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『火葬世界 (1〜』 作者:月海 / 未分類 未分類
全角14205文字
容量28410 bytes
原稿用紙約42.55枚
埋葬法:
吸血鬼に殺害された者、傷を負わされた者、血を吸われた者、吸血鬼存在率が八割を超えたと推測される地域の住民等を対象にして、前述のカテゴリーに属さない者が速やかにこれを埋葬することを規定する。


Prologue :

燃える体。
あんなに大切な人だったのに、燃える体はゴミの様。
人が死ぬのは数多く見て来たけれど、大切な人が死ぬのは初めてだった。
大切な人を殺すのも初めてだった。
炎は消えない。彼の体を消し去ってしまうまで。
月の光さえ無い夜の闇、それを照らす炎を見つめている。
この炎が消えるまで見つめ続けよう。

恐らく、生涯最も思い出す景色になる筈だ。


埋葬法に基づいての焼却完了。


1:Sound which reaches the heart

 街灯は夜の街を照らしているが、それを必要とする者は誰もいない。誰一人として出歩かない。朝も、昼も、夜も。この街だけではなく、世界中のあらゆる場所がそうだった。それでも灯は闇を照らし続ける。いつか訪れる者のために。
今、三ヶ月ぶりの客が街の門をくぐった。黒地のロングコートを羽織った女だった。歳は二十前後、セミロングの髪、かなりの美女で手には黒光りするトランクケースを持っている。何より特徴的なのは首に巻かれた黒い紐で、装飾品の類ではなさそうだった。首には十字架もかけられている。聖職者なのかもしれない。
 彼女は真っ直ぐに酒場の方へ向かった。彼女以外に人影はなく、街灯は監視するかのように彼女を照らしている。彼女はそれを気にせず歩き続けた。薄暗い道、ひび割れた道、薄汚れた壁、崩れた壁、廃墟の様な街、誰も出歩かない街を。彼女は、いや誰もがこの誰もいない景色を簡単に受け入れているだろう。昼夜問わず人が滅多に出歩かないことは、この時代に生きるものにとっては常識だからだ。世界は病んでいる。終末は日に日に迫っており、目に見える世界の衰退が人々から気力を奪い街を廃墟にした。そんな御時世に街を歩いている彼女は異常と言える。だが彼女の目は一般人と同じく希望を宿していない。虚ろな目のまま彼女は目的地へと向かう。


 灯りの消えた家、窓が割れた家、廃墟そのものともいえる街を歩くこと一時間。彼女は誰一人ともすれ違わず、目的地である酒場[エネルジーコ]に辿り着いた。しかし、扉には(CLOSE)の札が掛けられている。人の騒ぎ声などは聞こえず、酒場という雰囲気が全く無い。考えてみれば当たり前のことだなと、彼女は自嘲気味に哂う。この世の終わりが近づいている時に、酒場へ集まる人間などそうそういるものではない。彼女の顔に失望の色は無いが疲労が浮かんでいた。トランクを地面に下ろし、彼女自身も腰を下ろす。そのトランクはかなりの重さだったのだろう。これを持ち歩き続けてきた彼女は座り込んだまま眠っている。見た目以上に疲労は深刻なようだ。若い女が店の外で眠っているという状況は、一昔前ならかなり危険状況だったに違いない。だが、人が出歩かない街においてその危険は少なく、彼女もそれを知っているのかぐっすりと眠りについていた。


 陽が昇り始めた頃に彼女は目覚めた。彼女がまだ眠いのに起きたのは寒さの所為だ。彼女は身体に何の異変も無いことから、夜の内に誰も自分を見つけなかったと推測した。あるいは見て見ぬ振りをされたか。路上で人が死んでいることなど、この時代では珍しくない。寝ている自分は死体と思われただろう。だからと言ってそれをどうにかするほど人々に気力がある訳ではないし、出会っていたところで、自分はいつもと変わらぬ嫌な風景の一部としてしか認知されなかった筈だ。その行為は見て見ぬ振りとも呼べないものだと、今まで何度と無く感じたことを彼女は思う。彼女は収穫無き地から去る為立ち上がった。不意に風が吹き抜ける。早朝の風の冷たさに彼女はおもわずくしゃみをしてしまった。これは彼女がこの街に来て始めて発した声だった。トランクを持ち歩き出そうとすると、唐突に声を掛けられた。
「あんた…一晩中店の前に?」
声の主の男はこの店のマスターだった。


