談してね。できるだけ早く。あ、学校に来てもらったりできないかなぁ?永沢さんとは、前回の三者面談もできてないし」
先生、だんだん語尾が怒(イカ)ってきてるよ。
もぉほんと何でもいいから早く進路決めてくんないと、あたし困るんだけどっ!
そんな色がね、先生のナチュラルメイクでは、ほら、隠し切れてない。

先生、なんであたしの視界の中の自分を、そんなにも一生懸命つくってんの?
あたしなんかの前で、良い先生しても意味無いって。
もっと要領良く、先生のことが好きな生徒の前でだけ、良い先生してればいいんだよ。




我が家のスポンサーは、毎週水曜日にママとヤッてる小太りの男で、ママはその男に愛してるふりをし続けて、あたしをここまで育てた。
お金の計算と、メールが打てる程度の文章力の習得。
それに、気持ち良い性交渉をすることが出来るようになるまでの、身体の発育。
あたしがママに求めたのはそれだけで、ママがあたしに与えたのもそれだけのように思う。
あたしはそれ以上を求めないし、ママはあたしが求めたところでそれ以上をくれないと思う。
あたしの性交渉時の避妊率は、おそらく90パーセントを超えていて、無事に身ごもらずに済んでるから、来年19のあたしは、18年前のママみたいに、小さな誰かのことで頭を悩ませずに済む。

あたしのことをあんまり好きじゃないママは、あたしのことをあんまり好きじゃないのよっていう目で見る。
18年間ママのその目に映って、あたしはママから一度だって、その場しのぎの偽善の視線を浴びせられたことが無い。
ママの育て方に、あたしは聞こえないように拍手してる。





一ツ橋ライフへの努力の道で迷った戦士の叫びが聞こえて、あたしはすぐさま看護婦として、迷った戦士の治療に赴いた。
「誰にも見られなかった?いやごめん、だってさ、女子トイレって、女子の皆様の鮮血の香りがかぐわし過ぎるから、クラッときて立たなかったらいけないでしょ」

男子トイレの個室の壁の、センスの無い落書きを指でなぞりながら、目の前で久しぶりに発情した男の視界を想像する。
たまりにたまった白濁液を、ゴム越しに放出したいってだけの剥き出しの感情が、あたしを本来よりも少しだけ艶っぽく魅せてるような気がする。


まるであたしに惚れてるかのような視線の男、そんな男は相当うざい。
この男の視線にはごまかしが無い。
だからこの行為は、こんなにも何度も繰り返しが可能。

面倒くさいって、あたしに気づかせながら、あたしを育てたママ。
惚れてねぇよって、あたしに気づかせながら、あたしとヤルお前。
同じだ。
ただ違うのは、あたしがお前の欲求を満たしてるってこと。
ママはあたしに何も求めなかった。
まさか、この期に及んでそれを寂しいと思ったりなんか、するはずも無し。
そういう風に、育った。

だから、シャツがこんなにしわくちゃになるほど強く、抱き締めるのは、他人の欲求を満たしてることに対する、あたしの優越、そこから来る、興奮。
それ以外、何者でもない。









わたくしが持参した治療薬は、実はこっそりプーさん好きだった迷える戦士には、萎えるほど不評。

「お前も一応まだ女子高生なんだからプー氏をもっと崇めろよな」



予言。
あたしは来年の今頃、指名困難な程人気のキャバ嬢。
客の一人は、実は先生の彼氏で、隣の席のお前は、今と同じことを言っている。

































2004/11/02(Tue)15:11:09 公開 / シヅ岡 なな
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■作者からのメッセージ
受験生の揺れ動くハートを書くはずが、結果これっていう・・・。れすくれたみなさまほんとうにありがとう。※若干誤字を修正。内容は変わってましぇん。
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