- 『「友達」の理由』 作者:黎哭 / 未分類 未分類
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原稿用紙約9.65枚
タクヤは中学2年だった。
コウと約束していた物を届けるためにコウの住んでいるアパートに向かっていた。
黄金に輝く夕日がまぶしくタクヤは顔を思わず隠して走っていった。
コウの家まであと少しだ。タクヤの足が自然と急ぐ。
この交差点を抜ければもう付く。タクヤは思わず走ってしまった。
交差点が前にあると分かっておきながら何故か足が急いでしまった。
そして、交差点にアマリの勢いでタクヤは飛び出した。
車が沢山走っているのに足が前に前に進んで行く。
これにも事情があるのだ。5時半までにコウの家に行かなくてはならない。
何故ならコウはキレると暴れ狂い、誰にも止められなくなる。
普段から優しいとは言いづらいがタクヤは信じてコウと付き合っていた。
それにコウはタチが悪い事に簡単な事でキレてしまうとても短気な男だ。
「急がなきゃ・・・あー・・・もぅ後4分しかないよ〜・・・。コォちゃん怒っちゃう・・・。急がなきゃ・・・。」
そしてその時・・・
タクヤの中で時が止まった。
プップー!
恐ろしい身を凍らすようなブレーキの音。
そしてトラックはタクヤ目掛けて突っ込んでいった。
「うわ!?何飛び込んでやがんだ!?」
「キャー!!」
「誰か救急車呼べ!救急車だ!!」
だんだん人々はタクヤの元に集まり騒がしくなった。
コウの家のすぐ近くというだけあってコウも騒ぎが聞こえてヤジウマ本能が働きそこに行ってみた。
そしてコウの身体から全ての物が一瞬に消えて行くような気がした。
『嘘・・・だろ?』
コウは友達であるタクヤの無残な変わり果てた姿を見て意識を失った。
だがコウは涙を流さなかった。
『・・・。いつも俺に逆らってるからバチが当たったんだね。大体いつもウザかったんだよ。俺に頼りやがって1人じゃ生きれネェクセに・・・。死んでよかったね』
コウはショックを受けたのか分からないがいきなり豹変し、とても恐ろしい事を言った。周りにいた人達がコウの方を見てヒソヒソ話している。
「何あの子・・・?あんなんで友達いるのかしら?」
「いないでしょうね〜・・・?大体あの接し方だと人普段から呪ってるのかもよ?おーコワ・・・。」
『あんた達ウザイんだけど黙っててくれる?友達?友達が何?俺は友達なしでここまでやってきたんだよ。お前等みたいな甘チャンとはチゲェんだ。』
「そんなんじゃアナタ・・・」
「よしましょ!関わってはいけないわ。殺されるかも・・・」
『ウッセェ!黙れクソ野労ドモ!』
コウは足元に落ちていたタクヤのカバンを投げつけようとした。
「キャ!」
主婦達は軽い返事をあげて逃げていった。
「アナタみたいな子ロクな人間にならないわよ!」
主婦達は捨て台詞を残し早足でそこからサッて行った。
そしてコウは投げつけようとしていたカバンを開けた。
『お、約束の物しっかり持ってきてるじゃん?ハハ!感心だね〜。やっぱこういう時使えるよな。』
コウは1人ニヤニヤ笑っていた。
コウがタクヤに頼んでいたものは 薬 だった。
コウは小学5年の時から薬に手を出している。
親友のタクヤが何度か止めてもコウは言う事を聞かずただ殴りつけていた。
それなのにできるだけ明るく接して普通の友達としていたかったタクヤに対し
コウは
「約に立つときだけ立たせる道具」
「ウザイだけの存在」
「殴りたいとき殴るサンドバック」
としか見ていなかった。
だからそんなコウには友達がいない。
いや・・・逆に言うとコウは友達なんていらないと友達の存在を自ら拒んでいた。
それにコウは容姿もあまり良くなかった。と、いうのも
薬のやりすぎで顔が人間としての顔を失っていたのだ。
とても鋭い顔をしていて近づくものはあまりいなかった。
だから問題児として扱われていたのだった。
周りは
「どうしてタッちゃんはアイツに近づけるの?」
「アイツの言いなりにされてるのね・・・。脅されて。可愛そうに・・・。」
とタクヤひいきをした。
コウも最初から友達が信じられなかったワケではない。
ただ昔ある事があり・・・ソレから信用できなくなっている。
そして人に冷たい態度を取っていた。
そんな長い年月がたっていていきなりタクヤが現れた。
タクヤは自分に笑顔で話しかけてくれる。
心の中で希望歯車が回りだしていた。
だが、折角改心しようと思ったのに周りからのクチがイヤミに聞こえる。
だから冷たい態度を取っていたのであった。
そんな長い年月がたっていていきなりタクヤが現れた。
タクヤは自分に笑顔で話しかけてくれる。
心の中で希望歯車が回りだしていた。
だが、折角改心しようと思ったのに周りからのクチがイヤミに聞こえる。
だから冷たい態度を取っていたのであった。
コウは早速家に入った。
そして母が心配そうに台所から出てきた。
「コウちゃん・・・。どうしたの?お友達来るんじゃなかったの・・・?」
そしてコウは母のほうを向かず、すんなりと
『用件が済んだ役立たずは切り捨ててきた。』
と、言って奇妙に笑いながら自分の部屋に向かって行った。
母もコウの変わりぶりには気づいていた。
小学5年の時からコウは変わってきていた。
だが当時母が子供に上手く接してあげることができずコウを放りっぱなしにしていた。
母は自分の事を責め続けただ泣く事しかできなかった。
コウはそれに対して
『ウザイ。』
としか言わずにいて
親子関係に大きなひびが入っていた。
そんなコウがただ信頼できるのは
金 と 薬
だけになっていた。
コウは部屋に閉じこもり薬を打っていた。
そしてそのまま寝るの繰り返しだった。
ただ逃げてるだけなのだがソレがコウはカッコイイと思っていた。
「友達なんて信用しず1人で生きる。金だけを持ち甘い奴等を見下して痛めつける」
ソレができ、生き残る奴がカッコイイ人間であり、完璧な人間と思っていた。
だからそれなりの道具を揃えていた。
タクヤもその1人だった。
コウの背中には見えない
「黒い羽」
がはえていたのだ。
そして自分だけの世界を飛び回り
好きなようにする。
コウはもう孤立し自分だけの世界を築こうとしていたのだ。
その危険さを知らずに・・・。
その日コウは珍しく早く起きた。学校にもしばらく行ってなかったし
新しい道具を作るには丁度良いと思い珍しく学校に登校していた。
学校に一歩足を踏み入れただけで
「おい!?あれコウだろ・・・?」
「何で学校に来てるんだ・・・?」
「キャー!恐い・・・!」
と生徒達の声が聞こえる。
コウはウザくなりそう言ってる奴等の方を見て唾を
「ペッ」
とふきかけていった。
皆ビックリしてコウから離れていく。
内心こんなんでコウが言う
「新しい道具」
が、できるとは自分でも思ってなかった。
だがタクヤが道具になった時の経験があり可能性を感じていた。
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2004/04/29(Thu)18:39:11 公開 /
黎哭
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■作者からのメッセージ
まだ続きもんッスけどw
まぁ
コウが友達の大切さを知っていく小説っスNew