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『SUPER SOUL侵食編一話〜四話』 作者:トーナ / 未分類 未分類
全角14221.5文字
容量28443 bytes
原稿用紙約45.8枚
 西暦4625年。
 平行世界の境界線が消え、世界は一つになった。
 無数の文化、無数の科学、無数の力。全てが混ざり合い、世界は混沌に落ちていく。
 西暦4666年。
 『闇の日』と呼ばれる日に地獄の扉が開かれた。
 世界各地で闇は増殖、浸透し、世界を蝕んでいく。
 闇は力を持ち、世界を変質させた。
 西暦4700年。
 混沌に光が射す。
 神の降臨。
 神は『神族』を名乗り世界に溶け込んだ。
 神は自由と共存を望むが、巨大な力を持つ神々を、人々は羨み、恐れた。
 西暦4871年。
 人工神プロジェクト発動。
 プロジェクト全容は不明。
 六体の素体が作られたらしいが、全てが破棄、抹消された。
 はずだった……。
 西暦5003年。
 機械、ロボット達造られた者の暴走。
 全ての人々、平行世界の亜人、扉から現れた魔族、そして神族さえも地球を追われ、宇宙へ逃げ出した。
 西暦5500年。
 月で力を蓄えた人間たちは地球奪還作戦を実行する。
 結果は……敗北。
 月は砕け、地球が欠けるという悲惨な結果でこの戦争は終わった。
 神族を多数投入するが、皆殺しという結果に終わる。
 西暦5700年。
 木星大虐殺。
 二日で木星の人口の90%が削られるという大惨劇が起こる。
 虐殺者の名前は『G』。
 Genocideの『G』。
 神族投入で辛くもこれを鎮圧。
 サして『G』をこの世から抹殺した。
 そして西暦6000年。
 この物語は始まる。
 全てを終わらせる物語が……。

SUPER SOUL

『揃ったな』
『今回は早かったな。確か前回は揃うのに……二ヶ月だったか? 』
『いや、一ヶ月と二十九日』
『大体二ヶ月じゃん』
『一日二日は大きな違いさ。製作にしても、研究にしても……』
『今回は二日。かなり早かった』
『そりゃ、創造主の名前を出されりゃ。研究どころの騒ぎじゃなくなる』
『一分一秒でも争ってこなくちゃね』
『で、今回は……もちろん』
『ああ、『SUPER SOUL』』
『待ってました』
『500年ぶりだ。』
『いや、正確には997年ぶりだ』
『そうだな、前回の戦争は……ちょっとしたレクリエーションだ。』
『戦争? あぁ、そんなこともあったね』
『俺たちは見ているだけだったからな』
『今回は楽しめる。なんたって『本命』だからな』
『『あの方々』は、来ていませんが。今どうしてるんですか? 』
『あの方たちは別行動だ。セフィー様はオシリス様からのダメージを修復中、メシア様は自己行動中、オシリス様、ギア様、メイズ様は現在行方不明で連絡取れず』
『四人の欠員か』
『痛いな』
『カガリ様……創造主の意向は? 』
『そちらも連絡取れず』
『……どうすんだ? 』
『連絡は取れなくても計画は実行だ。奴らを起動させ。』
『GC(ゴッドチャイルド)か』
『ああ、奴らなら穴埋めにもなる』
『そのためのGCだ。そうするのが正しい使い方だ』
『『暴君』と『皇帝』は手元にある』
『問題は『殺意の王』と『屍姫』』
『そうだな。他のやつらはどこかにいるが、その二人は……』
『『屍姫』は私がどうにかする』
『じゃあ『殺意の王』は『闇の閃光』にどうにかしてもらおう』
『『闇の閃光』? しかし奴は『殺意の王』直属だぞ』
『『殺意の王』のためだ。何だってやってくれるさ』
『そうか……そうだな。なら、奪還は奴に任せよう』
『とりあえず、話の続きは数が揃ってからだな』
『賛成〜会議は退屈〜』
『けっ、くそがき』
『さぁ〜って。俺はLC(ラストチャイルド)で少しかき混ぜるか』
『そう言えば、『13』がいないな』
『奴は欠番だ。必要ない』
『14候補と共に腑抜けちゃったからね〜。あのお馬鹿さん』
『13の話はやめろ! 裏切り者だ! 』
『負けたからか? 』
『俺がそんなに小さい男か!? 』
『やめろ。ばかばかし。』
『……まぁ、いい。『SUPER SOUL』……起動だ』
『全てはカガリ様と……』
『新しき世界のために』
 
  SUPER SOUL
     侵食編
  一話 2人

 西暦6000年……火星。
 深夜二時半……港沿い。
