- 『不良物語 【5】の続き』 作者:グリコ / 未分類 未分類
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原稿用紙約13.35枚
【5】の続き
二人とも頷いた。キッドは番堂に連絡を入れた。かけてすぐに出た。停学中なので相当暇なのだろう
「春樹〜喧嘩したくないか?」
「今はいいんだ。足立川は今渓流釣りのシーズンなんだぜ。いっぱいニジマスとかアユとかアマゴ釣ってきてやるからよ」
「何言ってんだ!お前アマゴとか言って俺にアブラハヤ売りつけただろ!!それに春樹は釣れなくなったら銛もって川に入るだろ?穴の開いた魚なんていらねえよ」
「まぁそういうなよ。今度お前も一緒につれてってやるからよ!それに島原に借りたスプーン(ルアー)がまたかなり釣れるんだぜ!」
「おう。女も連れてきてやるよ」
「残念だったな!俺は今凄え可愛い彼女がいるんだよ!女は足りてる」
「今度はいつまで持つかな?楽しみだぜ。んじゃな」
そう言って電話を切った。キッドは電話をしまい二人のほうを見て
「なんかアイツ釣りにいくみたいなんだ。アイツかなり釣り好きだからな。ルアーも数だけならプロ級だ。ボックス四つか五つ分もってるし、渓流釣りもいろんな糸とか揃えてるし。アイツ釣れる時は釣れるからなぁ。そういえばさっき島原の兄貴にスプーン借りたとか言ってたな・・そうせ返さねぇくせに」
龍司と鉄心は笑い。龍司は自慢げに
「凄えなぁ今度俺と勝負してぇな。俺ぁブラックバスなら最高53cmニジマスは46cmアマゴは・・何cmだったかな?まぁいいや」
鉄心は勝ち誇ったように
「何だ?ヘボいのう・・ワシャブラックバス58cm釣ったぞ」
龍司はウッとなったが鉄心を睨み
「証拠は?どうせ嘘なんだろ?本当は48・・いや38だろ?」
「なんじゃぁ負けたからって突っかかってくるんかい?情けないのう」
二人は睨み合ってる。この光景を黙ってみてたキッドは自分と尽と番堂のトリオのいつもの喧嘩を思い出していた。いつも下らない喧嘩をする自分達を。そして、二人に興味深そうに聞いた
「そういや尽の友達だろ?二人とも。アイツからいろいろ聞いてるぜ。いつも喧嘩しては仲直りしてるんだって?」
龍司と鉄心はにらみ合いを止め鉄心が
「あぁそうだけどオメーも仲いいなぁアイツぁいつもヤンキー同士の喧嘩にゃぁ興味ねぇ俺はいずれ世界チャンピオンになる男だ!って言ってるのに案外不良の友達多いのう」
この言葉を聞いてキッドは胸を張って
「尽には少林寺拳法教えてやってるぜ。尽は素質があるからな。身のこなしもいいし何より筋肉のバネが凄え。黒人だってあんな凄い奴はいねぇぞ。尽は誘わないのか?」
龍司と鉄心は目を合わせその後キッドの方を見て龍司と鉄心が同時にしゃべり声が重なり鉄心が龍司に目で合図し龍司が話した。
「尽は今凄えジムから誘いがきてんだよ。ウチのジムの本部っつーかK−1でもボクシングでもテコンドーでも世界チャンピオンを何人も輩出してるとこだ。そこのジムの一番凄いコーチが今までにない素質を持っている。コイツは世界の強豪ですら相手にならないぐらい強くなるかもしれない!なんて言うんだぜ。それを暴力沙汰で取り消しになっちまったら可愛そうだろ?」
龍司と鉄心と同じく尽の親友であるキッドはその言葉を聞いて「なるほど。そりゃそうだ」と頷いた。そして力強く
「しょうがねぇ俺が皆の分暴れてやるよ!前田の兄貴や霧島の兄貴はなれない勉強してるし武島コンビもどっかで何してるか判らんし春樹のアホも釣り行ってるし!どうせ遊魚券買わずに無断で。こうなりゃ俺しかいねぇ。鮫嶋の兄貴とホウジの馬鹿も停学になってるし」
この心強い言葉を聞いて龍司も鉄心もホッとした。そして龍司が一言付け加えた
