- 『何でも探偵ハチマルニ』 作者:空成千雨 / 未分類 未分類
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イーストシティにあるクローバー・マンションの802号室は、二十歳前後の女と、それより少し年上らしい男が事務所をかまえている。
月曜日の朝、女は寝ていた。長い茶色の髪がばらばらに広がっている。
時計は10時半を示していた。
コンコン・・・・・・・・ドンドンッ・・・
誰か、部屋のドアをノックしている。ガチャリと音がして、男が入ってくる。長めの黒髪で、長身。寒色系の服をまとっている。
「唯―――?いーかげん起きろよてめ―――?」
唯と呼ばれた女の眉がひそめられる。
一秒ほどして、唯が体を起こした。
「うっ・・・さい・・・なぁ・・。いーじゃなぁい。何であんたってそんなに早起きなわけよ。どっかのじーさんじゃあるまいしー。んねぇジークぅうぅ」
「俺は別に早起きでも何でもねぇよ!実際今日起きたのは8時だったしな。んなことよりてめぇ今日ミス・ランファとの約束の日だろうが。寝過ごす気かよ」
ジークのその言葉に、唯は目を見開く。
「そーだったわ。いっけないそーなのそーだったんだわ忘れてたやっべー!」
「忘れんな!早く着替えろさっさと!」
一通り二人は言い合うと、唯は着替え始め、ジークはラジオのスイッチを入れる。
ラジオのスピーカーから、少し雑音の入った声が聞こえる。
『・・・次のニュースです。今日、ウエストシティにあるカフェ、「ポーカー」の店長、ランファ・ペイプネル・ルルーが、一晩の間、店の冷蔵庫に閉じ込められていた事が分かりました――――』
「っは!?」
「シッ!!」
おもわず叫びそうになった唯をジークが制す。
続きが聞きたい。
『―――救出されたミス・ランファに、外傷はほとんどありませんでした。しかし、大変衰弱しており、直ぐに病院に運び込まれました。それから数時間は意識がありませんでしたが、今現在は回復しているようです。
・・・えー警察が事情を聞こうとした所、ミス・ランファは「話す事は何も無い」と答え、いまだ口を開こうとしません。警察は身内に関係者が居るのではないかと、捜査を進めています。次のニュースです――――』
二人はラジオに顔を近づけたまま、しばらく押し黙る。
唯が口を開く。
「・・・・どゆこと?」
「・・・・さぁな・・・。とりあえず今日の予定は変わるな」
「あ・・・ったしのモカブレンド―――!!!ランファのモカ最高なのに――――!!!」
「うっせぇ!!いーから着替えろや!」
その後ばたばたと仕度を整えて、ミス・ランファの居る病院へ向かった。
*続く*
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2004/08/30(Mon)14:49:18 公開 / 空成千雨
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■作者からのメッセージ
初めまして。カラナリといいます。
最近読んだ本の影響が凄い感じです。でも少しづつ自分らしくできたらなと思っています・・・。
タイトルが思いつきませんでした。「ハチマルニ」で覚えてくだされば・・・。なんて。
がんばって続き書きたいと思います。