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………。
 アスファルトを軋ませながら、巨大トラックが港沿いを走る。
 トラックの腹には赤い羽根二対に剣のマーク、MUP(マーズ・アルティメット・ポリス)のロゴがペイントされている。
 MUP−マーズ・アルティメット・ポリス。火星警察組織の一部。能力者、神族など戦闘能力が高いもの達の集まり。主に凶悪犯の拿捕、消去などを行う特殊組織。協調性がなく、組織と呼ぶには不十分。危険物の護送やボディーガードなどもやることあり。個人個人にあった仕事を優先してやらせる。大体二人一チームで仕事を行う組織である。
 そして、トラックを運転する少女。
 見た目中学生ぐらいの少女。鮮やかな金髪にディープブルーの瞳。純白のローブで身を包んだ、幼い神族(神族ーシンゾク。神の名を持つ究極の部族。時間の外にいる者達。一定の年齢に達すると成長が止まり、そのまま成長しなくなる。無限再生能力を持ち、心臓を打ち抜かれたり、頭を砕かれたりされた程度では死なない。死と言う概念はなく、仮にその場から体が消滅したとしても『転生』と言う形で再び無から生まれる。その時、記憶と力は失うものの、神具と名前は失わない。名前は力を持ち、己を主張する物。名前の知名度によって神族の力が上がったり下がったりする)。幼いと言っても、年齢はゆうに1000歳を超えている。名前は麒麟(キリン)。その隣に座る女の子。少女と言うには大人びているが、女性と言うほど大人ではない成長途中の女の子。真紅の髪に、赤と青のオッドアイ。ジージャンにジーパン、西部劇のような埃っぽい格好をした女の子。年齢は十七歳、名前はカイト。
 二人は押し黙ったまま座席に座っている。
「……あ〜!眠い眠い眠いー! 」
 静寂を破ってカイトが叫ぶ。
 時間は深夜の二時。眠くなって当然の時間だ。
「あ〜、うるさい。そんなの言われなくてもわかっている。って、誰のせいでこんな仕事していると思っているのよ! 」
 少し怒ったように麒麟が言う。
「うっ! それを言われると……」
「あんたのミスのせいでこんな私たち向けじゃない仕事……はぁ、本来弥勒(みろく)がやる仕事だったのに……なんで私が」
 それを言われて、カイトが反論する。
「麒麟は自分もやるってすすんで立候補したじゃん」
 子供のような反論を聞いて麒麟の表情が凍る。そして、冷たく口元だけ微笑むと優しくカイトに聞いた。
「……なんで立候補したと思う? 」
 麒麟の表情と問いに、カイトはすっとドアの方に逃げる。
「さっ、さぁ……なんでだろ? 」
 笑顔で答えるも、動揺でおもわず言葉がどもる。麒麟は表情一つ変えずさらに問う。
「お金がいるからよ……じゃあ、何でいると思う? 」
「うっ……さぁ……わかんないな〜」
「自宅だった大聖堂が大っ嫌いな文明の象徴……ビルに押しつぶされたからよ。何で押しつぶされたと思う? 」
「……ううう……わかんない。知らない。知りたくない」
 完全に怯えたカイトを冷たい目で見ると、麒麟は優しく微笑んで……キレた。
「あんたがビル倒したからでしょーがー! 私の大っ嫌いなビルをー、私の人生ともいえる大聖堂にー! 」
 麒麟はカイトにつかみかかり、首をがくがく揺さぶる。
「あうあうあうあう。」
「六百年もかけて作った大聖堂、ど・う・し・て・くれんのよ〜」
 半べそかきながらさらに激しくカイトを揺さぶる。
「あわわわ、だから責任感じて、私の部屋で、同居させてるじゃん〜」
「あんな硝煙臭い部屋で眠れると思ってるのー! 一種の拷問じゃない! 安息で静寂な私の聖堂ライフを返してー! 」
「あわあわあわあわあわ」
 最後に激しく揺さぶり、麒麟は大きくため息をつき、揺さぶりをとめる。
「はぁ〜、いまさら言っても空しいだけね〜」
「あわあわあわ、目が回る〜」
 麒麟はカイトを掴んでいた手を離し、ハンドルを握る。
「お仕事、お仕事、はぁ〜あっと」
 自分に言い聞かせるように言いながらいやいやと言う感じで車を運転する。目を回していたカイトは激しく頭を横に振り、頬をパンッパンッと二回叩く。
「う〜気持ち悪い……」
「ちょっと、吐かないでよ」
「う〜、大丈夫〜っぽい」
 カイトはそういうと、窓を開ける。開けられた窓からは冷たい風が吹き込み、顔や手の露出部に冷たい空気が突き刺さる。
「さむっ! ちょっとカイト、寒いから閉めてよ !」
「う〜、気持ちいい〜。ちなみに今閉めたら吐くかも」
「っ、なるべく早く閉めてよね」