「鮫嶋兄弟なら俺んとこのアニータが今快く交渉に行ってるぜ」
AM11:00 鮫嶋兄弟自宅
鮫嶋兄弟(いつの間にか仁平も起きてる)のハモった応援が鮫嶋兄弟宅に響く
「フレーフレーアニータ!フレーフレーアニータ!」
「やかましい!!集中できねぇだろ!!もうお前等どっか消えろ!!」
アニータはまだ格闘中だ。残るは数学。だが数学ほど考える教科はない。なのにこの馬鹿兄弟は数学の「す」の文字も理解していないので応援している。応援するなら手伝えばいいと思うがこの兄弟が手伝えばとんでもない事になる。九九ですら怪しいこの二人は算数ですら四年からの内容はろくに出来ない(じゃあ何故高校いけた?ってツッコミは勘弁)仕方なくアニータは数学の残り24ページを頑張ってる。
客人が来たからなのか普段手にする事のないギターを手にした仁平の容姿は剃り込みを金髪の坊主頭いや真ん中だけ少し髪が長くモヒカン気味の頭に数本入れており後ろ髪だけは肩の下まで伸ばしている。右眉毛にはピアスを付けている。目つきはとても鋭くただ者ではない雰囲気を感じさせる。とてもさっきまで馬鹿面引っさげてグースカピースカ寝てた奴とは思えない。鼻も高すぎるわけでもなく潰れてるわけでもなく普通だ。下唇にピアスを右と左と真ん中に付けている。そして左の耳にも三つつけている。ピアスさえとれば弟よりもいい男なので女も寄ってくるが鋭い目つきとピアス。そして首にぶら下げている髑髏のリングのせいで誰も近づいてこない。ここいらでは『双剣のジンベエザメ』と言われ龍司や鉄心と同じくらい恐れられているだけある。特に「鮫肌」「鮫牙」装備時は半径5m以内誰も近づかない。服は『ポイズンシャーク』仕様の鮫の頭の骨が髑髏に噛み付いている柄の入ったジャケットだ。鮫に噛み付かれた髑髏の牙が当たっている部分の骨が溶けているのは『ポイズンシャーク』のロゴの売りだと言う。
仁平が曲も弾けないのにギターを持ちカッコつけて足を組み
「あと何分で終わる?」
と聞いた。アニータはうっとうしいと言わんばかりに
「あと40分ぐらいだ!オイ!どっちかカップ麺買ってくれ!!」
といい500円を適当に後ろのほうへ投げた。法慈朗はそれを取り
「じゃぁナンパしにいくついでに買ってきてやるよ!何がいい?」
アニータはムッツリした表情で法慈朗の方を見ずに
「ラ王かグータ」
と答えた。
「随分高いラーメン食べるね〜んじゃ言ってくるぜ!」
そう言い部屋を出た。廊下からは「沙菜!今からコンビニ言ってくるけどお前バイク後ろ乗るか?」と言う声が聞こえた。そしてその後「うん。あんまりスピード出さないでね」という可愛らしい声が聞こえた。アニータが声で年を予想した。恐らく小学六年か中学一年だろうな・・と。そして、アニータが適当にギターかき鳴らしている仁平に聞いてみた。
「お前の妹いくつ?」
「俺の妹はお前にはやれねぇなぁ」
「殴るよ?」
「怒るなよ。当ててみろ」
「小6」
「残念。中二だぞ。俺の妹はやんねぇぞ!俺ににて顔もいいし寄ってくる男も多いけどな。最近は俺と法慈朗にビビって彼氏が出来ねぇみたいだけどな」
「笑い事じゃねぇだろ?写真見せてみろよ」
「机の前にあるだろ?それに俺をぶっ飛ばしてでも俺の妹を奪うような男じゃなきゃ駄目だ」
「嘘ぉこれがお前の妹?可愛え・・なんか龍崎さんにしろ戒斗や尽にしろ俺等ヤンキーに限って女の兄妹って顔がいいな」
「だな。やんねぇよ俺の妹」
「しつけぇよ!オメーを兄貴と呼ぶぐらいなら相手が上戸彩だろうとゴマキだろうとあゆだろうとヒッキーだろうとお断りだぜ」
「本当にそう言い切れるか?」
「ウッ・・やっぱ我慢するかも」
「だろ?愛に姑も義兄弟も関係ないんだよ」
などとたわいもない会話をしている。
PM11:00 黒岩中学校 保健室
