- 『遠ざかる幸せ 1〜6話』 作者:DQM出現 / 未分類 未分類
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全角12709文字
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原稿用紙約39.5枚
あなたは幸せだと感じた時はありますか?
幸せを自分の手でつかみとったことはありますか?
もし幸せが奪われたらあなたはどうしますか?
これは後につかみとった幸せを奪われてしまう少年のはなしです
―――1話 ようやく見つけた――――――――――――――――――――――
暑い夏の昼だった。
「えぇ!? なんでそんなところに」
今驚いている少年は麻倉 勇助。
今年で18歳で地元東京の高校で新学期を迎える予定だった・・・・・・
「高校3年の夏休みだぞ? なんで今ごろになって」
「しょうがないだろ、お母さんはいないし、お父さんだって今仕事で忙しいんだ」
今しゃべっていたのが勇助の父である。なにやら大切な話をしているらしい。父はなにくわぬ顔をしているが勇助の方はかなり動揺している。いったいなにを話しているのだろうか。
「だからってなんで田舎のばあちゃんの家にいくんだよっ! 転校なんかしねぇかんな!」
「いやでもさせてやる! 高校生が一人で生活できると思うか?」
なんと勇助の転校の話をしているらしい。勇助は東京で生まれ、18年間東京で育った。それをいきなり転校と言われ、しかもかなりの田舎。東京とはまったくちがう環境に行くことになるのだ。勇助が嫌がるのも無理はない。
「あぁ、できるさ! バイトでもやってお金貯めればいい話だろ!」
「お前今まで高校で何回問題起こした? そのせいで学校からバイトの許可書だってもらえてないだろ。どうやってバイトをするんだ? 問題はお金だけじゃない。さっきも言ったように高校で問題はかなり起こしてくるし、他校のやつらにもねらわれてるそうじゃないか」
話を聞くと勇助はかなりの問題児のようだ。これなら転校させたくなる理由もわからない気がしないこともないが……
「……ったく、わかったよ! 田舎に行けばいいんだろ! そんなに必要ないんならどこへだって行ってやるよ!」
ようやく納得した。だがこんなやりかたでいいのだろうか?
次の日……
「おやじ! 俺の携帯どこやった!」
勇助は朝から機嫌が悪いようだ。
「携帯? あぁ、それなら処分したよ。携帯電話があるとろくなことにならないからなぁ。お前が問題を起こしたのも携帯を渡してからだ」
「はぁ? どうすんだよ! だいたいなんですてるんだよ! ばかじゃねぇのか?」
ただでさえ機嫌が悪い勇助をさらに怒らせてしまった。火に油を注ぐとはまさにこのことだ。
「もういい! コンビニでプリペイドのやつを買う! 言っとくけどおやじにだけは番号教えねぇからな」
「ああ、勝手にしろ」
「んじゃあな! てめぇには二度と会いたくねぇ。絶対俺の前に現われんなよな!」
せめて最後の別れぐらいは仲良くすればいいのに。しかしまぁ勇助が怒るのもわかるきがする。いきなり転校と言われ、問題児だのなんだのと言いたいことをどんどん言われてしまい、あげくの果ては携帯まで捨てられてしまった。ここまでされれば普通怒るだろう。
「ったくおやじのやつ……コンビニよらねぇとな、携帯かっとこ」
勇助はどうしてそこまでして携帯がほしいのか、最近の若者はわからない。
勇助は元自分の家の近くのコンビニに寄っていった。
「すいません、プリペイドの携帯ありますか?」
「少々お待ちください…申し訳ございません、どれも品切れ中なんですど………」
「あっ、はい……わかりました(くそっ!)」
残念なことに品切れ中。そんなところに……
「あっ! そうだ、はやくバスのらねぇと」
しばらく歩き、バス停にとまった。10分ほどまつとバスが東の方からきた。勇助はバスに乗り考え事をしていた。
――いきなり転校と聞いたら皆はどう思うだろう。喜ぶのか、悲しむのか。まぁ悲しむは100%ねぇな。ふぅーんって感じで皆納得しちゃうかもしれねぇ。それはそれでかなしいな……そういやばあちゃんの家って福島県の郡山だよな。10年前に行ったっきりでなんも覚えていないぞ。どうやっていくんだ? そういや家の場所おやじに聞くのわすれてた。そうだおやじに電話しよ……って言っても携帯がない。まぁいいか。郡山に着けばなんとかなるだろ。――――――――――――――
勇助が考え事をしていると隣町の駅にとまった。
「えぇーと、しゃあねぇ、電車で行くか。新幹線なんてのったら金の無駄だ」
勇助は切符を買い電車にのった。3時間がしてようやく栃木県についた。西那須野町とかいう都会と田舎が混ざったようなところだ。
「もう電車はいやだ! っていうか切符ここまでしか買ってない。っつうかこれ以上いけねぇよ。ヒッチハイクでもしてみっかな……」
駅から出ていくと早速車をさがした。言うのが遅れたが勇助は一応バイクの免許を持っている。最初からバイクをつかえばいいのに。
おっと、早速ヒッチハイクをしている。
「ちょっとのせてよぉ!」
「いいぜ、どこでもつれってってやる」
なんと成功!