「ふぁ〜い。ああああ〜」
 トラックは道沿いに進む。アスファルトを軋ませ、重々しいエンジン音とともに闇を切り裂きながら、先へ、先へ。
「そういえばさ〜」
 ふと、目を細めていたカイトが口を開く。
「何よ」
 前を見たまま麒麟はそっけなく答える。
 カイトは窓を閉めながら話を進める。
「トラックの積荷、見た? 」
 その言葉に麒麟は反応し、カイトの方を見る。
「……見たけど」
「なんて言うかあれだよね? 」
「あれって何よ? 」
「なんて言うのかさ〜、葬儀屋? 」
「……はたからみればそうかもね」
 苦笑いしながら答える。
 そう話すのもそのはず、このトラックの積荷、正確には護送している物。それは、七つの武器と、六つの棺桶。
「何なのかな〜あの棺桶」
「さぁ? かなりの危険人物が入ってるって聞いたけど? 」
「マジ? 誰に聞いたの? 」
「弥勒」
 麒麟の答えを聞いてカイトは、ははっと笑う。
「じゃあ、七〇%は嘘じゃん」
「残り三〇パーセントは信じられる。それにあの結界」
「結界? 」
「うん、このトラックの荷台に書かれている結界。あれはかなりの結界ね」
「かなりの結界って……どゆこと? 」
「かなり面白い結界ってこと」
 そう言うと麒麟はにやりと笑う。
「封神結界に封魔結界、静止結界、固定結界、捕縛結界、束縛結界、凍結結界、おまけに仮死結界まで書き込まれた複合結界。あん中には入ったら神族だって五秒と持たないって代物がびっしり、しかも、どれもこれも天王星純正結界で、すごく芸術的〜」
「相変わらず好きだね〜」
 少し引いた感じでカイトが言う。その言葉に麒麟はにやりと笑う。
「文字、神霊力、並び、図形、印。全てが全てを高め合い芸術の域まで高まる。あぁ〜快感。……後で写真とっとこ」
「は〜……あっ」
 目をキラキラ輝かせる麒麟を見て、大きくため息をつきながらうな垂れると何かにきづき顔を上げた。
「そういえばさ〜、あの結界」
「何? 何が聞きたいの? 」
 大好きな結界の話に麒麟は喜んで飛びつく。その勢いに少したじろいながら話を続ける。
「さっき封神結界が入ってるって言ったじゃん」
「うん。言ったけど」
「神霊力で作る結界なのに、何で同属性の物を封じれるのかな〜って? 」
 カイトの問いを聞き、麒麟はにや〜っと笑った。その微笑に、カイトはさらに引く。
「知りたい? 」
「いや……別に……」
 そう答えたカイトに、麒麟は少し凄んだ風に言った。
「知りたいよね? 」
「はい、是非とも知りたいです」
 しゃべりたくてたまらない麒麟の迫力に押され、カイトは丁寧に返事した。
「封神結界。神を封ずる神霊聖域。七つの神霊文字と増幅図形、神王印、無数の神霊原語。それに神霊力を与えることで、神霊力は無限に増幅し、神をも疎縛する鎖となる。それが、封神結界。すっ……っごく、レアなんだよ! 」
「レ……レア? 」
「そう! すっごいレア! こんな超高位結界、使えるのなんて神族でも二人いるかどうかってほどの代物なのよ。増幅図形書くだけで一週間以上、超高速呪文圧縮、反属性呪文の適合合成、神王印最大極限域までの開放。その全てが揃ってはじめて、神を捕縛できる鎖になるのよ。わかる? 」
「……? 全然わかんない? 」
 頭から煙が出そうになっているカイトの答えに麒麟は大きくため息をついた。
「そうよね。あんたの小さな脳じゃ、到底理解できないわよね」
 冷めたように言う麒麟にカイトは一瞬反論しようとしたが、すぐに打ち負かされることを悟り、静かに口を閉じる。そしてすねたように横を向こうとした。
「! 麒麟! 前! 」
 突然カイトが大声を上げる。その声にはっとし、麒麟はすぐに視線を前に移した。
「! 人!? 」
 走るトラックの前に立ちはだかる一人の男。
 白い長髪の癖毛に赤い軍服。男はだらしなく両手をポケットに突っ込み、うつむきながらトラックの進行を妨げるように仁王立ちしている。
「やばい! 」
「間に合わない! 」
 焦る麒麟とカイト。
 男はゆっくりと顔を上げる。血を映したような赤い瞳。闇を飲み込むように、赤く、深い瞳。
 男は、不気味に微笑んだ。




二話 白い狂気




「っ! 」
 麒麟の顔から一気に血の気が引き、真っ青になる。
 ガクンッ!
 突然、後ろにGがかかる。麒麟が思いっきりアクセルを踏んだのだ。
「なっ! 麒麟! 」
 一瞬、麒麟を掴もうと手を出そうとした。その瞬間、凄まじい殺気が側面から突き刺さる。
 やばい!