「起きて下さい戒斗さん!今校門に『黒岩ファミリー』の勧誘がちょうど来てます。多分スピードとかアンパンとか持ってきてますよ」
そう言ったのは慌てて保健室にやってきた取り巻きAだ。丁度今イエヤス達はグラウンドにサッカーしにいこうとしたらバイクが四台来た。不信に思ったイエヤスはそいつらの背中を見たら習字みたいな字で縦に黒岩ファミリーと書いてあった。イエヤスはしばらく生徒玄関で様子を見るといって取り巻きAに戒斗を起こすように言った。
戒斗はすぐに起きて取り巻きAが持ってきた靴をその場ではいて急いで生徒玄関まで行った。三年は皆授業だ。一つだけ全員いないクラスがある。恐らく移動教室で音楽室とか理科室とか行ってるんだろう。だがそんな事は関係ない戒斗は教室などには目もくれず猛スピードで廊下を駆け抜けた。そして生徒玄関につくと二年の下駄箱に身を隠しているイエヤスと取り巻き数人がいた。そしてその先に勧誘に来た高校生ぐらいの年の男数人とそれについていく生徒数人がいた。一年も二年も三年も混じっている。不良っぽいファッションの奴からおとなしそうな奴マジメそうな奴も混じっていた。イエヤスは
「起きたんですか?今俺等のほかのグループ数人と普通そうな生徒までが奴等についてきましたよ。追いかけます?」
戒斗は
「当たり前だ!あのついてった奴等の顔を見ろ!その内の半分は男子も女子も皆痩せこけてるし顔の形が崩れてる。まるで狐みたいだぜ!絶対ありゃあシャブかなんかやったんだ!あのマジメそうな奴等は『黒岩ファミリー』の金づるだ。そしてもう半分は勧誘に乗った不良共だ!とにかく行くぞ!」
と行って校門の辺りにいる勧誘に来た男数人とついていった生徒の男女数人を追いかけて戒斗達は走った。グラウンドをダッシュで走った。それに気づいた勧誘に来た男は振り返り戒斗の方を見た。そして
「君達も『黒岩ファミリー』に入るのかい?それとも他に用事か?コイツが欲しいのか?」
恐らくこの数人の中ではそいつがボス格であろう黒いマスクをした男が白い粉の入った袋をポケットから覗かせるように出し不敵な声で言った。
戒斗達全員は間違いなくアレがヤクだと判った。そして戒斗が
「テメー等糞野郎を全員叩き潰すためだ!」
と言い右にいた男の顎を蹴り上げた。蹴られた男は顎を押さえ地面を転がりまわっていた。イエヤスも左にいたの顔を殴った。なかなか効いていたが相手は倒れずに殴り返した。イエヤスはふらついた。さらにもう一発入れようと向かってくる。イエヤスは必死で避けてカウンター気味にパンチを顔に入れた。男はそのまま倒れてうめいている。残りは二人取り巻き全員で囲んだが相手はナイフで襲ってきた。取り巻き数人は慌てて逃げた。そして
「戒斗さんかイエヤスさんお願いします!」
ときた。まぁいつもの事だな。と納得しナイフを持ってる相手のほうを向いた。相手はそのまま刺しに来た。戒斗は腕を掴みヒネってそのまま顔を殴った。殴られた衝撃でふらついてそのまま倒れた。残り一人。ボス格の男だ。だが降参した。両手を上に上げて
「俺の負けです」
と情けない声で言った。戒斗はそのままそいつと倒れてる四人を縛り上げた。そしてついていった奴等を捕まえて理由を聞いた。
続く
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2004/05/04(Tue)10:36:31 公開 / グリコ
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■作者からのメッセージ
なんかもう・・駄目だわ・・もっと細かく数字で分けたほうがいいですかね・・やっぱ素人っぽくずっとちんたらちんたら続いちまいます。挙句の果てに【5】の途中でもうこんなになっちまいました。それでも読もうって気のある方は気長に読んでください