- 『雷豪の氣流銅 −第7話 組織と犯罪と自分−』 作者:織田 幡蔵 (おだばんぞう) / 未分類 未分類
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『雷豪の氣流銅』
−第1話 危険な町−
「はーやっと乗れた。一時はどうなるかと…」
少年は汽車に乗れたのをしみじみと思い、独り言を言った。
「あら、あなた旅人さん?」
少年の座っている席の横に立つ少女。少女は少年にそう尋ねた。
「あ、はい。少し…」
「少し隣に座ってもいいかしら?」
「あ、はい!」
少女は少年の横に座ると長い髪の毛を後ろに払いのけた。
別に旅行をしているようにも見えず普通の私服のようだった。
「あなたの名前は?」
「俺の名前は、ライト・デクロス。あなたは…」
「私は、ハーク・ロイス。ふたつ前の町で用事があって戻るとこよ。そう言えば
ライト君は、何の旅をしてるの?」
ハークはライトに尋ねる。
「俺は氣流者なんだ。だから氣術で世界の為になる事をしたいんだ」
「氣流者?なんなの」
「氣流者ってのは氣術が使える人の事。氣術は氣を操ると言う事」
ライトはズボンのポケットから銅の棒を取り出す。
「この銅の棒で氣を操るんだ。銅は氣流者にとって一番、氣を操りやすいんだ」
「重いでしょ?」
「大丈夫、氣を操れる人なら銅は重くならないんだ。不思議だけど…」
二人が話すうちに汽車は次の駅へと止まり始めた。
『次は…アルガスロの町、次はアルガスロの町です…』
運転手からのアナウンスが入ると、ハークは立ち上がる。
「ハークさんは次で降りるんですか?」
「うん。ライト君は?」
ライトは少し考えると意思を決めたように顔をハークに向ける。
「行くとこないし、ハークさんの町に降りようかな」
少しハークは戸惑いを見せる。アルガスロに何かあるのかとライトは思う。
「駄目よ!あの町は!違う駅で降りたほうが良いわ!」
ハークの口調には、町は危険だと知らせるようだった。
「何か…あったんですか?」
……「あの町は危険過ぎる。あなたが行くとこじゃないわ。あそこに行けば
殺されるわ」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−第1話−−−−−−−
〜オマケ〜
ライトの服装など⇒髪→黒。すこし長め。
服装→ズボン黒。上半身の服装、黒。げっ!黒統一!
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『第2話 ハークの死』
「殺されるって言うのは、どう言う意味なんですか!」
ライトの驚きに何も応答しないハークはそのまま汽車から降りようとする。
ライトはハークが言った『殺される』が頭の中を何回も繰り返された。
「待って下さい!ハークさん!俺も行きます。俺は…助けたいんです!」
ライトの懸命な声も届かないのかハークは汽車から降りた。
『出発しまーす』
運転手の声が汽車の中に響く。
「く〜〜〜気になる!」
ライトは汽車の扉が閉まる直前に汽車から降りた。
「ふーぎりちょんセーフ。あれ?ハークさんが居ない…どこに…」
辺りを見まわすがどこにも居ない。もう町の方に行ったのか。
「一端、町に行ってみるか」
ライトは駆け足で町の方に走って行った。
ライトは町に着くなり駆け足を止めるが、町は暗く街灯の明かりさえ
ついていなかった。
「なんて薄黒い町だ。幽霊が出そうだなー」
顔をしかめながら話すライトに、もう一つの声が鳴り響いた。
『キャーーーーー!』
その声はいかにも恐怖感を感じさせ、ライトの耳へと届いた。
「なんだ!……ハークさんの悲鳴じゃないか!」
悲鳴と町、この関係を探りつつライトは驚き、悲鳴を頼りに走る。
「一体なんなんだ!もー!」
ライトはムシャクシャし、頭を横にブンブン振る。
そして、走りながら手前の路地に差し掛かる。
路地にハークが居ると思ったのだろう。
「ここか!…ハークさーん!ハークさ…ん」
路地に曲がり、だんだんライトの声が小さくなる。ライトの前にはハークと
向かい合う赤い服を着たもう一人の男が立っていた。男は右手にナイフを
持っている。
「見つけた。ハークさん!」
ハークはライトに気ずくと、瞬時に応答する。
「駄目よ!こっちに着たら殺される!逃げて!」
危険を知らせるハークの声だがライトは気にしない。
ライトは人の為になりたいのだから……
「俺は、ハークさんや町の為になりたい。氣流者だから!」
ライトの声は届かないのか?赤い服を着た男はナイフをハークに向けた。
「ハークさん!逃げてーーー!」
ライトはズボンのポケットから銅の棒、氣流銅を取り出す。
棒を男に向ける。その瞬間、棒から黄色い光が発し雷が男に放たれた。
ビビビビビ!しかし、雷は外れ男には当たらなかった。
赤い服を着た男はナイフをハークの胸に刺した。
「ハークさん!…くっそー!」
ライトは興奮し、男の所へと走る。
「落ち着け氣流者。私は上から指示を受けただけだ。俺を恨むな」
そう言うと、男は素早い速さで逃げて行った。