 まだ明け方、店の中は暗い。点けられたランプには蜘蛛の巣が張っていた。汚れた机や椅子は不似合いなほど整頓されており、客の出入りが無かったことを示している。彼女はその内の一つに座った。厨房から男が出てくる。彼女は男の容姿を観察した。店を持つ男にしては若く貫禄が無いが、色黒の肌で長身という特徴は酒場のマスターに相応しいように思えた。男は自分を観察する彼女の視線気付きそちらを向く。そして彼女が思っていた以上の美女であることを確認した。
「悪かったな、もう何ヶ月も客が来ないんで店を閉めようかと思ってたんだ」
男はグラスを二つ用意した。その手つきはおぼつかなく、久しぶりに仕事をするということが見て取れた。
「酒でいいだろ」
既にボトルに手をかけながら言う。
「トマトジュースを頼む」
男は彼女の男性のようなしゃべり方とオーダーの内容に驚いた。
「トマトジュース?あんた…そんなものはどこへ行ってもだしてくれないぜ。あんな縁起の悪いもの…」
男は氷がたっぷり入った二つのグラスにオレンジジュースを注ぐ。彼女はそれを見て不服そうな顔をした。
「どのあたりが悪いというんだ。体に良い飲み物だろう」
「色に決まってるだろ。血みたいに真っ赤な色」
「成る程…吸血鬼を連想させると?」
「あぁ。ここ数十年の間に色々な事があったが、奴らが現れたことは間違いなく最悪だ。異常気象、連続地震、原因不明の怪事件、いろいろとヤバイ出来事はあったが、それらはあれに比べればまだマシだった・・・。吸血鬼共は目に見える世界の終わりだ。奴らが人を絶望させたんだ」
「世界の終わり…その言葉はこの時代の何百年も前から言われ続けていたじゃないか」
「知ってるさ。行き過ぎた技術革新は自然の崩壊を招きかけた。温暖化、酸性雨、砂漠化…第一次終末時代。だからあらゆる技術は禁止され、今みたいな電気やガスを個人使用できない生活様式になったんじゃないか。この街は街灯にしか電気が使われていない。いや、使うことを許されていないんだ。技術を捨て、殆んどの街を中世と呼ばれた時代をモデルに作り変えるという、あまりにも突飛な計画の為戦争が起こったりもしたが、結果としてこの星が滅びることは無かった」
「なら今回の危機もなんとかなるだろうよ…」
「あんたなぁ…吸血鬼が大量に増えだしてから二年、どの位の人間が死んだと思う?」
「世界総人口の四割強だろう、つまり半分」
彼女は平然と言う。その表現は実に単純で的確だった。確かに人類の半分近くが吸血鬼による被害で死んでいるのだ。
「あぁその通りさ。第一次終末時代の何倍もの人が死んでるんだ。吸血鬼達は今まで一番の危機なんだよ」
「それは違う」
彼女は即座に反論した。
「昔の終末時代は星の危機だった。吸血鬼が狙うのは人だけなんだから、今回の終末は人の終わりだ。規模で比べるなら前者のほうが大きな危機だ」
彼女の人事のような喋り方から、男は何を言っても無駄だと悟り話を切り上げた。
「あんた変わった女だな…名前は?」
その質問に少し間をおいて彼女は答えた。
「マキア、マキア・アーシェン」
男は眉をひそめる。その名に聞き覚えがあったからだ。
「あんたこの街は初めてだよな…どうしてここの場所が?正直この店は解りづらい場所にある。人に道でも聞いたのか?」
「いや誰とも会わなかったから、聞いてない。それにこの店の位置なら知っていた」
マキアはコートのポケットから小さな箱のようなもの取り出し男に見せた。
それは小型の機械だった。ディスプレイには何やら地図のようなものが映されている。
「ナビゲーションシステムというモノだ。技術廃棄の時とはいえ、衛星までは壊さなかったようだ。おかげでこの機械はちゃんと機能している」
「フォビドゥン・テクノロジー!!あんた何者だ!?」
男は見たこともない物を前にして動揺していた。マキアは変わらぬ表情で続ける。
「いつの時代も情報収集は酒場と相場が決まっている。吸血鬼について知っていることを話してもらおうか」
「あんたまさか埋葬者なのか!」
男はそう叫んで、マキアのトランクを奪った。
「おい、乱暴に扱うなよ」
彼女は冷めた口調で言う。男はその言葉を聞きもせず、強引にトランクを開け放った。
中にはヴァイオリンが収められていた。


