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『干支騎士後継者』 作者:どらごんひゅー / 未分類 未分類
全角2468.5文字
容量4937 bytes
原稿用紙約7.85枚
子、牛、龍、巳、午、羊、虎、猪、狗、猿、兎、酉・・・・・
その昔、忌しき者、深き闇より出でた「邪蝋」に今の日本全国は苦しめられていた
しかし何処からか干支の獣を象った武防器を持った12人の騎士が現われた
子は大地を操り、牛は体当たりを得意とし、龍は二刀の剣を使い、巳は雷を操った
そして午は風を操り、羊は風を操り、虎は雷神の如く刀を使った。
猪は矛を使い、狗は炎を操り、卯は水を操り、酉は風神の如くダガーを使った。
それぞれの力を使い、邪蝋を封印した干支騎士達であったが邪蝋の最上長に道連れにされて共々封印したのであった。
その一千年後、邪蝋の封印が解けた。邪蝋は干支騎士の封印玉を破壊した。
しかし、龍の玉は破壊を免れた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−ーーー−ーー−ー
ここは「中橋県立高校」、現在二年C組の社会の時間だ
春風に煽られている杉の木を見ながら欠伸をする男が主人公<浅川 冴友>だ
他の生徒は真面目に勉強しているさなか、冴友は半ば居眠り状態だ。
「−−−であって、龍の玉はその後破壊されたと言う話だ」
もう先生の話なんかどうでも良くなった。元々目立ちたがりやでもなくかといって冷酷男でもない冴友、どちらかと言えば実は強い正義感を持った男だ。彼の家庭には母と父、あわせて三人で暮らしている。環境は別にひもじい訳でもない。ただ彼は別にどこかのマンガに出てくるような人生のどんでん返しを求めるわけでもない。彼は普通の、そう、極普通の生活を送りたいのだ。友達だっているし彼女もいる。人間関係に問題はない。頭もそこそこで充実した高校生活、一般の高校生が彼の理想の人物像だ。まぁ、自分でも今は一般の方だとは思っているみたいだが。
「じゃあ今日やった干支騎士の所まで、明日小テストするぞ」
どうしてこうサボった時にいつもいつも小テストが来るのだろう?と冴友はいつも思っている。国語の百問テストの説明と範囲練習の時も寝ていたし、数学のテストの時も寝ていていたが結構いい点はとれた−−−−何て人生甘くはないのだが。
部活は特にやっていない。というより元々足腰が弱いとひ弱なウソをついていたのだが。所謂「帰宅部もどき」というやつだ。これで冴友は思い出し笑いをする。
そんな彼を友達たちは「思い出し笑いの冴友」と呼んでいるらしい。
「じゃあな、冴友!」
「おう。また明日」
道行く友達に挨拶をしていきながら1人でファンのサザンオールスターズの「いとしのエリー」を歌い始めるのだ。これを時々見られると変な目で見られる。そして挙句の果てに「エリー好きの冴友」とまたもや変な字をつけられるのである。
こういった字を冴友は別に嫌だとは思わない、この他にも色々な字がある
「トイレットペッパーを御飯に掛ける男冴友」とかいう意味不明な字を始めとして「トイレで飯を食う男冴友」だとか、「日課は日曜大工をする男冴友」などその他諸々だ。その中で一番たちが悪かったのは「趣味は腋毛の臭いをかぐ男冴友」だ。
「くっくっくっ・・・・・・」
これでまた思い出し笑いが始まる。やっぱりここで自分がなぜ「思い出し笑いの冴友」と呼ばれているのがわかって急にバカらしくなってそこらの空き缶を蹴った。
ガゴンッ
ゴミ箱に当たって発された音は虚しく大気に消えていった。空き缶を拾い上げてゴミ箱に捨てた。なぜだか自分が悲しくなってきた・・・・・。
<淺川 冴友>
「誰だ?」
名前を呼ばれたので後ろを振り返ったのだが誰もいなかった。ただ電信柱が棒と立っているだけであった。ふんっ、と鼻息を鳴らしてコーヒーを買った。間違えてホットを買ってしまい。自分は此処までドジなのか・・・・とちょっと泣いた。コーヒーを飲み干すと空き缶をゴミ箱に捨てた。



「ただいまー。」
「お帰り、テーブルの上の煎餅とって」
帰ってきて早速母に命令される。これが面倒くさくて上にすぐ行こうとするのだが洗濯物を取ってきてだとかもっと面倒くさいことになることからやっぱり普通に言ったほうが良いと自分なりに考えた。
「ふぅー・・・・・・・・・」
<淺川 冴友>
「誰−−−−−」
そこで冴友の言葉は喉に詰まった。飲み込もうとしても飲みきれない餅みたいだ。目の前には水色の鱗に覆われていて、眼は緑色。羽は緑と難とも美しい<龍>がいた。冴友は自分の口から涎が出ているのにも気づかなかった
「た・・・・龍?」
<そうだが?なぜそこまで驚くのだ?>
「だ、だって・・・・・・」
そこまでいうと龍は今までの気品を総て消し去るかのような素振りを見せた
<あ!やっぱり俺ってカッコイイ?!やっぱり干支騎士の中でもカッコイイっていわれてたんだよねぇ!>
「あ・・・・あのー、オレに合いに来た目的って物は?」
龍は他人が見れば唖然とするくらいの猛スピードで冴友の後ろに回った。
<異次元・・・・・嫌、魔界と言うものを知っているかい?>
「ああ」
<邪蝋達が救う世界、アーノット・ヘル・・・・・俺達干支騎士達の神様が邪蝋と様々な種族の者達を共存させた地・・・・だが、そこで最上長の封印が解かれた。俺の仲間達は多分今ごろ主を見つけ出しているだろう。だからお前には俺とともに戦って欲しい」
唐突に言われた時、冴友の頭の中はこんがらがっていた。何が何で何が其れ?
「そんな事いわれても・・・・・・・」
<俺の力をお前に総て与える。いいよな?>
ここまでいわれると断るにも断れない。オレの高校生活は?家族は?そんな考えが冴友の頭の中をぐるぐるぐるぐる回っていた。しかし、覚悟を決めた。
「・・・・・・判ったよ。協力する」
<ほぉっほぉーう!!さんきゅーな!よし!じゃあやるぞ・・・・・あ、一つ言い忘れてた。俺、これ終わったら消えちゃうから>
普通に言う龍を無視して冴友は眼を瞑った。さよなら、オレの高校生活、と言って
<貴君に我龍の力与える。武器は龍瞑刀と剛減刀・・・・・・姿は意によって龍に・・・>
「ああ・・・・・・オレの高校生活が・・・・・・・」



















2004/07/24(Sat)21:41:07 公開 / どらごんひゅー
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