「んじゃ郡山市につれてって。福島県の!」
「OK!」
2時間後……
「ほら着いた、ここまででいいな?」
「うん、ありがとう」
「おいおい、こまった時はお互い様だろ! それに俺青森いく最中だったからついでだ」
「まじでかよ…すげぇ偶然、まぁありがとさん」
「おう!!」
ようやくの思いで郡山についた。
道が全然わからないので、民家の人にばあちゃんの家をたずねることにしたらしい。
「すいません、あのぉ、麻倉 トメさんの家をお尋ねしたいんですけど…」
「私がトメだが…お前勇助かぁ?」
なんとすごい偶然。たまたま寄った民家が自分のばあちゃんの家だなんて…
偶然としかいいようがない。それとも知ってて入ったのか、本当にたずねるきでいたのかはわからない。
「んじゃばあちゃんなの?」
「おぉーー大きくなって……さぁ、はいりなさい」
ばあちゃんはかなりうれしそうだが、じいちゃんがみあたらない。死んだのか遭難したのか、行方不明なのかわからない。
「なぁ、ばあちゃん。じいちゃんは?」
早速聞いてみた。まったく、勇助は思ったことをすぐ行動に移すくせがある。だから問題をおこしたのかもしれない。
「じいちゃんなら畑しごとに行ったよ」
死んでもないし、行方不明でもない。畑しごとにいっただけだ。
「なんだ、しかしひろいなぁこの家」
「そうだろぉ、これ全部じいちゃんと大工さんでつくったんだよぉ」
大工だけならまだしもじいちゃんまで……すごいじいちゃんだ。
「じいちゃんがなぁ……ねぇ」
「なんだ?」
「俺疲れたから寝る」
朝から休まずきたのだ。つかれるのも無理ない。
「勇助の部屋は二階の奥にある部屋だよ」
「ありがと」
勇助は荷物をもって二階にいった。
「あの部屋だな」
部屋に入るとすごくひろい。そこにはベッドがあった。
荷物を置くとすぐさまベッドにねっころがった。
「きもちぃぃ! しあわせだぁ……」
やっとちいさな幸せを手に入れられた。ひさびさに幸せと感じたようだ。
これからどうなるのか。
―――2話 学校かぁ……――――――――――――――――――――――――
「おい、おいこら……起きろって」
「うるせぇなぁ! 夏休みぐらい寝かせろよおやじ!!」
実は昨日、疲れ気味だったのか、昼ごろに寝てしまい今だにこのままだということだ。しかしいくら疲れていると言ったって、記憶を失うことはないだろう。田舎に来ている事を勇助は忘れているのである。
「何を寝ぼけている。しかしまぁ、しばらくみねぇ内にでかくなったぁ」
今しゃべったのが勇助のじいちゃん。
たいがいのおじいちゃんやおばあちゃんは2、3ヶ月みないだけでしばらくみない内にとかいうけどこのばあい本当にしばらくみていない。結構珍しいことなのかもしれない。 byDQM出現
「……えぇ! ………あぁ、そういやばあちゃん家に引越したんだよな。んでなんだって? っていうかじいちゃん久しぶり(記憶にないじいちゃん)」
自分が郡山にきたことをやっと思い出したらしい。しかしいくら疲れていたとはいえ引っ越したことは普通覚えているはずだ。おそらく幼稚園生でも覚えているだろうに。勇助は幼稚園生以下なのか、それとも寝ると忘れっぽくなるのか。
「おぉ、覚えとったか。わしも覚えとるぞぉ。たしかお前が小学2年生の時だったなぁ。最後にきたのは………おっと、そうじゃそうだ、学校の事なんだがなぁ……」
「学校? あぁ、転校してきたんだからな、まぁ学校は行くことになるだろうな。なんていう学校なんだ?」
勇助はこうして普通に話しているがきっと不安に違いない。なんせあれほどいやがっていたんだから。しかしこれからできる友達のことでわくわくしているというのもあるかもしれない。
「学校の名前なんてどうでもいいんだ。とにかく今日挨拶にいくからな」
いきなり明日挨拶と言われて動揺していると思えば……
「あっそ」
そっけなく対応してしまった。
「今日の3時にはこの家にいるようにしとくんだぞ」
「わかったよ! それより朝飯くれよ、腹へって死にそうだぞ」
それもそのはず、昨日の朝は機嫌を損ねて何も食わず出て行き、昼は食うひまがなくて食えないで、昼すぎについてからすぐ寝たのだ。つまり昨日一日は何も食べていなかったのだ。
「ちょっとまってろ、ばあさんに頼んで作ってもらうから。おいっ! ばあさんや! 勇助がおなかをすかしているぞい!」