「いや悪かったな勘違いしちまって。あんた旅の音楽家か何かだろ。F・Tなんてモン使ってるから埋葬者かと思ったんだ」
男の顔は安堵に満ちていた。マキアは怪訝な顔をして言う。
「なぜ埋葬者を恐れるんだ。彼らは君達が恐れている吸血鬼を殲滅してくれるのだろう。感謝するのならわかるが、どうして恐怖する?」
その言葉に男は激昂したらしい、立ち上がりテーブルに拳を打ちつけて叫んだ。
「奴らはなぁ、埋葬法を盾に吸血鬼よりも多く人を殺してるんだよっ!三ヵ月前ここに吸血鬼が現れた時も、奴らはその場に居合わせたにもかかわらず動かなかった。奴らが動き始めたのは多くの人間がやられた後だ。奴ら埋葬対象になった人々を殺すためにそこにいた。正当化された殺人を行うために…。奴らが勤めを果たしたのは埋葬対象を全て殺した後だ。奴らなら数匹の吸血鬼位すぐにでも殺せていたはずだろっ!」
「解ってると思うが埋葬法の目的は、」
「吸血鬼の増殖、人の吸血鬼化を防ぐ為だろっ!それでも・・・奴らのやってることは間違ってる…」
男は言い終えると力無く座った。マキアは腕を組んで思案している。なにやら独り言を呟き始めた。
「埋葬者の最も優先されるべき任務は吸血鬼の殲滅。埋葬法による対象の埋葬はあくまで二次的仕事だ…成る程これは重大な規約違反だな」
そして思い出したように男に聞く。
「マスター、あなたは先程から“奴ら”と呼んでいるが、三ヵ月前に事件を起こした者は複数いたのか?」
「あぁ、三人の男で、外見からして恐らく兄弟だ」
「三人兄弟の埋葬者だな、貴重な情報感謝する」
そう言って彼女は立ち去ろうとした。男は慌てる。
「ちょっとまて!あんたただの音楽家なんだろ?そいつらの事聞いて何をする気だよ」
「私はその職種を一度も肯定した覚えが無いが?」
「ならそのケースの中のヴァイオリンは飾りなのか」
マキアはため息をつく。
「私が弾けるのはこのだけだ」
マキアはヴァイオリンを取り出し、構えた。ヴァイオリンを左の鎖骨にのせ顎で軽く押さえた後に、手を添える。弓は既に握られており、フロッグとグリップの間に親指があてられている。男はその構えの美しさと速さに見とれていた。彼女の動きは明らかに熟練のものだった。そうして彼女は無言のうちに弾き始めた。廃墟のような街の寂れた酒場には全く似合わぬ、優雅で気品のある音が鳴り響く。男はしばし呆然としていた。彼女の目が今までのどの時よりも真剣だったのと、彼女の演奏が並外れたものだったからだ。今この空間を音が支配している。美しくも悲しい旋律が男に現実を忘れさせた。
いつしか演奏は終わり、男は夢から覚めた。男はマキアに惜しみない拍手を贈った。
「すばらしい演奏だったよ。心に届くような音だった」
マキアはその言葉を聞いて意味深げに笑った。別に嫌味で言ったつもりではない。男は心からそう思ったのだ。
「あんたプロだったのか?」
「レクイエムしか弾けないプロがいるわけないだろう」
マキアは面倒くさそうに言った。男はその台詞を聞いて、彼女が弾いていたのが鎮魂歌であったことに気付いた。楽器を片付け終えてマキアは言う。
「今度こそ私は行かせてもらう」
男は再び慌てて、
「待った、せっかく二人分入れたんだから飲んでけよ」
既に氷が溶けきったオレンジジュースを差し出してきた。マキアはそれを一瞥すると、この酒場に唯一ある大きな窓に目を向けた。陽が昇りかけてるとはいえ外はまだ暗い。その空に黒い何かが舞っていた。
「あれはカラスかな?あなたはどう思う」
男も空を見る。かなり高い場所を飛んでいるので、それが何であるか正確にはわからないが、見当はついた。男はなぜマキアがそんなことを聞いたのかが解らなかったが、無視するのもなんなので答えることにした。
「この時代にあれをカラスと見間違うとは…あんたも呑気な人だな。あれはコウモリだよ、蝙蝠の群れ」
実際吸血鬼が現れた二年前から、異様に蝙蝠は増え始めた。それが人々に吸血鬼の恐怖を増大させたのも事実だ。だからこの時代の空を飛ぶ黒い動物といったら、蝙蝠が適当だと男は思ったのだ。しかしマキアは呆れた様な顔を向けてくる。
「蝙蝠はあんな高度を飛ばない。こんな朝早くにあんなに高いところを飛ぶものが蝙蝠のはず無いだろう。やはり君達は戦う前から奴らに負けている、いや、呑まれていると言ったほうが良いか」
「奴らってなんだよ?」
「まさかそれがわからないほど愚かでもあるまい」
マキアはグラスに手をかけた。なぜか彼女は笑みを浮かべていた。
「二人分用意したんだ、どうせなら一緒に飲もう。このささやかな出会いに乾杯だ」
彼女がグラスを差し出してきたので断るわけにもいかず、男は自分の分のグラスを持ち、打ち合せた。男は温いオレンジジュースを飲んだ、筈だった。異変に気付いたが遅かった。吐き出そうとしたが既にかなりの量飲んでしまっている。
「ぐっ、いつすり替えた!いや…いつから気付いていた?」
男は途切れそうになる意識に耐え叫んだ。
「お前は最初から外に客がいるのを知っていた。だが私がくしゃみをして、客が女だということに気付いたから声をかけたのだろう」
「……」
薬は男の体に浸透した。
「すり替えたのはお前が私につられて空を見ていた時だよ。それと睡眠薬はもう少し匂わないものの方が良い。私のように昔その手のものを扱ったことのある人間には通じないからな」
言い終えるとマキアは颯爽とした足取りで店を出て行った。


