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創作小説 投稿掲示板『登竜門』 『ｾﾞﾛスピリッド』
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- 『ｾﾞﾛスピリッド』 作者：ニラ / 未分類 未分類
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全角9930.5文字＞＞＞伝説＞＞＞
容量19861 bytes
原稿用紙約29.55枚
遥か昔、人は体内にある超能力を使って生活していた。その力は、人によって違い、使い方も違っていた。
ある者は炎を起こし、またある者は水を操る。その力を錬金術とも呼ばれている。そんな世界であった。
しかし、そこで神がある事を起こした。ある一人の者が神になるため、神に戦いを挑んだ。その戦いは3ヶ月に渡り、激しい戦闘が繰り広げられた。
結果、勝ったのは神であった。そして、神は2度とこんなことが起こらぬよう、人々の力を人々の体の中に封印し、力尽きて神も消滅した。
封印された力は、ごくわずかの者には届かず、使える者もいた。
神は死ぬ前に、一人の男に力を託した。しかし、その男の心は黒ずんでいて、暗黒の神となったのだ。そこで、その神を人々はある洞窟に封印し、平和が訪れた。
今でも、その「神秘の力」を持つ者はいると言う。
−−−＜NO1 幻想と現実＞−−−
「…と言うわけで、昔はこんな言い伝えがありました」
あるひとつの中学が、歴史の授業をやっている。クラスの者にとっては、歴史の話は憧れる話だらけである。例えれば、自分の周りに札束がドーンと置いてある感じである。中学生の彼らは、今の話をうのみにして、皆、想像している最中であった。ただ一人、彼を除いて…
彼はボーっとしながら、真っ青で雲一つ無い空を見ている。彼にとっては、これが授業とも言える。
「こらっ浅羽!!ちゃんと授業を聞きなさい!」
教卓で声を張り上げている先生。しかし、彼には、聞こえてもいない。彼は、「あの日」の事で頭が一杯なのである。
−−−−先日−−−−
彼、「浅羽炎徒」は、いつもの様に、学校からの帰り道を歩いている。彼は、一つの事になると、何も聞こえなくなるが、対してそんなに興味が湧く事は無い。そんな性格であった。しかし、なにか、困っている人がいると、どんなに急いでいても、助けようとするのである。
そんな彼が、道をとぼとぼ歩いていると、道の向こうの方から、何かの、激しい音が聞こえてくる。「神社の方だ」と彼は呟くと、神社へと走っていく。
神社に着くと、そこでは、二人の男と、一人の少年が戦っている。その少年は、浅羽の親友の「風紀達也」であった。彼は二人の男の素早い拳を、彼もまた同じく素早い速さでいなしている。もちろん、浅羽には、見えないスピードである。3人は、すごい剣幕で、相手を睨みつけながら戦っている。その時、一人の男が、一旦下がると、腕を振る。その時、何も無かった所から液体が、飛び、風紀に襲いかかるが、風紀は一瞬にしてよける。しかし、完璧には避けきれず、服に付着すした。
風紀はその服の部分を千切ったと思うと、そこだけ捨てる。その千切った部分は、一瞬にして消滅した。
「何が何だかわからないけど･･風紀ってもっと静かな奴だったと思うんだけどな･･」
その時、浅羽はうかつにも手に持っていた鞄を落した。音に気づいた２人の男は、一瞬止まり、そして、男の方が先に浅羽に向かって突進した。浅羽は普通の男の子なので、その男の攻撃を避けられる筈も無く、ぶつかって、鳥居の柱に激突する。
浅羽はぶつかった個所ををさすりながら、立ち上がる。
「って〜何なんだよ･･･」