 カイトは本能的のそう感じ、伸ばした手を引っ込める。
 刹那。
 白い光が、カイトと麒麟の間を走った。
「なっ! 」
 そうカイトが言葉を発した瞬間。トラックが、割れた。
「嘘! 」
 大きなカイトの言葉に、麒麟は我に返る。
「えっ! 何! 」
 トラックは惰性で二つに分かれていく。
「カイト! 脱出! 早く! 」
「くっ! 取れない! 」
 麒麟は手早くシートベルトをはずしたが、カイトは、てこずっている。
「っ! 」
 トラックがバランスを崩した。当たり前だ、片方の車輪だけで、そう長く走れるはずも無い。麒麟側は切断面のほうに、カイト側は隣に並ぶ倉庫の方に倒れていく。火花を散らしながら、麒麟側のトラックが道路を滑る。麒麟を中に閉じ込めたまま。
「うっ! くっ! 外れない! やばいって! 」
 カイト側トラックは倉庫に突っ込み、爆発、炎上した。トラックが燃え、辺りを明るく照らす。その明かりに照らされ、長い白髪が、銀色に輝く。
『王よ』
 男は短くそう言うと、辺りに散らばった積荷に目を向ける。
『『正義(ジャスティス)』、『茨姫(いばらひめ)』……『アガサ』までここにあるとはな』
 そう言いながら男は棺桶に手を伸ばした。
「それに触るな! 」
 凛とした声があたりに響く。
「はぁ、はぁ、はぁ」
 荒い息をつきながら、ふらふらと麒麟が現れる。男は麒麟の方を見て伸ばした手をゆっくり引っ込める。
「嫌な感じ……あんた……何者? 」
 苦痛に顔を歪めながら絞り出すように言葉を吐く。男はゆっくりとかがめていた体を起こし、不快そうな顔をした。その瞬間、麒麟の視界から男が消えた。
「! 」
 ドッ!
「あっ……かっ」
 一瞬だった。瞬きするくらいの一瞬の時間。まるで時間を切り取ったかのように男は移動し、麒麟の鳩尾(みぞおち)に男の拳が突き刺さしていた。
『礼儀を知らんようだな、幼い神族よ。俺が昔に会った神族は……』
 そこまで言うと拳を引き抜く。支えを失い、麒麟は腹を押さえたまま、前屈みに膝をついた。その姿を冷たく見下ろしながら男は言葉を続ける。
『もっと……礼儀……正しかったぞ! 』
 強い言葉でそう言うと、男は足を振りかぶり、かがんだ麒麟を蹴りつける。
「! 」
 一瞬の殺気を察し、麒麟はとっさに顔をガードした。
 ドッ!
 男の蹴りが衝突するような音を立てて麒麟にぶつかる。キリンは宙に浮き、弾かれる様に吹き飛ぶ。とっさの事で混乱し、受身も取れず、そのまま背中からアスファルトに激突した。
「かっ! かはっ! 」
 宙を仰いだまま、麒麟は苦しそうに痙攣する。その後ゆっくり体を横に倒し、腹を抱えるように丸くなる。
『そのまま寝ていろ』
 吐き捨てるようにそう言うと、再び棺桶の方に顔を向ける。
『! 』
 暗闇を銃声が切り裂く。男はとっさに銃声の方を見た、その瞬間、男は弾かれ、大きく仰け反った。
「はぁ、はぁ、はぁ」
 銃声が鳴り響いた方から、荒い息が聞こえる。炎が燃え盛る港倉庫。その中から銃を構えたカイトが荒い息をつきながらゆっくりと現れる。
「積荷強奪未遂。警告した鎮圧者に対する暴行。器物破損にえっ〜と……公務執行妨害かな?以上の罪状から死刑って事で」
 カイトは仰け反って倒れ逝く男に向かってそれだけ言うと倒れている麒麟に歩み寄る。
「お〜い。生きてる〜? 」
 軽く言うカイトの言葉を聞き、麒麟は震えながら顔を上げ、涙目でカイトを睨みながら口を開く。
「生きてるわよ。神族が簡単に死ぬわけないでしょ。でも……物凄い痛い」
「物理プロテクト働いてる? 」
「業務に入る際、物理プロテクトは常時張るのが常識でしょ。働いてない訳無いじゃない。くっ、つつつ」
 苦痛に顔を歪めながら、麒麟は体を起こす。
『ただの銃で、俺を殺せるとでも思っているのか? 』
 重い声が後ろから響く。とっさにカイトは振り向き、銃を構える。構えた銃の先にいるのは弾丸を食らって仰け反った男。男は仰け反った状態からゆっくりと体を起こす。軽い金属音を立てて、男の顔から突き刺さったはずの弾丸が地面に落ちる。
「物理プロテクト? 」
「あんたの銃……プロテクト破壊の印付でしょ。……プロテクトじゃない、防御壁」
「防御壁? 神霊術ってこと? 」
「わかんない。あんな組み方の神霊術……ありえない……」
 小声で話していると男が退屈そうに首をならす。
『……どうした、撃たないのか? 死刑なんだろ? 』
 下ろした手を広げて薄く笑うと、カイトにゆっくりと歩み寄る。
「止まりなさい! ほんとに撃つよ! 」
『撃てよ』
 笑いながらそう言うと、さらに歩み寄る。
「チッ! 」
 カイトは小さく舌打ちすると、頭に付けていた狙いを瞬時に足にかえ、ためらい無く二度引き金を引いた。乾いた音がしてアスファルトが飛び散る。
 ドッ!