落ち着いたライトの目には逃げた男ではなく、横たわったハークの姿が
うつっていた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−第2話 終了−−−−−
『第3話 訪問の兵』
ロシニア連合国、その名の通り三つの国で出来ている。
北に旧二ギス国、東から南にかけて旧アジスト国、西にロバス国
この三つの国で出来ているのだが昔から仲が悪く絶えない争いが続いている。
軍事国家であった旧ロバス国と議会政治の旧アジスト、ニギス国が合併した為に
軍事国家と議会政治が持ち入れられた。
首都は、ロシニア連合国の中でも最も栄えている旧ロバス国のニュータウンと 定めた。ライトが現在滞在しているのは旧アジスト国のアルガスロの町であった。
殺人があった次の日に政府から軍が数人送られた。
「ライト・デクロスさんですか?私は軍から派遣された者です」
軍人の声が扉の向こうで聞こえた。
ライトは男が逃げた後、政府に連絡し、近くの宿に泊まることにしたのだ。
「あー軍?…そういえば連絡したんだった。はい、俺がライト・デクロスだけど」
「入っても宜しいですかー?」
「あっはい」
ライトは兵に、そう答え自分で扉を開けに行く。
ガチャ。ライトは扉を開け兵を中に入れた。
「昨夜の事ですね。赤い服を着た男ですかー。何度か連絡を受けてますね…」
兵はライトから昨夜の事を聞いている所だった。
確かに赤い服を着た男であったが、ハークはどうなったのだろう?
「あのー、ハークさんはどうなるんですか!」
「殺された子だね。心臓を一突きだから…」
ライトは、その言葉の意味を知ると顔を下に向けた。
なんの意味の無い人が殺されたのだから……
「ここに居ては、話しずらい、事件の事は我々に任せて一端、軍の方に
来てくれないか?」
「はい……」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−第3話−−−−−
『第4話 軍の娘』
軍施設はロシニア国の真ん中に位置する中央(政府)軍施設があり、
そこから指令が各地の軍施設に送られる仕組みになっている。
ライトが行った先ではロシニア国の首都ニュータウンの近くにある軍施設に
行く事になった。アルガスロからの直行便で約二時間の汽車の旅でライトは着く。
「うわー、首都だけあるなーやっぱ都会がいいかなー」
「はっはっは、ここは始めてかな?駅も街もでかいぞ!」
ライトはニュータウンの駅に着くなり感想を言う。
そして兵も、それに合わせ応答を返した。ライトはハークが死んだ事により
すねると思っていた兵もライトの立ち直りに少し驚く。
「ライト君、我慢しなくても良い。事件は必ず解決する」
「そうですかね?…そうだったら良いんだけど…」
そう話す間に軍からの車に乗るライトと兵。
軍は車を用意していたのだろう。
ニュータウンから少し離れた場所。少し離れただけでも首都とは変わらない。
街並みも一緒だった。兵に誘われて軍施設に入りそして入ったら、
そのまま誘われて少し小さな部屋に入る。中には椅子がふたつに机がひとつ。
「まー座ってくれ」
そう言われ座るライトに後から座る兵。そして胸ポケットから兵は小さな
ノートと書くものを取り出した。
「で、いつ頃?」
「軍に連絡した時間帯です」
「犯人の服装は赤い服だね。一人だったかい?」
「はい、一人でした」
「殺されたのは?名前は知ってるか?」
「はい、ハーク・ロイスです…」
……「ハーク・ロイス。ロイス?ロイスだと!ロイス家…!」
事件の事を聞いていた兵がロイスと言う名前を知って驚く。
「ハークさんは大金持ちのお嬢さんなんですか!」
「…ぷっ、ちがーう!ハーク・ロイスと言ったら、軍最高責任者の娘だ!」
『ぷっ、』と言う少し笑いもあるがその表情には険しい顔だった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−第4話−−−−−
『第5話 赤い服の男の謎』
「えっ!……そうですか…軍最高責任者の娘だったなんて…」
「私も驚いたよ君から殺された人の名前を聞いた時は、これは閣下も驚く」
二人の会話の中に事情聴取の事ではなく雑談に変わっていた。
ライトの気持ちはハークを守れなかった悔しさが残るのだろう。
「閣下に知らせなくても…」
ライトの言葉に素早く反応する。
「今、現場の調査をしている兵が閣下の娘だと気ずいているだろう。
もう閣下に連絡は行き届いているはずだ」
「悲しいだろうな。娘だもんな……」
部屋の中には緊迫な空気が漂い事情聴取は呆気(アッケ)無く終わっていた。
その瞬間、部屋の扉が素早く開く。
「どうだ事情聴取は、進んでるか」
部屋に入って来たのは大柄の兵。一般兵とは思わない程ど大柄な体である。
肩には地位の印があり中佐の位であった。
突然入り込まれる中佐の位を持つ兵。それに反応してライトと向かい合わせて
いた兵が立ち右手を挙げ敬礼をした。
「はっ!ジバス中佐」
その意気の良い声に対してジバス中佐は何事も無く尋ねる。