浅羽が立ち上がると、もう一人の男もかけ寄って来た。二人の男は右手を浅羽に向けると、同じように腕を振り、粘っこい液体を浅羽にかけた。浅羽は動揺しながらもがくが、液体のせいで、だんだん動けなくなっていき。最後にはかちんこちんになってしまった。男たちが浅羽を担ぐと、風紀を見ずに、連れていこうとした。
が、その時、風紀は手を合わせた、そして周りの風が、手の中でうねりを上げ始める。風はだんだんと大きくなり、風紀の手のひらに集まる。風紀はそれを圧縮すると、風の玉を作り、二人の男に投げつけた。その風の玉は、一気に男に当ると竜巻になり、激しい突風音と共に、二人を竜巻のなかにすいこむ。その力で、男達は竜巻と共に消えてしまった。
その頃浅羽は、粘液の力でなのか、生命力を吸い取られ、ほとんど死に掛けの状態だった。そこに風紀が近づき、液体を風で取り払うと、浅羽に手を当てる。すると、浅羽になにか、熱いものがながれこんで行き、しばらくすると浅羽は、通常の状態になった。が、気絶してしまう。
「これで良いんだ…説明する事が無くて良かった。仕方ない･･今日でここを去るか･･」
風紀はそう呟くと、何処かに消えていった。
彼は、その事をずっと考えていると、一本のチョークがこめかみに当る。そこを撫でながら前を向くと、教卓で先生が青筋を立てている。先生は浅羽に見えるように黒板の物を叩く。
「あらあら？ずっと外を眺めているほど先生の授業は暇ですか？浅羽君？」
「うん!!暇!!」
先生が黒板を思いきり叩く。今のでヒビは入ったであろう。そして、先生は苦笑いで浅羽に話し掛ける。
「浅羽く〜ん？じゃあ、今教えた問題、明日までに解いて来なさい!」
先生の口調が、少しづつ激しくなっていき、最後には、生徒全員が耳を塞ぐ。浅羽は顔を引きつらせながら笑った･･
授業が終わった頃、学校を出ると、黒いスーツに身を包んだ男が門によりかかっていた。浅羽は怪しいと思い、そのままやり過ごそうとして全力疾走で走る。だが、黒いスーツの男は、いとも容易く浅羽の腕を掴む。
浅羽は、その男を睨んで言葉を発した。
「誰だあんた！俺が何かしたのか!?なんだよ!」
黒いスーツの男は黙ったまま、浅羽を引きずっていった。
−−−＜NO2「スピリッド」という名の悪夢＞−−−
着いた場所は、この町の一番奥にある「無人工場」であった。この場所は、昔、ここの社長が殺人事件を起こして、倒産となった場所の残り場である。今では、犠牲になった人たちが出るという噂で持ちきりである。そんな工場の中に浅羽を連れてくると、身に纏っていたスーツを脱ぐ。今まで見えなかった顔が見えてくる。顔は、少し若い男性という感じより、女性顔で、服は何かの民族の物なのか、スカート状の物を着ている。色は全体的に黄色を使っていて、中々目立つ格好なのは確かだ。
その男は、浅羽の眼を除きこむと、笑みを浮かべる。
「君なら教えても大丈夫そうだ。」
何が何なのかついて行けない浅羽に、男は問い掛ける。
「失礼だが、君の名前と、スピリッドをどこで開花させたか教えて欲しい」
浅羽は顔に？マークを浮かべながら、答えを言う。
「俺の名前は浅羽炎徒･･スピリッドって言うのは知らない」
それを聞いた男は顔に驚きの表情を浮かべると、あごに女性のような指を当て、何か考え始める。すると、何か閃いたのか浅羽のほうにもう一度向く。
「君、数日前に何か不思議な事を見なかったかい？何でも良い･･言ってくれ!」
浅羽は少し引きつつも、昨日あった事を洗いざらい話す。話し終わった後では、男が「スピリッド」というものについて説明を始める。
「じゃあ教えるね･･【スピリッド】と言うのは、簡単に言えば、生物の命の源で、それがあるから人は活発に動けたりするんだ。古代の人々は、その生命の源を自由自在に操れたんだ。そして、さまざまなことに使用した。しかし、神と言う者が、その力を封じ込めてしまい、今では使える人も世界で数千人ちょっと･･」