「がっ……ああ……」
 コマ落し……そんな表現の似合う状態だった。カイトが銃を撃った一瞬、男が消え、次の瞬間、男の拳が、カイトの腹に突き刺さっていた。男は少し顔を下げ、カイトに耳打ちする。
『この状況で足に狙いをかえるとは、優しいな』
 拳を引き抜くと同時にもう片方の手でカイトの頭を掴む、そして、そのまま顔面をアスファルトに叩きつけた。鈍い音とともにカイトの顔がアスファルトにめり込む。
『! ……ふむ』
「げほっ! げほっ! 」
 髪を掴んだまま乱暴にカイトを起こす。そして、男はカイトの顔をジーっと見つめると考えていることを口に出す。
『なかなかの物理プロテクトだな。アスファルトにめり込んでもこの程度の傷で済むとは……面白い』
 男はカイトを仰向けになるように投げ捨てると不気味に微笑んだ。
『どこまで耐えられるか……試してみよう』
「くっ! 」
 やられる! カイトは瞬時にそう判断に体を動かそうとする。その瞬間。
 男が薄く笑いながら、カイトの顔を踏みつける。カイトの頭は勢いよくアスファルトにめり込んだ。
「っ! 」
 踏まれた顔の隙間からカイトは男を睨みつけ、銃を振り上げる。
『遅い』
 短くそう言うと踏みつけている足と反対の足で、振り上げた銃を横にそらし、そのまま踏みつける。腕はアスファルトに埋まり、カイトは反撃の手段を失った。
『さて、何回耐えてくれるかな? 』
 不気味に微笑むと男は足を上げた。



三話 神具領域



アスファルトの破片が舞い散り、カイトの頭がさらに深くめり込む。銃を持った腕が踏まれているため、カイトは反撃できず、されるがままになっている。
『なかなか固いな。もう一回』
 カイトの体が痙攣したように跳ね上がり、頭がさらに深くめり込む。男はその姿を冷たく見下ろしたまま、また足を上げる。そして、そのまま止まった。
『そんなに死にたいのか。幼き神族』
 見下した状態で男は言葉を発する。その言葉の指す先は完全復活した背後の麒麟。麒麟は男を睨みつけたまま右手を前に突き出し、叫んだ。
「来い! 毅錫杖(きしゃくじょう)! 」
 麒麟がそう叫んだ瞬間、前に突き出して開いた右手の中にうっすら揺らぎが現れた。麒麟はそれを掴み、薙ぎ払う。軽い金属音と共に、麒麟の右手に2m位の杖が現れた。まっすぐ伸びる長い銀の杖、先の方がリング状になっていて、そのリングに四つのリングがはまり、ちゃらちゃらと軽い音を立てている。麒麟は軽々と杖を振り上げると自分の前に突きたてた。リング同士がぶつかり合い綺麗な金属音を発する。男はその音を聞くと足を静かに下ろし、振り返った。
『神具(しんぐ)か……。鬱陶しい』
 神具……神を殺す為の武具の総称。光を超圧縮し、固体にしたものを魔導力で文字に変え、さらに知識として脳に刻むことで実体を持たぬ武器へと昇華させたもの。名前に特殊な意味をもたせ、知識持つものが呼んだとき、その武器は実体化し、強力な力を振るう。
男は、ゆっくりとカイトの上から降り、麒麟と向かい合う。
『来いよ、お前から殺してやる』
「……」
 余裕たっぷりの男の言葉に、麒麟は押し黙る。そして、堰を切ったように叫んだ。
「震・破! 」
 そう叫んだ瞬間、杖が青く輝き、周りに魔方陣を描き出す。完成すると魔方陣は赤く輝き、闇に消えた。その瞬間、大きな衝撃が大地を走る。大きな音が走り、切断されたトラックが弾む。大地を壊すくらいの衝撃。が、攻撃を受けるはずの男の所に衝撃は無かった。弾んだトラックは倉庫の横に落ち、タイヤをパンクさせながら倉庫に寄りかかる。男は横目で、トラックを一瞬だけ見ると、すぐに視線を戻し、麒麟を睨みつける。
『なんだそれは……つまらんぞ! 幼き神族! 』
 凄まじい殺気が空気を揺らす。その殺気をものともせず、麒麟は杖を引き抜き、男に向けて叫んだ。
「束縛しろ! グラビティーチェイン! 」
 トラック荷台の結界構成魔方陣群が紫色に輝きだす。
『! ……そういう事か』
 そう言った瞬間、魔方陣から紫色の鎖が召喚され、男を雁字搦めにし、その場に固定する。それを確認して、麒麟は懐から御符を数枚取り出し、もう片手で印を組む。
「封殺符壱乃型(ふうさつふいちのかた)封針縛(ほうしんばく)! 」
 護符に念を込め、空中に舞い上げる。護符は青く輝き、巨大針へと姿を変え、次々と男の体に突き刺さる。麒麟は素早く両手で次の印を組む。
「封殺符弐乃型(ふうさつふにのかた)擁縛止(ようばくし)! 」