 客が去った酒場で男はテーブルに突っ伏している。眠ってはいない。女性に適量な分だけいれたのだ。大の男を眠らせるには足りぬ量だったらしい。自由に動けないが意識はある。完全に効かなかった睡眠薬は、痺れ薬の様な効果で男を苦しめる。男は先程の自分の行いを強く後悔していた。
「あれぇ?何やってんのマスター」
甲高い声が店に響く。それに続いて別々の足音が三つ。男はその声に聞き覚えがあった。三ヶ月前のあの日も、奴らは三人そろって店に訪れた。あの時の埋葬者に違いない。気力を振り絞って、顔を上げる。
「ハロ〜。なんかずいぶんと辛そうだねぇ」
狐目で色白の男が三人並んでいた。髪型こそ違えど、顔の基本造形は同じ。間違いなくあの時の埋葬者だった。
「兄貴ィ、テーブルの上にあるあれナビゲーターじゃねぇか?」
次男らしき箒頭がポニーテールの長男に言った。男も今になってそれに気付いた。マキア・アーシェンが忘れていったものだ。埋葬者長男はナビを手に取る。
「すごいなぁ、これ本物だよ…なんであんたがこんなもん持ってるの」
“それは俺のじゃない”と男は懸命に叫ぼうとしたが、薬の作用で声が出なかった。スキンヘッドの埋葬者三男が酒臭い口を近づけてきた。
「フォビドゥン・テクノロジーを一般人が使用するのは、重罪なんだぜ。あんたはここで殺されても文句は言えないワケだ」
埋葬者達は下卑た笑い声を上げる。“だからそれは俺のじゃない、別の奴のだ”。いくら心の中で叫んでも奴らには届かない。
「それじゃぁマスター殺して、それは俺らがもらいます」
男は自分の不幸を呪いながら観念した。埋葬者長男は小銃を男の額にあててから楽しそうに言う。
「F・T違法使用の重罪により、被告人を死刑に処す。えーと反論はぁ」
当然男は喋れないままだ。
「無いみたいですねぇ」
「そこまでだ」


 突如発せられた第三者の声。その場にいた全員が同時に扉の方を向いた。視線の先に女が立っている。
「裁判は法務機関[断罪の月]の管轄だ。我々にそんな権限は無いぞ、レゴニアック兄弟」
「俺らの名前を知ってるだと!テメェ何モンだっ!」
金切り声を上げる次男を止めて長男は言った。
「黒のロングコートにロザリオ…お前俺らの仲間か?」
三男は動揺して兄に問う。
「兄ちゃん!あの女も同じ埋葬者なのか?」
その質問には女自身が答えた。
「私はお前達とはとは違う」
その言葉に三男は安堵の息を漏らした。
「やっぱりお前も下らない一般人か!俺達レゴニアック兄弟に舐めた口を利いたんだから、当然死ぬ覚悟は出来てるんだろうなっ!!」
調子を取り戻した三男は声を張り上げる。それに対し女は冷ややかな声で、
「勘違いするなよ“私はお前達とは違う”と言うのは、貴様らのような屑埋葬者と一緒にするなという意味だ。それすら解らなかったのだろうな、流石はクラスE。その低脳ぶりは自慢出来るレヴェルに達している」
何の躊躇いも無く口にした。
「殺せ」
次男と三男は長男の言葉を聞く間も無く銃を抜いていた。否、それは銃等と呼べる代物ではない。弟達が手にしているのは巨大なマシンガン、個人兵装にしては危険すぎるものだ。そして何の躊躇いも無く引き金は引かれた。
 炸裂する閃光、轟音。そのスピード故に銃声は全て繋がって聞こえる。巻き起こる砂埃の量や、店の壁に刻まれる弾痕の数が、物凄い勢いで増えていく。目まぐるしく変わってゆく景色。やがて兵器の稼動は止まった。砂埃が作り出すカーテンで女の様子は判らないが、レゴニアック兄弟はその事に対する関心をとうに失っている。彼らにとって必要なのは、引き金を引く前の一瞬の感情だけなのだ。そして彼らは次の対象へ目をむけた。
「マスターごめんねぇ、とんだ邪魔が入ったのさ。待ちくたびれだろ、今すぐ楽にしてあげるからねぇ」
長男は今だに自由に動けない男に銃口を向けた。しかし男は何の反応も見せずに口をもごもごと動かしている。何を喋ろうとしているのかに長男が興味を示す。長男は男が命乞い、あるいは遺言を言おうとしているのだと思い耳を済ませていた。だが男が何を言っているのかが分かった時、彼の顔色は変わった。
「………マキア…アーシェン」
男はそう呟いていたのだ。