説明の途中で、浅羽が質問をする。
「ちょっと待って!その力って風を操れるの!？」
「その時見たんだね?いや、その力は人それぞれ違う物で、ある人は水を操れたり、自由に物を変化させたり出来るんだ。人によって力は違うんだ。」
「で、俺は何をすれば?」
「うん、君にもこの力を使えるようにして欲しい。」
「何で?」
浅羽の質問で、男が真剣な顔になる。そして、重そうに口をあけた。
「実は、今、国の者達が、この力を使えるものを隔離しようとしているんだ。その頂点の者は、神なんだけどね･･」
「でも、その為に何故俺が?」
「それは…」
彼が言おうとしたとき、工場の壁が破れ、昨日浅羽が見た男が10人出てきた。彼は一瞬で構えると、「さあ来い!!」と真剣な顔で叫ぶ。男達は彼に飛びかかると、粘液をまた出してきた。彼は手のひらを周りに振ると、一瞬にして男たちが凍りづけなった。他の数名は浅羽に向かって走り出す。彼は必死で追いかけようとするが、間に合わず、男達は浅羽に飛びかかっていった。
「うわああああ!!」
浅羽が声を張り上げて手を前に防御するように出すと、浅羽の周りが炎で包まれ、一瞬にして男たちが丸焦げになり崩れ落ちた。
浅羽は目を見開きながら手のひらを見る。
「一体･･俺はどうなってるんだ!?なんでこんな力があるんだ!？」
−−−＜NO3旅立ち＞−−−
浅羽は、旅立つ準備をしていた。何故かと言うと、謎の力に目覚めてしまったからだ･･。そのせいで、浅羽も暗黒神討伐候補メンバーに入れられてしまった。
そう…あの時…
−−−3日前−−−
「なあ！！どうなってるんだ！？こんな力を何で俺が!?」
浅羽は彼の胸倉を掴み、大声で叫ぶ。すると、彼は浅羽を引き剥がすと、説明を始める。
「恐らく…誰かのスピリッドが影響し、封印されていた物が解けたんだろう」
浅羽はその事には思い当たる事があった。
…弱っていた浅羽に押し当てた手･･流れ込んでくる熱い物…
これが、風紀がやったと言う事は、誰も知らない…
「そう言えば…あんたの名前は？」
「ああ、言ってなかったね･･僕の名前は「雹冷」スピリッド使いだ。」
「スピリッドって…この変な力のことなのか?」
首をかしげながら浅羽は聞く。雹は笑いながら頷く。
そして、浅羽を立たせると、工場を出させようとする。浅羽は、何をするのか、気になり、そして怪しくなり、雹の腕を振り払った。
「一体俺に何をさせようとしてるんだ!!」
浅羽は思いきり雹を睨みつけながら訴える。雹は、顔色一つ変えないで、笑いながら浅羽に話をかける。
「君には、今現在封印から解き放たれた【神】と戦い、倒すための候補戦士として登録させて欲しい…」
浅羽は背筋に悪寒が走る。
−さっきのような事を･･何度もやらなきゃいけないのか?−
数分前にあった男たちの襲撃をずっと頭の中で思い浮かべているうちに、浅羽の足が震え始める。雹は、その様子を見ると、ゆっくりと両肩に手を置いて、安心させるように言い始める。
「安心して･･僕達もサポートできるんだから…君を絶対殺させはしないよ･･」
雹の一言によって、浅羽の足の震えはおさまって来る。なぜあんな言葉で安心できるのか、自分でも分からなかった。
震えが収まると、雹は浅羽を置き去りにして工場から一人出て行こうとする。そして、一言を残して消えていった。
『三日後の朝、返事を待ってる』
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
そう言うわけで、浅羽は、黙々と支度をしていた。もちろん、危険な事は確実といって言い程、親には駄目と言われるので話してはいない。つまり、家出となるわけである。しかし、浅羽は急に、紙に何かを書き始める。そして、書き終わると家を出て、3日前の工場へと向かう。