 その声と共に男に刺さった針、数本が赤く輝き、布に変化する。そしてその布は一瞬広がったかと思うと、凄まじいスピードで男に巻きつき、真空パックのように男を密封する。麒麟は懐から数枚御符を取り出す。そして、置いていた杖を手にし、振り上げるとアスファルトを叩く。
「封殺符参乃型(ふうさつふさんのかた)束縛擁針陣(そくばくようしんじん)! 」
 そう叫び御符を放り投げる。放り投げられた瞬間、御符は紫色に輝き、四散する。四散した護符は、無数の小さな針に変化し、束縛された男を囲む。
「封殺! 」
 麒麟の叫び声と同時に無数の針が男に突き刺さる。突き刺さった針は輝き、その輝きは針の配列によって魔方陣を描き出す。麒麟はそれを見て、一息ついたように小さく息を吐き出す。その呼吸音を聞いてか、されるままになっていた男が口を開く。
『これで終わりか? 』
「! 」
 その声に、疲労でうなだれていた麒麟は、反射的に顔を上げる。そして、麒麟の見ている中で、束縛されている男がゆっくり右手を動かし、目を覆う布を引き剥がす。
『攻撃が無いなら、実戦での束縛は意味を持たない。そんなことも知らないのか? 幼い神族』
 冷静にそう言うと麒麟の符術と、トラックの結界によって束縛されているはずの男がまるで、何にも縛られていないかのように、歩き出す。
『神具を出してこれとは……がっかりさせてくれる。本当の神霊術という物を……見せてやろう』
 低い声で言うと、布の下で小さく呪文を詠唱する。その呪文とともに、男を束縛している布がほころびだす。
「逆詠唱!? 」
 逆詠唱……文字の通り呪文詠唱を逆に唱えること。詠唱によって組み、発動した神霊術を逆詠唱によってばらし、無効化する事ができる。ただし、発動中の神霊術は高圧縮プロテクト及び、解析プロテクトがかかっているため、常人では、解析及び逆詠唱は無理。解析できたとしても高圧縮プロテクトを崩していくような高速詠唱は人の能力では不可能。神族でもこれができる奴はほとんどいない。低級魔術『ファイヤーボール』を実戦で空中分解するのに四年の修行が必要という超高等技術。複雑に入り組んだ神霊術をばらすのは不可能に近い。ばらすぐらいなら避ける方が早いし、次の攻撃をやりやすい事と無数の対術用プロテクト、反属性障壁の開発によってこの技術は使われない古代の技術となっていった。
 そんな技術を男は平然と使っている。神霊術と符術の合成技、いわゆる別魔術の適合合成という物。早い話が別文字の配列を違和感無く別文字の配列に組み込んでいく、簡単に言えば日本語の文章の中に英語を織り交ぜていくような物だ。麒麟の今使える最大限の拘束用合成術。それを男は歌でも口ずさむような逆詠唱で軽々と解いていく。その様子を見ながら麒麟は焦ったように杖で地を叩く。金属音と共に男の足元に赤い魔方陣が現れる。そしてその魔方陣から赤い鎖が現れ、歩み寄る男の足に絡まりついた。
『! 時間稼ぎか……鬱陶しい! 』
 そう吐き捨てると絡まった蔦を引き千切るように魔法の鎖を自然に引き千切った。それを見て、麒麟は、ああ、もぅ! っと言う感じでカイトの方を見る。カイトは依然アスファルトにめり込んだまま動かないでいる。そんなカイトを見て、麒麟は大きな声で叫ぶ。
「もぅ! いつまで寝てんのよ! もう十分時間は稼いだでしょ! 起きなさい! カイト! 」
 麒麟がそう叫んだ瞬間、カイトの足がゆっくりと持ち上がり、勢いよく跳ね起きた。アスファルトの破片が月明かりに照らされて鈍く光る。その隙間からカイトの赤い右目が鋭く輝く。
「もぅ、人使い荒いな〜麒麟は」
 薄く微笑みながらそう言うと男を睨みつけて、不敵に言い放つ。
「顔は女の命! でしょ! 」
 そう言い放つとカイトは右手を開き、勢いよく横に払う。払った右手付近の空間に白い光現われ、輪郭をなぞるように素早く移動する。輪郭を描き出された空間は実体を持ち、何もないはずの空間から四メートルぐらいの巨大銃? が現われた。カイトはその巨大銃を掴むと男に向けて構える。
「三倍返し! 」
 掛け声と共に銃後方から支えが下り、銃を地面に固定する。カイトは腰を落とすと銃の引き金を引いた。銃側部から激しい火花が散り、高速で弾丸が打ち出される。巨大銃は『レールガン』と呼ばれるタイプの銃だった。矢継ぎ早に、三度。カイトはためらいなく引き金を引いた。弾丸はまっすぐ男に向かって飛び、衝突直後、四方に火花を散らせて弾ける。効かないことを悟り、カイトはレールガンを払い捨て、左手を振り上げ構えるように振り下ろす。その直後、白い光が現れ、高速で輪郭をなぞっていく。光は大きな箱状の物を描き出し、この世界に実体を与える。現われた銃器『四連式ロケットランチャー』。カイトはレールガン着弾後の白い煙の向こうの男を肉眼で捕らえ、引き金を引く。一度に四つの蓋が弾け、四つのロケット弾が我先にと男に向かって飛んでいく。着弾を確認しない内にカイトは空になったロケットランチャーを投げ捨て、両手を振り上げて空間を掴む。
