- 『水晶の輝きを集めてT』 作者:黄湖 / 未分類 未分類
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バチバチ、ヒヒーン
ある夜、お城の馬車が盗賊に襲われた。この馬車に乗っていたのは、サファイ
ヤ国からフルムーン国へと嫁いで、若くして王妃となったアルメイル・クロス
とこの国の王女であり娘のアルメイル・ルイであった。後から聞く話では、こ
の盗賊団のリーダーが先日反乱を起こしたクロード・リアンスの息子だったと
言うことだ。そして馬車は、サファイヤ国に里帰りしたクロス王妃がちょうど
クリス城の王の元へ帰る途中だった。
「何をするのですか、貴方たちは!!」
侍女が叫ぶ。
「俺たち?見ての通りに王妃様たちを探してるんだよ。」
17歳ぐらいの男が盗賊に指示をしていた。この男こそがリーダーなのだろう。
そのとき1人の盗賊が男に駆け寄って来た。
「お頭!クロス王妃を捕まえました。」
そして王妃を連れてきた。
「王妃様!!」
侍女たちが駆け寄ろうとするが、皆取り押えられてしまった。
「貴方方は、(あなたがた)何を望んでおりますのですの?」
クロス王妃が、静かに言った。
「こりゃあ、話が早いわ。俺たちの望んでいるものとは、お前が今一番大切に思っているものだ。」
クロス王妃の顔色が真っ青になった。そして、ルイ姫を抱いていた手の力を強
くする。まだ何も分からないルイ姫は、フヤヤっと泣き出した。泣き声はだん
だん大きくなる。
「分かっているんだろう?俺たちの欲しいものは、ルイ姫その物よ!!」
「……嫌です。この子は何があっても離しませんし、何があっても守ると決めた子です!!」
「オギャァ、オギャァ、オギャァ!!」
「それなら力ずくでも貰って行くまでさ。」
そういって、男はルイ姫を抵抗するクロス王妃から奪い、夜の暗闇の中へと姿
を消した。
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2004/08/13(Fri)16:24:53 公開 / 黄湖
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■作者からのメッセージ
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。黄湖です。
がんばって書いていくのでよろしく御願いします。