浅羽は、その手紙を読んだ親がどう思ったか、知らないだろう…あの後起きた親は、涙を流しながら、机の上で泣いていたと言う･･…
工場への道で、思いもよらぬ人とであった。浅羽の幼馴染で、気の合う友達の「木羽良平」。彼は、浅羽の存在に気づくと、手を振り始める。もちろん、浅羽も笑顔で手を振る。二人で道に座ると、浅羽は深刻に言う。
「実は俺、しばらく学校これない…」
「何で?腹でも下したか?」
彼の天然なボケには、突っ込みようが無いので、笑いをこらえながら、詳しく説明する。
「実は、・・・・・・」
その事を話した後、木羽はいたって普通の顔で、「いってらっしゃい」と言ってくれた。きっとここで泣かれていたら俺は、ここで方向転換しただろうと思った。しかし、彼もまた、浅羽の親と同じように、浅羽が言った後涙を流していたと言う。
工場に着くと、そこには、五人前後の少年少女がたむろっていた。恐らく俺と同じ事でだろうと考えていると、雹が工場に入ってきた。そして、昨日とは全く違う表情で、叫んだ。
「ここへ来たスピリッドを持つ者達は、絶対に神に勝つための訓練についてもらう!!そして、候補生ではなく、本当の【討伐隊】になってもらう!弱者はもちろん切り捨てだ!!」
雹が言うと、外からパラパラと、ヘリのプロペラの音がした。外では既に、大型ヘリが一台用意されていた。ここに来た彼らは、全員乗りこむ。
決死の表情をして。
−−−＜NO4修行と言う試練…＞−−−
彼らはヘリの中で、緊張と言う紐をほどき、ゆっくりとしていた。浅羽は、あまり感情を表に出さないタイプなので、誰にも話し掛けていない。
突然、誰かが浅羽の眼を塞いだ。驚きながらその手をどける。さらりとしたロングヘアーの女の子が浅羽を逆さに見ている。
「どうしたんですか？そんな暗い顔して･…緊張ですか?」
浅羽は、ふうっと溜め息を一回すると、彼女に向かってピースマークをする。
「瞑想してたんだ!!」
そう言うと、彼女はきらきらした目で浅羽を覗く。そして、浅羽の隣に来て座ると、話を掛けて来た。
「あなた、どんな力なんですか?体格から見る限り、格闘能力ＵＰや、身体能力ＵＰ系かなと思うんですけど･･」
結構な言いぐさだった。覚えたてなのは、言われても仕方ないが、体つきで能力まで決められてしまった。流石の浅羽も、少々頭に来て、ピースマークの指の先から、ライター程度の火を出す。そして、はっきりこう言う。
「俺は、俺の能力は【炎】だ!!」
突然彼女の表情が変わり、ボケ−っとした表情になる。そのまま、二人は静かな時間を過ごした。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
木羽は必死で図書室の本を読み漁っていた。理由はあの時の工場である。木羽はあの跡、浅羽の後にこっそりとついていき、聞いた一つの言葉だった。
「無いかっくそ!!どこかに載ってないのか【スピリッド】!」
木羽は見てはすぐに机に放り投げ、次の本を探しに行く。木羽は今度は「様々な超能力」と言う本を持ってくる。
「さすがに、超能力ではないだろう…きっとテロ組織で、浅羽を上手く騙して轢き入れたんだ!!討伐隊ってのもきっと何処かで自爆テロをさせる気なんだ!!」
木羽は必死で「犯罪･テロ組織」の事件を洗いざらい見つづける。しかし、当たり前のように載っているわけは無い。ついには図書室の散らかし過ぎを原因に、木羽は図書室を追い出された。
「何だよ!!人が一大事を調べてるって言うのに…」
木羽はぶつぶつ言いながら一人の男性とぶつかる。木羽が謝ろうとした時、ふと気がついた。ぶつかった男性は、さっきの事件の本に載っていた六年間捕まってない男だったのだ。見た瞬間、背筋が凍りついた。しかし、彼には気づかれていないようで、結局、木羽は震えたまま、通報もできずに終わった。男は、にやりと笑いながら、昨日の工場での写真を取り出す。そして、もう一度にやりと笑って、どこかへ消えていった。