「兄貴ィ、早くそいつを殺しちまおうぜ」
次男の言葉には取り合わずに、長男は後ろを向いた。弟達もつられて同じ方向を見た。砂埃は既に落ち着き、その場所は悲惨な光景を剥き出しにしている。彼らの銃撃は確かに女のいた背景を蜂の巣にしていた。そう彼女、マキア・アーシェンの立っている背景を・・・。全ての弾痕は彼女が立っている以外の所に刻まれていたのだ。
「まさかクラスAのマキア・アーシェンが女だったとはな…。あの銃撃を全部避けたってのか」
長男は忌々しげに問う。マキアは余裕の表情で答えた。
「お前達の弾は当たらなかった。私はその場を動いていない。あれはかわすまでも無い攻撃だ。その程度の殺意では私を殺すことは出来ない。私を殺したければ己の全てをぶつけて来い」
長男はその時初めてマキアの首に巻かれている黒い紐に気付いた。
「死神避けの紐だと?高位埋葬者が持つ数ある道具の中で最高と謳われるもの。それを身に着けた者は、死神の鎌の洗礼を極端に受け難くなるというアレか…」
弟達は長男の台詞に驚愕した。殆んどの埋葬者はその道具の存在を知っている。だが彼はそんな魔法の如き存在を信じていなっかった。死の運命に対する因果律の変更、その様な事を安易になす道具が、この世に実在する訳が無い。F・Tの中にもそんな技術は無かった筈だ。だがあの激しい銃撃の中マキアは無傷だった。まるで魔法。レゴニアック兄弟は完全に余裕を失っている。三人の動揺など知らぬとばかりに彼女は言った。
「何だ知ってるのか。そう、だからこれは首に巻くのだよ。こんなものを着けてる人間は一人しかいないだろ。なぜ気付かなかった?」
「ウルせぇ。あれ程名高い道具が、何の飾り気も無いただの紐だと思うわけ無いだろうがっ!!」
「本物に装飾は要らない。装飾とは価値の無い紛い物がするものだ」
そのようなことを言われなくても、先刻の攻撃であの道具が本物だということは分かっているのだ。そしてそれは自分達が対峙している相手が、本物のクラスA埋葬者マキア・アーシェンである事を示している。だがだからと言って先刻の無礼を詫びる事は、彼の下らないプライドが許さなかった。
「クラスA殿が俺達兄弟にに何の御用です。この前やったこの街での不手際を罰しに来た訳ですか?」
後ろの弟達に逃走の準備を促しながら、煽る様に長男は言う。ただ逃げるより虚勢をはって逃げた方が格好がつく、というのが彼の考え方だった。いつでも逃げれる準備を済ませて、彼はマキアの次の出方を伺っている。
「確かに私にはお前達を罰する権利がある。だけどそんな面倒くさいことはしない。お前達の処罰は上層部に任せるさ」
兄弟にとってそれは意外な言葉だった。相手に自分達を殺すつもりは無いらしい。生まれた余裕に顔が綻んだがそれは次の言葉で崩された。マキアは、
「私がここに戻ってきた理由は忘れ物だ。なに帰り道を忘れてな。私は方向音痴だからナビが無いと帰れないんだ。そこのポニーテール、机の上にあるナビを持って来い。それで先刻の無礼は不問にしてやる」
相手を見下した目でそう言ったのだ。


 マキアに対する二度目の攻撃が加えられた。その攻撃は怒りに我を忘れた長男が先陣を切った。次男三男も後に続き、三人そろった銃撃は前以上の威力を備えている。だが結果は同じ。攻撃は加えられず、試行されるだけにとどまった。店の壁は原型を留めていないが、彼女はあいかわらず無傷で佇んでいる。
「チクショウ!なぜ当たらない!!」
長男が叫び、弟達も狼狽している。さっきと何も変わらないではないかと。しかし、厳密には変わっていた。彼らの攻撃は当っていたのだ、彼女の我慢の限界に。そしてそれを完全に破壊していた。
「いい加減貴様らの茶番に付き合うのは飽きた。和解策が受け取れんのならそれも良い。これは正当防衛だ。三人仲良くあの世に逝け」
冷たい声で埋葬者マキア・アーシェンは宣告した。


