- 『奴隷―復讐―恋愛〜愛〜』 作者:アブライド / 未分類 未分類
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原稿用紙約4.15枚
「さぁー、君のしたいことを言ってごらん」
「あんたを……コロス……」
結局私は奴を殺した。死んで当然だった……でもここに残っている罪悪感は何?いつも誰かが私を見ているようなそんな気分は何でなの?私は当然のことをしただけ……なのに……どうして……。
――……数日前
私は牢獄の中でもがいていた。”奴”のせいで、奴にしてみれば私はただの奴隷……ひどい仕打ちを受けてきた。でもこれでこの牢獄から出られる。奴は私に言った。
「お前が一ヶ月間もつのなら、私はお前を解き放ってやろう。それまでは―」
景色はいつも薄暗いもの。明るい光はいつも消えていく。希望という光はどんどん消えていき、いつも絶望が増幅していった。あまりに唐突過ぎる出来事……血が流れないだけましだと私は思い、奴のすべてにおいての奴隷と化した。
――……一年前
仲良く友達と町を歩いていた。高校の帰り道……奴が黒いサングラスをかけながら私の前に現れた。友達は少し前に別れ、あたりは私たち以外ただ動いているだけだった。
「……だれ」
無言。決してしゃべろうとしない。笑みすら見えない……それになんでか……すごく、怖かった。初対面でこんなに恐怖を感じたのは初めてで、周りの人は私たちを避けて地球の自転のように動いていた。
「……な、なんですか」
腕をつかまれる。男の手は強い力で私にしがみつく。決して獲物を離さないように、そして声をあげようとした瞬間、いっきに車に引き込まれてしまった。
町はそれでも人は……当然のようにうごいていた……
それから、いろいろなところに連れて行かれた。目隠しをされて、いろんな場所でいろんな言葉を聞いた。何語かわからない……奴の考えはたぶん私をどこかに売り飛ばすのだろう……誰ももう助けてくれない……ずっとこのまま……私は……。
目隠しをされすでに日にとの感覚もなかった。飛行機や船にも乗った感じもした……トイレはもう何回漏らしたことだろう……そのたびに無理やりに脱がされた……でも、まだそれだけですんでいた……奇跡なのか……
そのままずっと数日前まで私はそれを繰り返していた。外を見たのはその時が初めてだった。私は犯されることなく奴の指示に従った……奴はずっと私と動いていた。もう奴が隣にいるのは当然なように……。その日私は奴の顔を見た
「……せ、先生……」
あの時のサングラスで誰だかわからなかったがどうみてもこいつは中学のときの担任だった……でも私には理由を聞くほど余裕がなかった。先生は私をなめるように見つめ、私に初めて触れてきた……
あの日からずっとそんな生活だった……私の心には復讐の言葉ばかりがこだましていた。ずっとずっと奴の奴隷……復讐……。
約束の日、私は自由になった。食事、風呂……すべてを久々にして、私は再び私という人間に戻った。そして――……。
「さぁー、君のしたいことを言ってごらん」
「あんたを……コロス……」
私はその言葉と同時に近くのナイフを突き刺した。あふれる血……返り血となって私にシャワーのように降り注ぐ。これで私は自由だ……。
そう思ったのに……。
「たった数年……ずっと奴の奴隷……それがなんでこんなに恋しいの……?私はあんな奴に……そんな……。」
数年がして、日本から離れたある国で私と奴が抱き合った白骨化した死体が発見されたのだった……。
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2004/05/31(Mon)17:33:08 公開 / アブライド
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■作者からのメッセージ
初めまして。処女作なので自信がありません……ご指摘、感想の方をもらえるとうれしいです。
皆様!感想本当に感謝です!ここまで言われるとは思われず、感想に涙し、指摘に共感されました。またお願いします!