＿＿＿＿＿＿＿＿
「着いたぞ…浅羽君…」
浅羽は気がつけば眠っていたしかも、彼女に抱きつきながら…彼女も同じく眠っているのだが、何故かうれしそうな顔である。
「うわああああ!!なんだあ〜〜」
浅羽は一瞬で石になる。それもかちんこちんの固まっている溶岩のように…
「おいおい…そろそろ出てくれないかな?…候補生修行の開会式が始まっちゃうよ」
そこへ、彼女もぼけっとしながら起きる。浅羽とは違い、抱き着いてる事など何も思っていないようで、ヘリを出る。仕方なく、雹は石と化した朝羽を、担いで会場へと連れていった。
会場は、１〜２万人の少年少女たちで一杯だった。人それぞれ渡された腕輪を付けている。会場の内装は、あまりいい者ではなく、皆暑苦しそうな表情である。
「ここが、修行場か?」
浅羽は雹に尋ねる。すると、雹は冷や汗を流しながら真剣に言う。
「ああ、でも修行は少し違う…ほとんど討伐隊メンバーは２〜3回ぐらいの修行試験で決まってしまう…心してかかったほうが良いぞ･･・」
浅羽は、急に暗くなった部屋を見回す。もう一度明かりがつくと、台の上に一人の老人が立っていた。
「さて、少年少女たちよ･･これから討伐隊選抜メンバー試験を始める。」
その言葉に皆、どよどよと言って動揺している。浅羽も、聞いていた事とは違うので、少し真剣に老人を見る。
「自己紹介をしてなかったな･･わしはスピリッド使いの中の会長【時真紀】と言うものじゃ･･よろしく」
浅羽は、腕輪の甲高い音を聞く。耳を塞いでも音がしてくる。
「ほっほ…その腕輪には特殊なしかけがしてあってナ･･腕輪を持つ者が近くにいると、なるんじゃ。まあ、戦闘に入ると音は消えるがナ･･」
会長といっている者の言葉に、また周囲がざわめく。会長はきにせず続ける。
「さて、とりあえず、ここにいる者達を最大でも20人に絞らねばならぬ…一つ目の試験を開始しよう。」
会長は、懐から大きな紙を出す。そして、広げると、壁に貼り付ける。書かれていた物は、こう言う物だった。
『本日十二時より、二日後の十二時までに、腕輪を四つ手に入れて戻ってくる事!!』
「後、この屋敷は数時間後に爆発するから、すぐに逃げたほうが良いぞ･･･爆破時間は第一試験開始の十二時ぴったりじゃ･･皆、健闘を祈る。」
会長･雹達などが消えると同時に、全ての物が、屋敷から出ようとする。浅羽は、その少年たちに踏まれ、最後まで残ってしまった。
屋敷の時計を見ると、十二時まで後30秒だった。慌てて出ようとするが、もう既に針は十二時を刺していた。
そして、謎の島で一つの屋敷は大爆発を起こした。
−−−＜NO5 出会いと惨劇の森＞−−−
爆発した所には、もう館なんて物は無く、ただの平地だった。そこに、１つだけ、ぽつんと置いてある感じの土の塊がある。ふと気がつくと、さっきの少女が土の塊に近づいていく。
突然土から手が出てきた。そして、もう片方も出てくる。最後に顔が出て来た。その顔は、土まみれではあるが、明らかに浅羽であった。土が完全に取れずにもがいていると、少女が近づいてくる。
「ぁ!!さっきの･･良かったら助けてくれない？」
少女は手を出す。そして、その手を掴もうと浅羽も手を出した。すると、次の瞬間、少女は右腕についている腕輪を持って言ってしまった。その行動に、浅羽はただ呆然とするだけだった。
土の塊から出ると、周りを見渡す。浅羽から見るに、この島は中心が森で、後は端に海岸があると推測する。だとすれば、他の候補生たちが隠れる可能性のある所も
森だと確定する。浅羽は迷わずに森へと入っていった。
森に入ってからもう何分が経っただろう。ずっと走りつづけていて、足は痛いわ息は苦しいわで満身創痍になっている浅羽。とうとう走れなくなり、近くにあった倒木にこしをかける。そして、休みながらも考える。