「そんなでかい声ださなくてもきこえてますよっ! ちょっとまってな、今作るから」
元気のいい夫婦だ、昔は俺の家もこうだったのになぁ……と思うのであった。言い忘れていたが勇助の家には母さんという人物が存在しない。勇助が小学5年生のときに亡くなったのである。それからというもの父は仕事ばかりで忙しく、ほとんどの時間を1人で過ごしたのである。勇助が問題を起こしていたのもこのせいかもしれない。そのせいで勇助は世間でいう不良になったのだ。
こうしている間に30分が過ぎた。
「ばぁちゃんまだ?」
「もうできたよ」
ばあちゃんがそういうと食卓にはごく普通の朝ごはんが並べられていた。今日のご飯は、ご飯、味噌汁、目玉焼き、サラダ、のり、牛乳だった。勇助は腹をすかした狼のようにご飯をほおばった!
「いただいまぁす!!」
「はいよ」
普通の2倍はあったと思われる食事を5分でたいらげた。
「うまかった! ごちそうさま!!」
「ご飯食ったならそこら辺散歩してくるといいよ。片付けておくから」
「わかった、ありがと!!」
思えば勇助はここに来てからすこし素直になったのかもしれない。自然とありがとうの言葉がでてきている。勇助はここから少しづつかわっていけるかもしれない。
勇助が可愛そうだが転校させて損はしなかったようだ。
「いってくるわぁ!!」
「いってらっしゃい、おそくならないようにするんだよぉ」
もうひとつ言い忘れていたが勇助の爺ちゃんとばあちゃんは非常に若い。じいちゃ
んは51歳、ばあちゃんは48歳。親だといってもだれもが納得するだろう。
ちなみに父は35歳。若い。
ガラガラガラ
勇助はドアをあけるとそばにあった自転車を見てそれにのり行き先もなくどこかに行ってしまった。
「どこいくかなぁ」
家をでて10秒もしないうちにじいちゃんが後ろからおいかけてきた。
「その自転車からおりろぉ!あぶないぞぉ!!」
実はこの自転車、じいちゃんの趣味で改造されていてその改造の途中でのられたのだ。するといきなり自転車の車輪がはずれ、勇助は転んでしまった。じいちゃんのいままでの苦労も水の泡だ。
「おいおい、こわすなよぉ」
「そんなの置いとく方が悪いんだ……イテテテテ……」
またもや不機嫌になってしまった。やはりどこへ行っても進歩はしないのか。
「まぁ、悪かった。ところで行くところがないんなら近くのゲームセンターでも行ってくればどうだ? そこは今一番人気のすごいところだぞ??」
勇助の父だったら絶対勧めないゲーセンに行ってみては? といわれたのだ。不機嫌な気持ちも吹き飛んでしまった。
「マジで? いいの?? わかった。いってくるわ!」
「突き当たりの信号を右にすぐ曲がればわかるぞ」
「はいよぉ」
勇助はじいちゃんが言った通りにすすんだ。あった、ゲーセンがあった。勇助のテンションがいっきにあがった。最近の若者こう言うものなのか。意外と簡単に機嫌か直った。勇助はどきどきしながらゲーセンに入った。人気ゲームの太鼓の鉄人やポーさんのぬいぐるみのUFOキャッチャーもある。
「うわぁ、すっげぇ! 東京でもこんなすげぇのねぇぞ! ポーさんのぬいぐるみなんか東京じゃどこも品切れで………まて、ここにいっぱいあるってことは人気がないのか?? もしかして俺がこれをやったらばかみたいに思えるのか? 俺はすごくはずかしいのか?」
勇助がぶつぶつしゃべっていると後ろからだれかがはなしてくる。
「君、さっきから何しゃっべってるの??」
知らないやつに声をかけられちょっと動揺。しかし普通にしゃべり返した。
「だれだよお前」
「私美香。今ひましてるんだ! ちょっとつきあってよ!」
そういわれると手を引かれプリクラのところまでつれこまれた。
「ちょっとまて! なんで俺が見ず知らずのやつと……まぁいいや」
よく見ると意外と可愛い。そんな女子に声をかけられたのだから許してしまうのも無理はないとおもう。プリクラをとってからいろいろとゲームをしてゲーセンを出てから、喫茶店に行った。
「ねぇ、君名前なんていうの?? っていうかいきなり誘ったりしてごめんね」
いきなり誘われたと思ったら誤られた。
「麻倉 勇助、お前は美香だったよな。べつにあやまんなくていいよ。俺そういうの苦手だし」
ちょっと大人っぽくなった勇助。もしかして一目ぼれか?