 場から音が消えた。マキアが強力な殺気を放っている訳でも無いのに、場は静まり返っている。長男は明確にではないにしろ、この異様な感覚が何かに似ていることを感じていた。いつの間にかマキアの手にはデリンジャーが握られている。彼女は引き金を引いた。沈黙を破り銃声が響く。それは三兄弟の誰にも当らずテーブルを狙撃した。それを見て次男が大笑いする。
「ぶははははっ!!!このアマ守りが堅いだけで攻撃はてんで駄目。こんな至近距離で、あんな小銃でも当てられないなんてなぁ」
三男も笑う。
「うははははっ!!それは脅しのつもりか女!!」
「あぁそうだとも、これは私流の脅しだ。私は銃を当てる事が出来ない。またそれは同時に、私が銃を外す事が出来ないという事も示しているんだよ」
マキアの答えは彼らに理解出来るものでは無かった。
「クラスAの私が戦闘用の武器を所有しいないとでも思ったのか?クラスB
以上の埋葬者は皆、個人兵装を与えられている。私とて例外ではないよ。今の一撃はその力を行使するという最終勧告だ」
そして彼女は脇に下ろしてあったケースからヴァイオリンを取り出した。仮にも三人の埋葬者に囲まれている状況だというのに、彼女は全く無防備で演奏の支度をする。
「ひははははっ!!死神避けのだか何だかしらねぇが、よくここまで隙を見せられるもんだなぁ。これが最後のチャンスだテメェら、レゴニアック兄弟最強のコンビネーションで死神の洗礼を受けさせてやる。いくぞっ!!!」
長男が吼える。それを合図にマシンガンを次男と三男が放つ。長男はその後ろから彼の武器であるロケットランチャーを使用した。
「吸血鬼も一発でバラバラに出来るこの威力を見ろっ!!」
轟音と共に大地が揺れ、マキアのいた景色が吹っ飛ぶ。木っ端微塵が宙に舞っていた。その景色にかつての酒場の壁は無い、当然のようにマキアの姿も無かった。
「見たかっ!弟達の連射で獲物の動きを封じ、俺様のランチャーで粉砕する!これがレゴニアック兄弟最強の」
「なるほど素晴らしいアンサンブルだ」
マキアは彼らの背後にまわっていた。
「だがいくら合わせるのが上手くても、貴様らの声は醜い。それを如何に上手く重ねようが、客は喜ばん」
「どうやって避けた…」
「簡単なことだよ。私は第一射の時にもう背後にまわっていたんだ。お前達は、私が避けずにその場にいるものだと思い込んでいたのだろ。私とてお前等の様な奴相手に、この道具の力を無駄使いする気は無い」
そう言ってマキアは首の紐を撫でた。いつの間にか彼女は演奏の準備を終えていた。ヴァイオリンに既に弓が当てられている。彼女は殺気など微塵も発していない。にもかかわらず場は再び静寂に満ちていた。殺気に射竦められた訳でも無く、プレッシャーに呑まれる訳でも無い。彼女のヴァイオリンの構えは素人目から見ても美しかった。そしてその時ようやく全員が気付く、この奇妙な沈黙は音楽家の演奏が始まる前の静けさだという事と、構えられたその楽器こそが彼女の個人兵装だという事に。ヴァイオリンの形をしたそれのスクロールヘッドには、確かに銃口が存在していたのだ。
「心に届く音で弾いてやろう……」
長男はようやくマキア・アーシェンの通り名を思い出した。“死神避けのマキア”それからもう一つ、

「演奏開始だ」

“引き金を弾く女”


 戦闘には相応しくない、優雅なBGMが流れ始めた。しかしそれは攻撃から派生する音なのだ。これ以上の戦闘テーマは無い。誰にも見えず、誰にも捉えることが出来ない。その弾丸は音速だからだ。
弦に直行させた弓をひく。優雅に、荘厳に。元半弓の構えで、中央弓の構えで、先半急の構えで、マキア変幻自在の音を奏でた。その度に床に天井に弾痕が刻まれる。兄弟は動くことすら儘ならずその光景を眺めていた。
「アンダンテ、アンダティーノ、モデラート、アニマート・・・」
マキアは段々と演奏の速度を上げている。彼らには、否どんな人間にも音を捉えることは出来ない。
「アレグロット、アレグロ、ヴィヴィアーチェ、プレスト!」
加速していく演奏に乗って縦横無尽に刻まれていく弾痕の様子は、最早常人に理解の範疇を超えた魔法の如きもの。暫くそれが続いた後、いったん演奏を止めて彼女は言った。
「調弦完了。リハーサル終了。ここからが私の、“演葬”だ」


「うわああぁっ!!!」
雄叫びをあげて三男がマシンガンの引き金を引いた。凄まじい轟音の連続と共に無数の銃弾が放たれたが、マキアは身じろぎ一つせず、
「秒間十六発」
と呟き引き金を弾いた。