｛待てよ･･会長って奴が言うに、【最終的に二十人を選ぶ】と言っていたな･･でもこの人数じ１回目をやったとしても無理だ･･今回参加しているのは約１〜２万人（最大の数として二万で考える）･･腕輪を四つ集めたとして、落ちていくのは約１５００人…｝
急に何を思い立ったか立ち上がると、何かに気づいたような顔で叫ぶ。
「そうか!!分かったぞ!!この討伐隊の意味が!…でもそうすると、俺達は単なる…」
そう言いかけた時、すぐ側のくさっぱらからがさっと男の子が出てくる。全身傷だらけでもう死にそうである。男の子が浅羽に近づくと、自分の腕輪を差し出す。そして、苦しそうな声を振り絞って言う。
「早く…これを持って逃げて･･じゃないと殺さ･･」
最後の言葉を言いかけたとき、男の子の頭はみじん切りになってしまった。その気味の悪い風景で、浅羽も気分を悪くして近くの原っぱで戻してしまう。もう一度草むらから一人出てくる。さっきの男の事は違い、狂ったような表情と、殺気満々の状態である。
「もう一人･･ヒヒ…見〜っけ!!」
浅羽は必死で走り出す。が、何を思ったのか急に止まる。頬の傷が出来ていることに気づいたのだ。しかし男は何も持っていない。右手に何かを握っているような感じはするが、見えない。
「お前は…一体何の為に殺した!!」
そう叫ぶと、彼から思いがけない言葉が出た。
「俺様が･･ヒヒ･･神を殺して･･ヒヒ･･俺様が･･神になるのさ･･ヒヒ」
完全に我を失っている状態である。浅羽にとっても、彼の考えはやばいと考える。そして、倒す事を優先にするため、構えた。彼も、狂ったようにぎょろぎょろとした眼をこちらに向ける。
そして、浅羽の中でゴングが鳴り響いた。
最初に動いたのは浅羽であった。浅羽はぎこちない感じで、腕にスピリッド「炎」を纏わせる。そして数々の倒木を飛び越えながら、男に飛びかかる。男も黙って見ているだけではないので、跳躍すると、腕を振る。とっさに腕を組むが、何も飛んでこ無い。良く見てみると、男は振った手に何も持っていない事に気づく。少し安心して腕を緩めたとき、耳に「ヒュゥッ」っと言う謎の音が聞こえてきた。浅羽はその音に気づき、もう一度腕を組む。しかし、腕を組んでも意味は無く、右腕にぱっくりと切り傷が出来た。浅羽は、見えない能力を使う男を腕の痛みに堪えながら睨みつづける。男が笑い出す。
「ひゃはははは!!俺の･･ち･･力が･･よ･･読めるとはな!!良いだろう･･なかなか難しいゲームと思ってやるよ!!」
もう一度男が【何か】を投げる。浅羽は柔軟性のある体を使って、右へ側転する。男が何かを持っている腕を後ろに引く。すると、今度は背中に切り傷が発生した。ドクドクと二つの傷から出る血を、必死で押さえながら浅羽は力の差を思い知る。しかし、負けてはいられない浅羽は、もう一度男に向かって走る。
「身のほ･･程知らずが!!死･死ね!!」
男が投げると、浅羽はいきなり持ってきていた携帯水を土に振りまく。そして避けると同じにびちゃびちゃにとけた土を【そこ】に投げつける。見事に泥はあたり、姿を見せた。浅羽はやはりな･･と微笑む。男はその顔に激怒する。
「何で分かった!!俺の力が【透明化】だと!!」
男ははっとして口をつむぐ。浅羽は笑いながら立ちあがる。
「やっぱりな…おかしいと思ったよ･･お前のスピリッドは【透明の武器】では無く、単なる【透明化】!!お前は、武器にその力を付与する事で、透明化させ、見えない武器を作ったんだ!!このことは、炎を出しているときに分かった事だ。透明ななか、炎が少しその武器に写っていたんだ!!」
男ははっとして武器を見る。鎖鎌がしっかりと形を見せていた。武器がはっきりと、それでいてくっきりと形を見せている事に、男は唖然としながら立っていた。
