オリジナル小説 投稿掲示板『登竜門』へようこそ! ... 創作小説投稿/小説掲示板

 誤動作・不具合に気付いた際には管理板『バグ報告スレッド』へご一報お願い致します。

 システム拡張変更予定(感想書き込みできませんが、作品探したり読むのは早いかと)。
 全作品から原稿枚数順表示や、 評価(ポイント)合計順コメント数順ができます。
 利用者の方々に支えられて開設から10年、これまでで5400件以上の作品。作品の為にもシステムメンテ等して参ります。

 縦書きビューワがNoto Serif JP対応になりました(Androidスマホ対応)。是非「[縦] 」から読んでください。by 運営者:紅堂幹人(@MikitoKudow) Facebook

-20031231 -20040229 -20040430 -20040530 -20040731
-20040930 -20041130 -20050115 -20050315 -20050430
-20050615 -20050731 -20050915 -20051115 -20060120
-20060331 -20060430 -20060630 -20061231 -20070615
-20071031 -20080130 -20080730 -20081130 -20091031
-20100301 -20100831 -20110331 -20120331 -girls_compilation
-completed_01 -completed_02 -completed_03 -completed_04 -incomp_01
-incomp_02 -現行ログ
メニュー
お知らせ・概要など
必読【利用規約】
クッキー環境設定
RSS 1.0 feed
Atom 1.0 feed
リレー小説板β
雑談掲示板
討論・管理掲示板
サポートツール

『理由無き殺人、通り魔【読みきり】』 作者:ヤブサメ / 未分類 未分類
全角1350.5文字
容量2701 bytes
原稿用紙約4.8枚

私は殺人鬼だ。今、新たな死体を増やそうとタクシーに乗っている。
「ねえ、お客さん知ってます?」
前に座った、白い帽子に赤いベストを着込んだ若い男の運転手は私に尋ねてきた。細面で、髪は茶色に染めていて、長かった。
「この頃タクシー運転手ばっかりを狙った殺人鬼が出てるんですよ」
「へぇ、怖いですね」
私は普通に流す。可哀想に、この男は私がそれだとは気づいていない。
「後ろから首をバッサリとナイフで切り裂いて、それから車内でバラスらしいですよ」
正確には、サバイバルナイフだが
「私ね、その殺人鬼と話をしてみたいな、って思ってるんですよね」
今話してるのが、そいつです。
「どうしてですか?」
私が尋ねると男は「いや、実はですね」と話しだした。
「理由が聞きたいなーとか思っていましてね」
「理由ですか?」
「ええ、そうです。理由です」
そして運転手はしっかり握っていたハンドルを手のひらで弄ぶように構え直した。
「なんか、殺人鬼ってのは特殊な考えを持っているような気がするんですよね」
若い男は楽しそうに続ける。
「ほら、まるで作家のような、太宰とか芥川みたいな…変わった思考というか」
「そんなの無いと思いますよ」
私は言った。
「ただ快楽も何もなしに、呼吸と同じような感覚で殺していると思いますよ、その殺人鬼は」
「そうですかね?」
そうですかねもなにも、本人が答えているから間違いは無いだろうに。
「残念だなー」
男はそう呟いた。私はそっと着ているコートの下に隠したホルスターに収まったナイフのグリップを一度握った。もうすぐ、もうすぐ運転手の命は尽きる。
「さあ、着きましたよ」
男が言うと同時に、タクシーも一緒に止まる。
私はコートの中に手を入れた。いつもの通り、財布の代わりには私はホルスターに入ったナイフのグリップを握る。
「ところで、あなた熟れたトマトはお好きですか?」
何を言い出すのか。男は唐突に―私は、ナイフをホルダーから抜こうとした手を止めた。
「私は弾けるほか無く、腐るしかないそれが大好きですよ」
運転手は振り向きながら言った。口端を思いっきり吊り上げて笑みを浮かべたそれ。右手に黒色の“何か”を握ったそれ。
悪態をつく暇は無かった。
「それが弾ける瞬間を見るのがね」


赤く点滅する、白と黒に塗られたパトカーの天井につけられたランプの光に包まれた一台のタクシーの姿が在った。周りには既に野次馬が集り、それを防ぐように青いビニルシートが制服に身を包んだ男たちによって敷かれていっていた。
「また、か…」
そのビニルシートに囲まれた中で、黒スーツに身を包んだ、中年太りした腹の張った男は小さく呟いた。
「警部、警部」
その男に、紺色の制服に身を包んだ若い男が声を掛けた。
「どうした?」
警部と呼ばれた男が尋ねると、若い男は言った。
「タクシー内を検査したところ、後部座席に1人の死体が見つかりました」
「身元は?」
さらに、警部が尋ねる。
「恐らく、着ている服からタクシー運転手だと思われます」
「死因は」
立て続けの質問に、若い男は答えた。
「大口径の銃で、頭を一発。粉々です」
「ナイフじゃないんだな」
「はい」
警部は大きくため息をついた。
「何が楽しくて、人殺しなんかするんだろうな」


弾ける瞬間を見るのが好きだから
2004/06/04(Fri)18:46:28 公開 / ヤブサメ
■この作品の著作権はヤブサメさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
唐突に思いついたのを、そのまま書いてみました。
この作品に対する感想 - 昇順
感想記事の投稿は現在ありません。
名前 E-Mail 文章感想 簡易感想
簡易感想をラジオボタンで選択した場合、コメント欄の本文は無視され、選んだ定型文(0pt)が投稿されます。

この作品の投稿者 及び 運営スタッフ用編集口
スタッフ用:
投稿者用: 編集 削除