- 『黒い本(加筆・修正)』 作者:新先何 / 未分類 未分類
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原稿用紙約4.9枚
第一頁 小説家はテレビを見ない
午前10時
サラリーマンや学生が椅子に座り仕事や勉強をしてる頃、私は睡魔と〆切に襲われ必死になってワープロに文字を打ち込んでいた。
今書いているのは、サスペンスもので、タイトルは「黒い本」
ストーリーとしては、竹田氏が自宅で何者かにナイフで殺害され、死体の横には破られたなんらかの本のページが置いてあった・・・・・・
といってもそのさきが浮かばない。
というか何を書けばいいのだ。思いつきで書いた話を編集者に気に入られたがトリックも何にも考えてなかったので悩むのは当然である。
気分転換にテレビのスイッチを入れた。本当なら見る暇もないのだが体が引き寄せられた。
普段使わないのでホコリがたまっているためか画面の映りが悪い。
軽快な音楽とカメラ目線で笑顔のアナウンサーがニュースの始まりを告げていた。
「それでは最初のニュースです。
先日、東京に住んでいる竹田氏が殺害されました。そして死体の横には何らかの本のページが落ちていました。警察はこれについて只今捜査中との事です。」
私は耳を疑う。
「犯人はまだ分かりませんが、ナイフで殺害された模様。」
・・・・・・合ってる・・・・・・
しかし偶然として処理した。そうとしかできなかった。
ただの文章を保存したりする機械に文字を叩き込んだだけなのにその物語がブラウン管を通してニュースキャスターが読むなんて現実で考えられるだろうか?
テレビのスイッチを切りしばらく黙る。
その時私はワープロに恐怖を感じた。冷たく光る機械が私にほほえみ「おいでおいで」と言ってる様な気がしてならない。
その幻聴が私の体を支配して気づけばワープロの前にいた。
そしてワープロに犯人の名前を考えて打ち込む。
「大木」
赤いスポーツカーで逃走。
ナンバーは「品川 30 ひ 65−00」
すると体が解放されすぐさまワープロから離れベッドに入る。
寝る前に一瞬やな予感がした。
翌日、午前11時
テレビを見るとアナウンサーが私の書いた原稿を知っているかの様に言葉を発した。
「先日お伝えした竹田氏殺人事件で新たな事実がわかりました、犯人の名前は大木氏で赤いスポーツカーに乗り逃走中、ナンバーは品川 30 ひ 65−00です。見かけたら110番に電話して下さい。」
私は確信する。
私は人を殺せる。
凶器を手に入れた。私の後ろでワープロが笑っていた。
面白くなり今度は「大木が殺される。」と打ち込む。
そして殺害者はためしに自分の名前を書いたが、すぐ消してしまった。
そのかわり大木は銃によって殺され。目撃者もいない。
つまり完全犯罪という事になる。
深夜2時
その夜私は寝付けなかった。
窓の外から車のクラクションが鳴っていた。
私はうっとうしくなりポケットに手を突っ込みながら窓の外を見下ろす。
赤いスポーツカーだった。
クラクションは止まらない。
「うるさい」
と怒鳴りポケットから手を抜く
そこには銃がある。引き金を引いた。
もちろん誰も見てないし、誰も銃声を聞いていない。
午前7時
朝のニュースなんか見なくても分かる。
どうせ大木が殺されるが、犯人は分からないだろう。
何日ぶりかのコーヒーをゆっくりと飲む。
体にまとわりついた鎖がやっと外れて心がリラックスししばし眠りに入る。
その時ワープロの電源が入りディスプレイに文字が浮かび上がった。
私は数分後に来る訪問者も知らずに深く眠る。
永遠の眠りが足音をたてながらやって来た。
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2004/10/06(Wed)21:40:03 公開 / 新先何
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■作者からのメッセージ
書きなしてみましたが、やっぱり難しいです。
描写も皆さんの様に上手くいかないしダメダメですね。
引き続きアドバイスお願いします。