「宝刀(ほうとう)! 」



四話 宝刀起動



 その叫びと共にカイトの両手から白い光が現われ、空間を走り回る。その動きは大きくさっきまでとは比べ物にならないほど巨大な物を描き出す。
『SET』
 両手を引き下ろすと共に機械的な音声が鳴り響く。光でなぞられた空間は実体を持ち、巨大な電導ブレードがカイトの両肩上に現われた。白い光はそれでもなお動き続け巨大な物を描き出していく。
「宝刀起動! シューティングモードE(エクスプロージョン)! 」
 カイトの掛け声と共に機械に青い命がともり、低くうなりを上げる。
『声紋データ照合……確認。宝刀起動』
 電導ブレードが開放され、前にせり出す。ブレードの間に黒い半透明の防御壁が現れ、カイトを保護した。
『シューティングタイプE。ブレード……展開』
 ブレードの中央に青い光が走り、花が開くように上下に展開する。白い装甲の中に青白い光のともった電導板、大カッコ字に開いた電導ブレード、条件が揃ったのか、その状態で停止し、黒い半透明の防御壁に緑色の文字が現れる。
『B(ブラッド)チャージ。20……30……40……』
 青白い光が、脈を打つように電導ブレードを伝っていく。ブレード本体が青白く輝き、ブレード間に無数の青白いプラズマが走る。プラズマの本数は次第に多くなり、ブレード間に青白いエネルギー球が作られていく。
『チャージ50……規制上限。ターゲット確認……ロック』
 黒い半透明の防御壁に無数の情報が緑の光で映し出される。宝刀は着弾幕で見えなくなっている男を正確にロックする。
「げほっ! げほっ! 」
 煙の中、咳き込みながら麒麟が出てくる。出てくるなり宝刀を構えるカイトを見つけ、麒麟の顔が青ざめる。
「ちょっ、カイト! 」
 麒麟の叫びに耳もかさず、ロックされた男のシルエットだけを睨みつけ、カイトが吼えた! 
「吹き飛ばせ! 殲滅の太刀(せんめつのたち)! 虎徹(こてつ)! 」
 凝縮された青いエネルギー球が爆発するような勢いで弾き出される。
「くっ! バカカイト! そんなの撃って! 四番街消すつもり!? 」
 懐に手を突っ込むと、無造作に数枚の御符をつかみ出す。
「遮断結界(しゃだんけっかい)! ……男から半径5メートル! 」
 念を込めて御符を男に投げつける。御符は男付近まで行くと御符は四方に散らばり、空中で停止する。
「絶! 」
 麒麟の声で御符に緑色の光が点る。光は広がり、壁のように男を取り囲んだ。そして、青いエネルギー球が緑色の壁を通過する。
 刹那。
 凄まじい音と共に空を焦がすような火柱が上がる。衝撃は大地と空気を揺らし、遮断結界に亀裂を入れた。星を揺らすほどの凄まじい爆発、遮断結界のおかげで結界外に爆発の被害は無いがそこから発する衝撃だけでアスファルトに亀裂が走る。
「くっ! 」
「つっ! 」
 火柱から発せられる強烈な閃光に、麒麟はとっさに目を覆った。カイトは目を細めながら爆発を見つめると電導ブレードから手を離す。火柱が消えるまでの数分……カイトと麒麟はそのままの格好で固まった。
「…………」
 火柱が消え、遮断結界の中に黒い煙が充満する。
「ふぅ」
 終わったことを確認すると麒麟は小さくため息をついた。カイトは電導ブレードを上に押し上げる。押し上げられた電導ブレードは空気に溶けるように姿を消していく。
「カイト! 」
「ん? 」
「どういうつもり! 許可無く宝刀使うなんて……男ごと中央(セントラル)も消すつもり!? 」
 責める麒麟の言葉にカイトはいつに無く真剣で深刻そうに答えた。
「だって……あれ使わなきゃ勝てないんだもん。二人とも殺されちゃう。あれ使ったって……」
 そこまで言ってカイトはハッとする。
「麒麟! 積荷まとめて! 逃げるよ! 」
「えっ? 何で? あいつは死……」
「死んでない! 死ぬわけ無い! 早く! 」
 超高音が走る。それに呼応するように麒麟の神具が震えた。怯えるような響き。麒麟もカイトも固まり辺りに静寂が流れる。その静寂の中、冷たい声が生ぬるく、ゆるい風に乗って重く、低く響いた。
『拘束術式……全解放。敵の沈黙までの神霊術及び神具の発動。全能力解除開始』
 男の声!
