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『silver fox 〜銀狐〜』 作者:雷闇 / 未分類 未分類
全角697文字
容量1394 bytes
原稿用紙約2.75枚
+プロローグ+

 ある夜中に真っ黒の高級車が猛スピードで走っている。
 
 向っているのはある大きな山奥であった。

 高級車に乗っているのは黒髪の30代の男性と20代の女性であった。

 女性の腕の中では茶髪の赤ん坊がすやすや眠っている。

「どこで捨てるんだ?」
 
 運転をしている男性が怒鳴り気味に女性に話しかけた。

「本当は捨てたくない……。」

 女性は眠っている赤ん坊をぎゅっと優しく抱きしめた。

 だが、男性はそれを見て溜め息をついてしまった。

「おいっ、こいつは俺の子供じゃない。化け物からできた奴だ!」

 それを聞いた女性は弱々しく首を横に振った。
 
 もうそこからは二人は一言も喋らなかった。

 そしてその高級車はあるどこかの山奥についてしまった。

 車を止めると女性と男性が車から降りて近くの草むらに赤ん坊を置いた。

「早くここをでようぜ。」
 
 男性はいそいそと車の方に向って歩き始める。
 
 だが、女性だけはそこから離れなかった。

「早くこないか!」

 そう男性に怒鳴られて赤ん坊のいるところから離れていった。

 女性の目からは大粒の涙が頬を伝っていた。

 それを見て男性は女性にハンカチを渡すと喋り始めた。

「お前のせいじゃない。だから帰ろう……。」

 そう言うと男性は女性を車に乗せてその山を去ってしまった。

 数分経って、その赤ん坊がいる草むらにある一匹の雌狐が現れた。

 その狐の体はとても綺麗な銀色で尻尾をなぜか二つ持っていた。

 銀色の雌狐は少しの間赤ん坊を眺めていたがすぐに赤ん坊を持っていった。

 ただその草むらに残っているのは銀色の抜けた毛だけだった。

<続く>
2004/08/01(Sun)12:36:45 公開 / 雷闇
■この作品の著作権は雷闇さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ちょっと不思議な<?>話になりました。

次からはその赤ん坊が15歳になった頃から

スタートです。
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