次の瞬間ラの音同時に三男の武器が爆発した。
「あひぃ!!」
三男は情けない悲鳴を上げた。だがそれも仕方の無い事、突然自分の武器が
狙い打たれたのだ、先程までは小銃もまともに撃てなかった女に。
「ちっ、何なんだてめぇはよぉ!!」
「秒間十六発」
同じ事が繰り返された。火を噴いた次男の武器もまた、マキアが奏でるドの音と同時に破壊された。
「ぐわぁ!!」
既に戦意を無くした弟達に代わって長男は戦おうとしたが、マキアはそれを拒んだ。演奏を続けたまま冷たい目で彼を睨む。
「そう死に急ぐな・・・お前には少し聞きたい事がある。私は先にお前の弟を殺す」
その台詞を聞き終らない内に二人は逃げていた。
「逃がしはしない」
彼女がシの音を奏でた。それと同じタイミングで二人の胸から血の噴水が湧き出る。瞬きほどの間に二人の埋葬者は撃ち殺されたのだ。シの音は、まさしく死の音だった。今もまだテーブルに倒れ込んでいる男、この店のマスターはその一部始終をみて思う。彼女は以前“レクイエムしか弾けないと”言っていた。にもかかわらず彼女がこの戦闘中弾いていたのは“喜びの歌”。それは鎮魂歌では無い。だが死んでいった兄弟二人にとってはそれが最後の曲、レクイエムだったのだ。彼女は結局のところポップスを弾こうが、ジャズを弾こうが、クラシックを弾こうが、それをその者にとってのレクイエムに変えてしまう、そんな埋葬者なのだと男は感じていた。
「!!!??」
長男は弟を喪った事に何の感情も抱けなかった。あまりにも一瞬だったのだから、そんなもの抱けるはずが無い。
「何なんだその武器は…?」
言葉がそれしか出てこなかった。今、彼の頭には疑問しかない。彼女はようやく演奏をとめた。
「知りたいのなら教えてやろう。この神器、名は“アマーティー”と言う。
奏でられるものが美しい音色であればあるほど、命中精度が上がり、曲が続けば続くだけ連射出来るという代物だ。当然弾速は音速と等しく、射程は音が届く範囲だ」
そんな魔法のような銃を、
「しかしそれくらいの性能では演奏しなければならないという、銃撃にかかるまでの時間のリスクには見合わない。私ほどの達人になるとオートで音に狙いをつけれるという機能が使えるが、それでも私は足りないと考えた。何故なら音は秒単位で変化する、それに狙いをつけても当る確率は五分五分だからだ。私が常勝するには一撃必殺の必要があった。だから私は音ではなくリズムを狙うことにした。それは難しいことだったが、私にとって出来無い程の事ではなかった。さっきの武器破壊は、マシンガンだったから成し得たのだ。あれが秒間十六発のリズムを刻んでいたことは、はじめに狙い撃たれた時に覚えた。私はそのリズムを狙ったのだ。お前の弟達で狙ったリズムは言わなくても解るな?人の身体で一定のリズムを奏でるものなんて一つしかない。当然心臓だ。私は元医者でね、心臓の鼓動は聞かなくても、その対象の見た目で分かる。お前の弟達はあの時毎分八十五回の心拍数とだった。だから私はそのリズムを狙った。なんとも素敵な心に届く音だろう?」
こんな魔女のような女が使ったら、
「それが私の埋葬手段“演葬”だ」
勝てるわけが無いと彼は絶望した。


「お前はリアル・ヴァンパイアについて知っているか?」
長男は初めて聞く単語だった。表情から彼が知らないという事を悟り、マキアはこう続けた。
「現在世界中に三百万いると言われる吸血鬼。だがその被害や目撃情報は、全て第二世代以降の吸血鬼のものだ。つまり我々は人が吸血鬼化したものにしか接触出来ていない、という事になる。必ず何処かに潜伏している筈の、始祖たるリアル・ヴァンパイアの捜索、それがクラスB以上の埋葬者の第一任務だ。お前はリアル・ヴァンパイアに関係しそうな情報を何かもっていないのか?」
それは彼が今まで考えたことも無い話。もとより彼ら兄弟にとっては吸血鬼など、人を殺しを正当化する為の手段の一つに過ぎなかったのだ。確かに彼も言われてみれば第二世代以降の吸血鬼にしか会ったことがない。しかし、それについてその様に考えた事など一度も無く、マキアの話を聞いた今でもそれがどう重要なのかが解らなかった。どうでも良いではないかそんな詰らない事、そう思ったが・・・使えると気付く。
「あぁ、そう言えば聞いた事があるなそんな話…」
「本当か」
マキアの声はいつもと変わらないが、彼女は確かに彼の言葉に興味を持ったようだ。事実演奏の構えを解いていた。
「ひははははっ!!んなもん知らねぇよ、バ〜カ!!!」
長男は小銃で“アマーティー”を狙った。目的は武器破壊、あのヴァイオリンに死神避けは着いていないからだ。狙いをつけずに四五発撃った。何となくその方が当る気がしたのだ。
「くっ!」
珍しくマキアが飛び退く。銃弾の一発が彼女の頬をかすめ、もう一発が弓を弾き飛ばしていた。
「成る程、殺気を込めて狙うのでは無く、偶然の因果性に賭けたか。悪く無い手だ。その技が完璧だったのなら私に一撃入れられていたかもな。・・・それで、結局お前は何も知らなかったわけだ」
マキアは特に焦らず淡々と問い詰める。長男は第二射を放つ。
「何余裕面してんだ!あの棒切れが無いと弾けないんだろうがっ!!」
「無駄だ既にお前の攻撃には、逆転の状況から生まれた余裕と言う名の殺意がこもっている。その攻撃で死神を欺くことは出来ない」
「ゴフッ!!」
彼は鮮血を撒き散らし倒れた。
「な……なぜ……?」
「ピチカートも知らないのか。ヴァイオリンはな、指でも弾けるんだよ」
彼女は弦を指で弾いて、ドの音を以って彼の心臓を狙ったのだ。