「わかった。そういえば何歳?」
「俺18歳」
「うそぉ!! 私と一緒じゃん!! もしかして転校せい??」
「……あぁ……」
聞くなよっ! とばかりに顔をそらしてしまった。可愛い子でも気にしてることを言われればそうなると思う。
「そうなんだ。ごめんねぇ本当に。君このあたりにすんでんの??」
「まぁな、じいちゃん家にいるんだよ」
「このあたりなら学校同じじゃん!!」
「そうなんだ、やばいっ! 俺学校に挨拶に行かないとだめだから、じゃあな」
「あっそうなんだ、んじゃぁね」
なんでこいつは俺にかかわろうとするのか不思議に思っている勇助。しかし学校に行く前に友達(?)ができてよかったという安心感もある。なぜかそいつがわすれられない勇助だった。
「ただいまぁ!!」
「あぁ、今校長先生のところにいくんだ。この近くだから歩いてくぞ」
本当に近くだった。歩いて5分かかるか、かからないかぐらいの距離だ。どんな学校なのかわくわくしていた。どんな校長だろう? どんな学校だろう? そんなことを考えているともう学校についてしまった。学校は思ったよりでかい。前よりはちっちゃいが結構満足いくでかさだ。校門に入り、校長室へとむかった。校長室は職員室のとなりにありいろんな先生に会った。
「失礼します」
「どうぞ」
ついに来てしまった。転校してしまうのだ。ここへ来る前はなんともなかったが校長室に入ったとたん不安になってきた。というのも第一に校長の顔が変だからだ。必死に笑いをこらえ、いすに座った。
「それで挨拶にきたのですが、一応この子が転校してくる前の学校では成績はよくありませんでした。ですが、がんばると言っているのでよろしくおねがいします。
この子もやればできる子なんで……」
「はい。わかりました、名簿に入れておきます。連絡がありましたらこちらから電話をします。それじゃあ今日は……」
「はい、ありがとうございます」
結局勇助は何もしなかった。来て何の意味があったのだ? というのと校長が面白いという思いがまざりあっていた。
「学校かぁ…」
今勇助は期待と不安で心がいっぱいだ。学校生活はどうなるのやら……
―――3話 携帯が使える!―――――――――――――――――――――――
「でも学校っつってもなぁ………また問題起こすだろうな」
勇助は夏休みが終わったら郡山の高校に転校する。というよりもう転校していることになっている。そんな勇助は新しい学校ということもあり、期待というものもあるのだが、また問題を起こしてしまうのではないのか? また転校してしまうのではないのか? そんな思いが次々と思い浮かんでくる。これでも一応勇助は学校生活の事を気にしているのだ。
「もう問題起こさないようにするためにここにきたんだろ! がんばるんだ!!」
そう、そのためにここ、郡山まで転校してきたのだ。これでまた問題を起こしたらもともこもない。
「わかってる! でもよぉ………っつうか携帯買いたいんだけど………
親権書書いてくんない? いいだろ?」
やはり携帯のことが忘れられないらしい。それもそのはず。勇助は小学5年生のころから携帯電話を持たせてもらっていたのいだ。いわゆる携帯依存症というやつだろう。友達からのメールが来ていたらどうしよう、電話が来ていたらどうしよう。
そんなことが思い浮かんでくる。まったく学校の事を心配するか携帯を心配するかどっちかにしてほしい。今の自分の立場が勇助にはわかっているのか?