「私は事情聴取は進んでいるかと、聞いているのだ」
「は、はい。閣下の娘であるハーク・ロイスの殺人現場を見た、この彼ライト・
デクロス。彼の証言だと犯人は赤い服を全身にまとっているようです。
また、彼によると犯人の動機などは分からないようです」
兵の答えにジバス中佐は少し頷く、すると椅子に座っているライトを見た。
「彼は一体何をしてたんだ」
ジバス中佐は兵に尋ねたがライトが答えた。
「俺は氣を操る氣流者なんですよ。まー旅をしていると言うか、たまたま会った
ハークさんについて行ったんですけど……殺されたんですよね」
「氣流者だと?」
「はい、俺は雷に変える能力を持ってます」
「……分かった。犯人の動機などは分からないのだな、後は私が指示を出すまで
待機していろ。この氣流者はまた聞く事があるかもしれん。この軍施設で
いるように」
そう言い残すとジバス中佐は部屋を後にした。部屋の中は一般兵とライトだけと
なった。
「ジバス中佐の話しを聞いたな。ちゃんと居るように。君の部屋は奥に小さな
部屋が一つあるからそこを使うといいよ」
「ありがとうございます……」
兵士とライトの会話が終わると兵士も部屋から出て行った。多分この軍施設の
中に調査などを行う部屋がありそこに行ったのだろう。
ライトは紹介された部屋を確認すると、その部屋へと移動しようとし、ライト
は部屋から出ようとした。そして出た瞬間、左にジバス中佐が廊下の壁に
持たれていた。ライトは何だろうと首をかしげた。ジバスは何かを考えている
様子だった。
「(おのれ、あんなけ人には見つかるなよと言って置いたのに、あの馬鹿は。
あの氣流者、様子を見て消さなければ……)」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−第5話−−−−−
『第6話 電話の主』
事情聴取が行われた翌日、ライトは外からの日差しを受け目を開けた。
その後布団から起き上がる訳でもなくライトは天井を向いたまま頭の下に
両手で抱え込み考えていた。閣下の娘ハーク・ロイスの死。
自分が何かの役に立ちたいと言っておきながら守れ無かった事。その事で頭が
一杯なのだろう。
「は―、一体俺は何をしたら良いんだろう……」
そうため口を言うライトに低い声が掛けられた。
「ライト・デクロス。閣下から直通電話だ。来い」
その声を掛けたのは昨日、事情聴取の途中に入り込んできたジバス中佐の声
だった。いかにも怖い声を出す中佐にライトは少し印象的だった。
「…あ、ジバス中佐……閣下からで・すか…」
「待っている。速く来い」
ジバス中佐から声を掛けられライトは即座に布団から身を投げ出し電話の元
へと移動した。中佐に着いて行くと、そこは少し上等そうな扉の前。
多分ここの施設の司令官か何かの部屋だろう。いかにもそうらしいのだ。
「入れ。閣下がまっている」
待っていると言っても電話の向こうだが…ライトは扉を開け中に入る。
そこには大きな机、そして座っているのは……
「君がライト・デクロスだね。ジバスから連絡は受けてるな。電話だ」
「あなたは?」
「それは後にしよう。まず電話が先だ」
ライトはジバス中佐より優しい声に引かれ少し驚く。だが、まず電話だ。
「もしもし、お電話変わりました。ライト・デクロスです」
『君がデクロスか。話しは聞いている。事件の事は気にしなくても良い
しょうがない事だからな。……では本題に入ろうか。
私が君に電話を掛けたのは事件の事だ。それは分かるな。
事件が起こった街に赤い服の男だと証言したな。その事なんだが、
つい最近、同じ服を着た者がニュータウン近辺で同じ事件が起こっている。
と言う事は組織的な犯罪だ。そしてニュータウンを現場にする目的は君に
あると私は思うのだが……』
「え、僕ですか?」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−第6話−−−−−
『第7話 組織と犯罪と自分』
「と、言う事は…その犯人は顔を見られたと思い僕を狙っている訳ですね」
『うむ、一人の犯罪だとしたら目撃者をここまで追い駆けるか?
組織的だからこそ狙っている訳だ。そうしないと組織全体が破滅だ。
そこでだ。すまないがおとりと言う事も有って、この事件の調査に君も
入ってもらいたい』
*時間の関係で途中で切らせてもらいます。
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2004/05/26(Wed)11:40:09 公開 /
織田 幡蔵 (おだばんぞう)
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■作者からのメッセージ
−あとがき−
どーも作者です。1話から急にライトは事件
に巻き込まれるなんて思っても見なかった
でしょうね。
1話から事件が起こると言う事はその事件は
このストーリーには大きい物でしょうね。
これからライトは、事件の意味を知る事になり
そして政府や軍との関係を知る事になるで
しょう。