「! 麒麟! 」
 声の正体に気づき、カイトは急いで麒麟の方を見る。ガラスが砕け散る音。溢れ出した煙。そして、麒麟と……男!
『神・撃! 』
 低く響く男の声。男の右手からほとばしる金色の光。腹の底から響くような衝突音と共に麒麟が宙を舞った。そしてそのまま漆黒の海に落ちていく。カイトはまるで時が止まったかのようにその場で硬直していた。大きな水音と舞い上がる水しぶきでカイトは我に帰り、大急ぎで男に視線を戻す。
 いない……。
 さっきまで麒麟がいた位置、そこにいるはずの男は跡形も無く消えていた。
『銃を出す能力』
 背後からの声に、カイトは反射的に振り返る。
 誰もいない。
『どこかから取り出しているのか……無から作り出しているのか……』
 また背後から声がした。カイトはその声にまた反射的に振り返った。そして……そこに男はいた。薄い笑いを浮かべ、見下すような冷たい目の男。赤く冷たい目は小さな石ころを見つめるようにカイトを見下している。
「っ! 」
 とっさに後ろに飛ぶ。
「くっ! 」
 瞬間的に男の手が伸び、カイトの細い首を掴んだ。
『どちらにしても面白い能力だ。解体して……調べてみよう』
 赤い瞳に怪しい輝きが宿る。その直後。服、皮、肉、内臓に骨……。全てを貫く鈍い音がカイトの内側から響いた。
「あ……ああ……」
 突然の衝撃にカイトは、衝撃の走った所……自分の腹部に視線を落とす。
 黒い爪……。
 鋭利な黒い爪が、カイトの腹に突き刺さり、そのまま背中まで突き抜けている。それを見た瞬間、あまりのショックにカイトは放心状態になってしまった。男はカイトに抵抗の意思が無くなったのを表情で察すると、爪を引き抜き、首を掴んでいた手を離す。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
 地面に力なく膝をつき、絶え絶えに息をしているカイトを薄笑いで見下し、男はゆっくりと右手を振り上げる。男の右手を包む漆黒の籠手、普通の手より2倍は大きい漆黒の籠手は、月明かりに照らされ、より深く、より冷たく輝いている。男は今までにないくらい冷酷な微笑を浮かべると、感情なく右手を振り下ろした。
 バァン!
 静寂が支配していた世界にけたたましい衝撃音が鳴り響く。予想外のその音に驚き、男は振り下ろし途中の手を止めた。風を切る音と共に、一瞬月明かりが遮られ、二人の上に陰が落ちる。
 ガン!ガランガランガラン!
 男とカイトの隣に大きな鉄製の板が落下し、けたたましい音を鳴り響かせる。
 雲が流れ、月を隠し、辺りは闇に包まれる。
 ゆるい風に雲は流れ、再び月が顔を現す。
 徐々に広がる青白い月の光。冷たい光はゆっくりと大地を照らしていく。そして光は落下してきた板を照らし出した。
 鉄製の分厚い板、細かい細工が施された棺桶の板。そしてその板に打ち付けられた銀のネームプレート。月明かりに照らされ、怪しく輝くネームプレート。そこに刻み込まれた文字。

『SHIVA(シヴァ)』



つづく

2004/10/29(Fri)15:23:22 公開 / トーナ
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■作者からのメッセージ
トーナです。
三話と四話追加いたしました。読んで頂ければ幸いです。
メイルマン様と如月淘夜様、感想&指摘ありがとうございます。それを元に直していこうと思います。
感想、指摘を頂き、勉強したいと思います。よろしくお願いします。
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