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『ホテル〜快適なサービス〜』 作者:白い悪魔 / 未分類 未分類
全角2185.5文字
容量4371 bytes
原稿用紙約6.95枚

 どうも。この度はようこそいらっしゃいました。当ホテルは老若男女問わず、誰もが楽しめるサービスを提供しております。是非一度やってきてみてください。

 高層建築物が立ち並ぶ場所に一つの大きなホテルが存在している。そのホテルは今地球で人気急上昇のホテルである。こんな都会のど真ん中のただのホテルがなんで人気なのかということはニュースなどを見ている人ならわかるでしょう?ここはただのホテルではないのですから。

 私の名前は荻原麻衣子。今日はこのホテルにやって来た。私の職業はオフィスレディー、つまりはOLである。そんな私がこのホテルに来た理由は、この近くのある会社との取引に行くため、そしてそのために近場のホテルで二日間かけた確実な交渉をするためである。
 それでも私はただの一般OLである。それなのに何故そんな取引の場所に行くかというと……。
「いやぁー!麻衣子ぉー!良い眺めだぞぉ!」
 この男は林洋二。確か50歳になる私の上司……いや、私の不倫相手だ。何を隠そう、彼とは今年で2年になる。新入社員で入ってきた私は上司の優しい言葉に、だまされそのまま今に至るのだ。つまりは上司にしてみれば昼は取引、夜は私との不倫旅行なのだ。
 林は今現在、妻も健在し娘と息子の二人兄弟で、今年で娘は17で息子は16になるそうだ。そんな子供を持つ林が何故私とこんな関係になったのか……。入社当時、私は仕事に嫌気がさしていた。何をやっても怒られ、嫌な先輩にいじめをうけていた。そんな私はあるお酒の席へ行った。
「どうした?荻原君。何か思いつめた顔をして?」
「い、いえ……なんでも……。ただ会社辞めちゃおうかな〜なんて……。」
 それが林だ。林は私に優しい言葉をシャワーのように無数に言ってきた。その言葉をあびまくった私はその夜、みんなと別れ誘われるがままホテルに連れて行かれた。

「おくさん……良いんですか……」
「妻なんてもう、どうでもいい。今は麻衣子の笑顔を見ていたい。愛しているよ、麻衣子」
 当時48の林は私を抱きしめ、私もそれに答えた。決して彼氏がいないわけじゃない。ただ、あのときの彼氏は少し離れていて、私にはちゃんとした支えじゃなかった……。だから私はその時彼氏ではなく、林を選んでしまった。

 何故こうも嫌な思い出のように言うかというと、林の話が入ってきたからだ。
「麻衣子!大変、大変!3課の大森さんと!林部長不倫してるんだってぇー!こないだ美香がホテルに入ったの見たんだってぇー!」
「え……」
 その時私の中で何かが壊れた。私にとって唯一の支えになってくれた林が、妻を捨て私だけを愛してくれると約束した林が、他の女とも……。私は糸が切れるのを感じた。これが不倫された妻の気分だという罪悪感と、彼への復讐心が私の中を満たしていったのだ。
 
 その日いえについた私の顔はぐしゃぐしゃになっていた。そして一つの決意をした。
「林に……林に!復讐してやる!」
 私の決意。そしてそこにどこからともなく置かれた一つのパンフレット。それは――。

「いやぁー!来て良かったな〜!麻衣子ぉ。本当にここは綺麗だ。もちろん君のほうが綺麗だがな。ガハハ!」
「……」
「どうした?麻衣子?」
「……」
「何をさっきから黙っているんだ?」
――誰もが楽しめるサービスを提供しております……。
 ザクっと音がする。手にはさっきバックから取り出したナイフが私の手に握られていた。
「グハッ!ま、まい、まいこぉ〜!な、なにをぉ……」
「もう……消えて!」
「わ、私が何をした!お、おま、おまえのた、ために離婚もしようとし、した、の、のに!……ゥゥウ!」
 ガタリと倒れる林。一瞬のことで林は何もわからなかっただろう。でもこれで私は元の私に戻れる……。

 数日後。彼の死は自殺と片付けられた。私は取調べを受けたが何も問題なしですぐに帰った。本当にあのホテルに感謝である。
 誰もが楽しめるサービス。つまり私が楽しむためには林がいなくなることだった。そしてホテルは何から何までしてくれて、私を犯罪者にさせずに私は元の自分に戻れたのだった。
 
 ……そう、戻れるはずだった。

 数年後、私は結婚をした。晴れて付き合っていた彼からようやくプロポーズされたのだ。そして新婚旅行で再びあのホテルに訪れた。何せ彼がどうしてもここに着たいというのだからしょうがないのだが。
「正樹さん!すごい綺麗ねここ!ホテルって思えない!」
 私はホテルに来たことのないような口調でしゃべっていた。いや?あのときのことはもう忘れていたんだ。このときまで
「……」
「ま、正樹さん?なんで無言なの?」
「……」
「正樹さん?おぉ〜い正樹くぅ〜ん」
「……!」
 一瞬のことだった。私の心臓をナイフが貫いた。
「ま、正樹……さん……?」
「親父の、親父の仇だ!今まで黙ってたが、俺の旧名は林なんだよ!林洋二の息子のな!ようやくみつけた犯人を躍らせて絶望を与えてやった!クク、ハハハ!あの世で親父にわびろ!人殺し女!」
 そう、私の愛した人はあの男の息子だったのだ。そして……私はこのホテルで殺された。
――誰もが楽しめるサービスを提供しております……
 あのときの私のように正樹さんが楽しめるように私も自殺として片付けられちゃうのだろう……。
 あぁーなんて私は……。


END
2004/05/31(Mon)22:41:59 公開 / 白い悪魔
■この作品の著作権は白い悪魔さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 どうも!今日は学校なのですが……電車に乗る定期を忘れ、こんな時間に家のPCひらいてる白い悪魔です(笑)
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感想返信!

湯田さん> 
 ありがとうゴザイマス!早速なおさせていただきました!即興でしたので……見直しがきちんとできてなく本と申し訳ないです(><)そうですね〜本当はもっとギクシャクして言っても(違)ちなみにホテルの「やってきてみてください。」とは「殺ってきてください」のつもりだったのですが……結局書き忘れてしまいた--;)ありがとうございました!!

卍丸さん>
 毎度のコトながらありがとうございます!本当にいっつも感謝しております♪ギャグを書こうという気分ではなかったのです(笑)「高校B年でただでさえ休めないのに…なんで…。」って自分への怒りで書いてました(笑 ありがとうございました!


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