「親権書?? まぁいいけど、金は自分で払えよ!」
前の携帯は勇助本人が払っていたのではなく、父が払っていたのである。なんと一ヶ月最低でも20000円は使うすごいやつ。そんな勇助が自分でお金を払う事ができるのであろうか………
「お願い………そこをなんとか………」
もともと自分で払う気は無かったようだ。なんというやつだ…………
「まぁ、いいことはいいけど…………一ヶ月3000円までだ………」
やはりじいちゃんも心配している………今の若者はすぐ金を使いたがる・・・・やはりそんなことを思ったのだろう。
「そんなぁ………おねがい! せめて10000!」
「いやっ! だめだ!」
じいちゃんは勇助のことを思っているからこう言っているのに、勇助は聞こうとしない。
「っち! わかったよ! まぁいいから親権書書いて」
「わかったよ! (勝手に使っちゃえばわかんねぇだろ)」
いつまで不良みたいなことをやっているのか………
「ほら、これでいいだろ………」
「どうも!! 携帯売ってる店ってどこにある??」
「ゲームセンターの横道をずっとまっすぐ行けば携帯専門店があるぞ」
なんだか会話がロールプレイングゲームのようだが………しかし都合がいい家だ。ゲーセンも近い学校も近い。それだけではなく携帯の店までもが近い。
「わかった。んじゃ今日行って買ってくるか………」
「行くなら早く行って来い」
しゃべり方は普通にしているが勇助は今かなりテンションが高くなっている。携帯が使えるというのはそんなにまでいいことなのか…………勇助にとってはいいことなのだろう…………勇助は急いで家を出た。しかしなんだかいやな事がありそうなきがする………勇助はそんなことを思っていた。勇助が走り続けてゲーセンの横道に来た所で悪い予感が当たった。
「こんにちは!! さっき別れたばかりなのにまたあっちゃったね! もう挨拶は終わったの??」
なんと昼間ゲーセンで知り合った女子がいた。名前は美香。勇助はこの女が苦手だ。はっきり言ってなれなれしい。会ってすぐさまプリクラをとってやりたくもないゲームもやらされて、喫茶店に言って聞かれたくないことを聞かれた。しかも美香が可愛いということが勇助が美香を苦手だと思っているなによりの原因だ。
「お前には関係ないだろ! これから用があるんだ」
本当は仲良くなりたい。そう思っているのだが女子とあんまり接したことが無い勇助は女子を避けてしまう。これは結構こまっているのかもしれない。
「私も付き合うよ!」
「なぁ、どうして俺にかかわろうとするんだ? しかもあってまだ1日もたってないんだぞ?」
「いやぁ、たまたまひましてて勇助君がいたから誘ったんだ。そしたら結構おもしろくてさぁ」
「それだけかよ。まぁ俺も楽しかったけど俺はお前のことが苦手だ。今日は1人にしてくれよ」
本当は携帯を買ってゆっくりしていたいだけなのである。しかし苦手だというのは本当だ。
「なんで苦手なの??」
「そ………それは………」
まさか美香がかわいいからだとはいえないであろう。
「まぁいいよ。んじゃあしたねぇ………これ私の携帯の番号」
美香は自分から携帯の番号をわたした。美香は勇助がお気に入りだ。もしそうでもなければ会ったばかりのやつに携帯の番号を教えるわけがない。
「わかった。また明日な」
「うん、じゃぁねぇ」
「………ちょっとまて、明日も会う約束をしちったじゃねぇか。まぁいいか」
そう言うとかなり早く走り出した。はしって1分ほど経つと携帯の店が見えてきた。勇助はここで0円の携帯を買った。在庫がいっぱいあったのですぐ手に入った。
「やっとつかえる!! よし! 早速とものり(友達)におくろ!!」
携帯が使えてご機嫌の勇助。はやくも3000円をつかいきっちゃいそうな感じだが大丈夫なのか?
―――4話 闇―――――――――――――――――――――――――――――
「しまった!! アドがわからねぇ!!」
友達にメールを送ろうとしたがアドレスがわからない。勇助にとっては大切な友達なのだろうが問題を起こさないようにするためには前の友達とはかかわらない方がいいのかもしれない。ある意味これはよかったのかも?
