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『むらさきうさぎ』 作者:CAT / 未分類 未分類
全角917文字
容量1834 bytes
原稿用紙約4枚
むらさきうさぎ
むらさきうさぎ
戻ってこないで、おうちには
お前は大切なブドウにいたずらをした!
ブドウをすべてつぶしてしまった!

おぉ、ごらんなさいその卑しい色を。
あなたのつぶしたブドウの色がおちなくなってしまったのよ。
私たちの食料はあれだけだったのに。
あなたはもう真っ白な兎には戻れないのよ。
私達の仲間ではなくなったのよ。
近づかないでむらさきうさぎ

近づかないで!!



可哀想なような、そうでないような。
むらさきうさぎは家を追い出されました。
何も持っていません。
何も食べていません。
それでも
まだらなブドウ色をした兎なんて泊めてくれる家なんかどこにもありません。
――しょうがないわよ、自分のせいなのだから。全部あなたが悪いのだから――


濃い紫色をした巨峰をつぶすのはとても楽しそうだったから……
足で、手で、体で
大好きなブドウに、一度まみれてみたかったんだ。
こんなことになるなら、やらなかったよ。
僕はむらさきうさぎ。
自分のせい。わかってる。

でも、外はとても
とても寒いんだよ……


雪が降り始めました。
ちらちらと降る雪を、むらさきうさぎはずっと見上げていました。
粉雪はやがて大きな塊となり、地面に降り立つたびにボテンと大きな音を上げました。
寒くて、寒くて、寒くて
むらさきうさぎはじっとしていることしかできませんでした。

白銀の雪景色の中に、

ぽつんと

紫色の点。



反省しているよ。
涙の限り、もうしないと誓うよ。
だから神様
この色を消してください……

むらさきうさぎは目を閉じました。
後悔という心を搾り出しきって

ごめんなさい……
ごめんなさい……

つぶやきながら、静かに目をとじました。



雪はひらひら

紫色を隠していきます……






ねぇ、お母さん!兎が雪に埋まっているよ!
まぁ、なんて美しい純白の兎なんでしょう!!かわいそうに……
家に連れて帰ってあげましょう。




雪が紫色を溶かしてくれたのでしょうか?
いいえ、違います。
むらさきうさぎの心が、まっさらな純白に戻ったからでした。
清らかな心に、紫色が逃げ出したのです。



暖炉の前でむらさきうさぎは目を覚ましました。


幸せな幸せな、しろうさぎに戻って……



2004/06/17(Thu)19:09:49 公開 / CAT
■この作品の著作権はCATさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初投稿です。CATと申します。
童話風なんですけど…上手くいってないですね、はい(汗)
何か感想いただけると嬉しいです。
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