街の廃墟ぶりに拍車をかけるような酒場の中、マキアはさっきまで敵だった男を見下ろしている。そいつは死にかけだというのに口を開いてきた。
「……まるで魔法だ……未だに信じられねぇ」
「あぁこれは魔法の武器だ。魔法は存在する。技術を全面廃止したまま、人が生きられる訳ないだろう。第一次終末時代のF・T法制定は魔法という代わりがあったから行われたに過ぎない」
「……ならそう公言すれば良かっただろうが……そうすりゃF・T法制定の時の戦争なんた起きなかった」
「それはね、多くの人にとって魔法は希望そのものだからだよ」
マキアは少し優しい響きで死にかけの長男に言った。
「吸血鬼だけではない、もうこの世界は奴らが現れなくても限界を迎えている。世界を作り変える、そんな夢みたいな魔法が無ければ、所詮全てが延命行為に過ぎない事を人々に教える行為は、彼らが無意識下で望んでいる最後の希望を破壊することになる。…お前も一度くらいは夢見たことがあるだろう?……万能の魔法をさ」
やはりその声は少し優しい。彼女は彼が息絶えたことを確認すると歩き出した。
「ピチカートは得意じゃないんだ。やはり一撃で殺せないのは後味が悪い」
忌々しげに言う。そして振り向かず、歩みを止めずにに後ろで突っ伏している男に対して、
「マスター。この店の[エネルジーコ]と言う名前の由来は恐らく、“精力的な、力強い”って意味の発想記号だ。酒場に似合う良い名前だと思うがね」
と言いながら、もう無くなった入り口を出た。


酒場の近くには人が大勢いた。マキアは驚く。誰一人として出歩かなかったこの街にはまだこんなに沢山の人がいたのだ。野次馬だろうか?否そんな筈は無い。彼らの目が何を求めているのかが、彼女には一目瞭然だったのだ。なんと素敵な事だろうか。先刻片付けた“アマーティー”を取り出す。人々から観客としての歓声があがる。彼女は嬉しかった。自分が喪った大切な人の言葉を思い出す。
(マキア、俺はね、音楽こそ本物の魔法なんじゃないかって思うんだ)
彼はそう言ってくれた。マシンガンの音にも興味を示さなかった人々が、自分の演奏に興味を示し出て来てくれたのだ。それはまるで魔法の様。今彼女は、彼の言葉を理解した。彼女が構えると一際大きい歓声の後に、沈黙が訪れる。少年、少女から、老人、老婆まで、みなが一点を見つめている。その期待を受けてマキア・アーシェンは、彼らと彼女自身の為に、希望に満ち溢れたメロディーを奏で始めた。



   





2004/07/27(Tue)01:31:18 公開 / 月海
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■作者からのメッセージ
用語解説:

埋葬
この物語の中では、生命活動を停止させた後に、その死体に処理を施すことを指す。
目的は、吸血鬼の有害性の除去、その増加の防止。
埋葬が義務化されるのは、埋葬対象に対してだけで、埋葬対象においては埋葬法に規定された通りである。
埋葬方法はその殆んどがテルミット(焼却剤)を用いた焼却処理だが、稀に例外もある。

フォビドゥン・テクノロジー(F・T)
禁じられた技術、
Forbidden technology のことで、
環境に悪影響を及ぼす近代科学のことを指す。

ピチカート
ヴァイオリンの特殊奏法の一種で、
弦を指ではじいて弾くこと。


すみません、タイトル変えました。あと誤字脱字が多すぎて、何度も投稿しなおしてしまいました。ごめんなさい。

第一話だけでだいぶ長くなってしまいましたが、読んで下さった方、ありがとうございます。大変お疲れ様でした。感想等もらえると続きを書く励みになるので、よろしくお願いします。
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