- 『アカイ月』 作者:6OL / 未分類 未分類
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原稿用紙約5.5枚
……深夜。
マンションの蛍光灯がちかちかと弱い光を放っている。
ああやっと此処に来たんだな、と俺は思う。
俺はマンションに住んでいない、只このマンションに用があるだけだ。
普通の何処にでもあるようなマンションで、俺は用件を済ます為に自動ドアを通った。
俺の右手には、綺麗に磨かれた金属片がある。
綺麗に磨かれた、一本の『ナイフ』。
廊下にヒトが、居る。強そうな男のヒト、だ。
右手にナイフを持っている俺を見て、そして俺の『狂気』に染まった深い群青色の瞳を見て、俺がその男を睨むと、こっちに向かってきた。
俺はそんなのはどうでもいい、さっさと用件を済ませに来ただけだ。
だがその男は俺の目の前で止まり、立ちはだかった。
年齢は十代後半くらいか、ガクランを着込んでいるところを見ると高校の帰りか何かだろう。
「なんだそこの兄ちゃん、この上等高校のナンバーワンの俺様に喧嘩売ってんのか?あ?」
……うるさいな。
上等って言うと不良ばかり集まっている不良校か。
そんな馬鹿は無視してエレベーターのスイッチに手を伸ばそうとすると。
「おいテメ……無視してんじゃねぇよ!!」
急にその男は、殴り掛かってきた。
俺は空いた左手で男の汚い手を払い、エレベーターのスイッチを押す。
呆然、とした顔で男は俺を一瞬見たがすぐにまた殴り掛かってきた。
俺はふぅ、と絡まれ易い自分を哀れに思いながら呟いた。
「あんまり無差別にはしたくないんだが……」
俺の右手に握られたナイフが奔る。
しゅ。
超高速でナイフを薙ぎ、男の首と胴体を分かれさせる、これだけで即死だが俺はまだ止めなかった。
ざぶり。
腹をまるで紙にハサミを入れるように深く突き刺し、切開する。
ざくざくざくざくざく……!!
そのまま俺は男の体だった『モノ』をバラバラに、『解体』した。
「一階です」とエレベーターの無機質な音声が聞こえる。
が、俺はまだ『遊び』足りなかった。
「首がまだ残ってたよな……」
口元が吊り上がるのを感じながらも、俺は男の首を掌で持ち。
ぐちゃあ!!
……握り潰した。
「さて……エレベーターには誰も乗ってないしさっさと行きますか……」
俺は六階のボタンを押して、六階に着くのを待った。
×××
ちーん、という効果音と共に開くドア。
六階です、という無機質な声なんてどうでもいいんだ。
「601……レイジっていう名字なんだ。」
601番の部屋の前に立って、外人さんなんて珍しいので少し微笑んでみる。
クリス=レイジ、男性のような名前だが実は女性らしい、まぁそんなのどうでもいい、と思って俺はインターホンを押した。
「はい、どなたでしょうか?」という声が聞こえたので「宅配便です」と声色を変えて応答する。
小走りで走ってくる音を聞いて、俺はもうすぐだ、と悦びに満ちた。
「はい、どうもすいま……!!きゃ……」
微かにドアが開いて、俺はそこから無理矢理中に侵入し、出て来た女の口を掌で抑えて。
女の頭を、切開した。
「ッ!!」
叫びが少し、掌から漏れた。
……嗚呼、楽しい。
この時だけ、生きていると感じれる。
返り血が顔に掛かる、ああ俺は生きている。返り血が服に掛かる。ああ、凄い──幸せだ。
「くくく……」
狂った、俺の笑い声が密室空間に響く。
そこには、只狂って、狂ってどうしようもない少年が、一人居るだけだった……。
×××
マンションの一室。
少年は、床に座ってこめかみを抑えながら笑っていた。
目に返り血が掛かり、視界に入ってくるモノは全て赤。
普段なら綺麗な月夜も、真っ赤。
少年の大好きな満月も、全て赤に染まった。
少年は只、感じた。
『生きている』、と──。
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2004/08/07(Sat)00:22:42 公開 / 6OL
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■作者からのメッセージ
初めまして、今回が初投稿です。
小説を書くのも初めてなので、随分お目苦しいところも変なところも多々あると思いますが。
どうぞ、宜しくお願いします〜。