- 『零れ落ちるモノ ♯2』 作者:レデオ / 未分類 未分類
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スーは不思議な子だった。
スーとは俺のいとこ、飯島沙耶だった。年は13、4だったろうか?
名前は「沙耶」なのに自分の事をスーと呼んでもらいたがっていた。
そしてスーは俺のことを「先生」と呼んでいた。
この間勉強を教えたら「なんか先生みたい」といたずらッ子のように笑い、
ずっとふざけて「先生」と呼んでいくうちに本当に呼び名が「先生」になってしまった。
俺の本名は多田稔(25)なのに。
零れ落ちるモノ レデオ
ある日俺はスーに「何でスーって呼んでもらいたいの」って聞いてみた。
別に深い意味とかじゃなくただたんに疑問に思っただけなのだ。
するとスーは微妙な面持ちをしてとぎれとぎれの言葉で
「お父さんが、ピンクレディー、好き・・・だったから。」
「(あぁ、ピンクレディーね・・・)」
なんだかバツが悪かった。
だってスーのご両親は2ヶ月前交通事故で亡くなってしまったのだ。
そして身よりのいないスーを俺は引き取ったわけだが・・・。
そしてその2ヶ月間、スーは一言も「お父さん」「お母さん」の話しを
したがらなかった。なのに今、俺はスーの口から「お父さん」の話を
させてしまった。
でも一気に湧いてきた俺の疑問はとまらなくて、
「なに、じゃぁ自分の名前、どう思ってるの」と聞いてしまった。
嗚呼、俺って無神経。そう思ったけど・・・。知りたいものを知りたがる。
それが人間の性ですから。
その質問を聞くとスーは大きく首を振り「お母さんがつけた名前だから、ダイッキライ」
これは初耳だ。スーはお母さんが嫌いなのか?
「お母さんがあの日、お父さんを無理矢理ドライブに誘ったりしなかったら、
交通事故なんかでお父さんは死ななかったんだよ。」
「そうなんだ。」
別に俺は「お母さんがそんな事聞いたら悲しむよ」とかは言わなかった。
だって俺はしってるから。
このスーの細い腕に残っている煙草を押しつけたのは誰がやったのかくらい。
「お母さんだけ、死んどけばよかったのに。」
スーの目は冷たく、俺は何を言ったら良いのか、分らなかった。
「・・・・・昼、冷やし中華でいい?」
「ヤ。カレ−がいい。」
「カレ−昨日食べたじゃん。」
「今先生に過去のこといっぱいぶっちゃけちゃったから、カレーが食べたい。」
なんじゃそりゃ。俺は少しわらって大人しくカレ−を買いに行くことにした。
「宿題やっとけよ」
「はぁい。」
スーは今何を思ってるのだろうか?
スーは本当に自分の母親を憎んでいるのだろうか?
俺が靴をはこうとした瞬間、うしろで何かが倒れる音がした。
振り向くとスーが倒れている。さっきまで笑っていたのに。
「・・・スー!」
スーは真っ青な顔をしていた。
零れ落ちるモノ 2
「スー?」
俺はスーの頬を軽く叩く。応答が無い。
俺は何だか嫌な予感しかしなくて救急車も呼ばずスーを抱えて病院まで走った。
走って、走って。どれくらい走っただろうか?
ようやく病院についた。
スーを医者に見てもらってる間俺はスーの事が心配でならなかった。
もしかしたら俺がスーにとって満足な生活を送らせてやってないから、
俺がいっつも勉強の事でとやかく言ってるから、スーはストレスで倒れて
しまったのかもしれない。
俺のせいだったらどうすんだ?
また俺は人を不幸に追いやってしまうのか?
ちらつく俺の母親の残像。涙を流しベランダから落ちよううとしている。
伸びた手は無情にも届かず、母親は落ちてしまった。
頭の中ではそれだけがリピートされている。消えてくれない。
「・・・くそっ」
嫌な思い出や自分へのプレッシャーなどで胃がキリキリいっていた。
「あの、沙耶さんのご家族の方ですか?」
上から声が降ってき、びっくりして声の方向に顔を上げると医者がいた。
医者は俺の隣に腰掛け「沙耶さんの腕のタバコのあとは、誰がやったんですか?」
俺をゆっくり見る医者。俺を疑ってるのか?
「・・・2ヶ月前に亡くなった彼女の母親です。」
「・・・そうですか。」
俺は落ちつきをなくしていた。
「スーは、スーはどうなんですか?」
「ストレスによる疲労と腹痛ですね。安静にしていればいづれ治ります。」
「ストレス・・・・。」
俺の予想はやっぱり当たった。
医者の許しを得て俺はスーの病室に入った。
「スー?」スーはまだ眠っていた。ベッドの横の椅子に座る。
窓から日が差し込みスーのベッドを照らしている。
スーの瞼が微かに動き、スーは目を覚ました。
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2004/07/17(Sat)09:18:24 公開 / レデオ
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■作者からのメッセージ
すいません、これ続きます。
とりあえず、即席でつくったものなんで
意味不明と存じますが、批判、意見指摘など
よろしくおねがいします。