「だがな!!体術とかでも俺は･･ま･･勝っているはずだ!!」
男の自分のことだけを考えている言い方に浅羽は少し切れる。腕に炎をもう一度纏わせると、ポケットから、平べったくて丸い鉄の物体が付いていて、プラスチックのような紐が取り付けられている物を取り出す。紐の先についているリングを指にはめると、自在に操る。じりじりと男に近づくと、一気にその鉄を男目掛けて振りまわす。男も反射能力で何度も避けていくが、浅羽が装備している方の指をパチンと鳴らした。すると、その音と共に鉄の周りから火が噴射する。その武器としか言いようの無いものをまたもや浅羽は男目掛けて振りまわす。
「俺の自作の武器だ!!プラスチックの管の中で、超低温の火を金属部まで移動させ、十分に溜めてから良く振ると、物凄い炎が出るって訳だ･･作るのには苦労したけどな･･食らってみな!!」
浅羽は十分な距離から武器を投げる。男は反対側に避けるが、それも意味は無く、浅羽が逆に腕を振り、男に攻撃を与えた。当った部分は高熱の炎のせいで、火傷を負い、当たった所の皮膚がべろりと破けた。そこへもう一発浅羽が攻撃をした。しかし、炎がいつのまにか消えていた。浅羽が疑問に思っている隙に、男がナイフを取り出して、浅羽の後ろに回りこむ。切りつけようとしたとき、何かが落ちてきて、男の首を軽くたたいた。男はどさっと倒れると、痙攣したまま白めになった。
浅羽が後ろを向いて見ると、改めて喜んだ。なんと、その落ちてきた物は、助けに来てくれた「風紀」だったのだ。
「風紀!!お前もここに来てたのか!？」
「ああ、…それより炎徒!!お前に教えなくちゃいけないみたいだ。」
「何を?」
浅羽は首をかしげる。
「スピリッドの使いかただ･･今のお前は力を無駄使いしているだけだ!!」
風紀は大声で叫んだ。 -
2004/06/22(Tue)00:54:37 公開 / ニラ
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■作者からのメッセージ
やっと少しづつというわけですが、話が始まって来ました!!1話1話短いですが、どうか読んでください。
感想コーナー
森山達之様：またまたの感想ありがとうございます!!これからも、ヒートアップさせていきます!!
エテナ様：感想ありがとうございます!!五話は、上手く出来たと言ってもらえて、うれしいです!この五話を使って考えながら、これからもいい話をがんばります!!
霜様：色々なご指摘ありがとうございます!!治すように必死で努力します。なので、また気づいた点などがございましたら、アドバイスお願いします。
森山達之様：またまたご感想ありがとうございます!!やっと、第五話後編で戦闘シーンを書くことになりました!!
エテナ様：さまざまな点のご指摘ありがとうございます!今の出来事になるよう、努力をいたしますので、応援等よろしくお願いいたします!
森山達之様：感想ありがとうございます!まだまだ今は序章に等しいぐらいです!期待していてください!（果たして、浅羽の運命は!?）
森山貴之様：ご指摘ありがとうございます!色々、見直しつつ努力していきます!
メイルマン様：小説の達人の方からアドバイスを貰えて、すごくうれしいです!適切なアドバイスありがとうございます!これを参考に、がんばっていきます！（不快なんて全く１００％思ってません!）他人からのアドバイスは、しっかりと吸収して、作成していくのが一番!と言うわけで、これからも適切なアドバイスをお願いできたら･･と思います!
森山貴之様：感想ありがとうございます!これからどんどんヒートアップさせていきます!
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