「もういいや、どうせ送ったって冷たい返事しか返ってこないんだからな。今日はもう帰るか」
ちょっと被害妄想をしているようだが問題をおこさないようにするにはこれが良い。勇助は来た時よりもおそく、歩いて帰ることにした。帰る途中、美香に会った。なるべく気づかれないようにと、避けて歩いたのだが美香は最初からわかっていたらしい。
「何してんの?? 今日はなんかよく会う日だねぇ」
「よく会う日って今日会ったばかりだろうが」
そう、勇助と美香は今日会ったばかりなのである。そんな美香がなぜこうにもしつこく寄ってくるのかはわからない。
「まぁそんなことはどうでもいいじゃない。あっ!! それ携帯!! なんか新しいね、買ったの??」
美香がうらやましそうに言う。
「そうだけど、何か俺に用??」
「別にないけど、携帯の番号教えてよ。私も教えたんだから」
「わかったよ(断るとしつこいからな)×××―○△□×―△☆○○だよ」
しかたがなく勇助は番号を教えてしまった。
「ふぅーん。ありがとう! じゃあね!」
「あぁ、じゃあな・・・・俺も帰るか」
勇助が歩いて5分。麻倉家についた。
「じいちゃんただいま」
「おぉ、携帯電話は買ったのか??」
「買った。っつうか飯ちょーだい」
「まだ6時だぞ? もういいのか??」
「いいよ!」
「まぁいいか」
「明日学校だから準備しとけよっ」
「ごめん! やっといて!」
そう言い通し、ご飯を食べてから自分の部屋に行って早速布団を敷き眠ってしまった。するといきなり………
「ふふ、分身よ、目覚めろ」
あやしい声がどこかからする。誰なのだろう?
「なんだ? 誰だよ?」
「お前の心の闇だ。お前が生み出した。幸せなんてあるものか。そんな物、なくなってしまえばいいんだ…そう思ったときがあっただろう? 俺はお前の望みどおり幸せをなくす。お前が最高の幸せを掴み取ったとき、俺はそれを奪う。また会おう…くどいようだが俺はお前から生まれた。それだけは覚えておけ。お前しだいでどうにでもなるはずだ。俺だって本当はこんなことをしたくない」
そういい残しどこかへいってしまった。
「はぁ? 心の闇? なんだそりゃ! っつうか『また会おう』って、もうあいたくねぇよ………」
しらない声、心の闇?何をふざけた事を言っているのか。
一体勇助はどうなるのだろう?
―――5話 学校生活―――――――――――――――――――――――――――
チリリリリリリリリン!!
広い家のせまい部屋で目覚まし時計の音が鳴りひびく。6時だ。
「ん……もう6時か…もうちょい寝てようかな…だめだ、こんなことしてたらじいちゃんにもなめられちゃう。もう起きるか…」
いつもならもうちょい寝ていたのだろうが、なぜか起きている。おやじさんになめられていたのが相当気にくわないらしい。
「そういや…昨日のはなんだったんだ? まぁ夢だろうな…でも夢にしちゃはっきりした記憶があるんだけどなぁ……まぁいいか、今日から学校なんだからそんなこと気にしてちゃあだめだ」
以外と大人になっていた勇助であった。しかしあれは現実だったのだ。いくらなんでも心の闇…だなんて信じるはけないだろ。勇助はゆっくり着替えをし、階段を下りていった。食卓を見るともう朝ごはんが並べられている。今日の朝ごはんはフレンチトーストと目玉焼きとベーコンとサラダとコーヒーだ。いかにも朝ごはんという感じの朝ごはんだ。まぁ朝ごはんなんだから朝ごはんらしくていいんだが………
「なんだ、勇助にしちゃあ珍しいじゃない。やっぱり気になるのかい? 学校が」
「まぁ、気にならないわけじゃないけど……」
本当は気になっているのだが恥ずかしくて言えない。子供だと思われるかもしれないからだ。しかし新しく通うことになった学校のことが気になってなにが悪いのか。まったく勇助は謎だ。
「そんなこと言ったって、本当は気になるんでしょ?」
「だからちょっとだけな」
あくまでもちょっとだけで通す気らしい。まぁそんなことはどうでもいいのだが…
「わかったよ。それより早く顔洗ってきちゃいなさい。ご飯できてるから」
「わかった」
わかったと言っているのだが洗面所がわからない。聞くのが面倒臭いらしいから自分で探している。しかし普通聞いた方が楽だろ。この広い家で洗面所をさがすのはかなり難しい。
「まったくこの家は全然わからねぇ。広すぎじゃねぇかよ。……おっ! あったあった。風呂の前にあるんだな。風呂の場所もわかったしよかったわ」
まぁ広い家をさがしまわっていたからだいたいの場所もわかった。一石二鳥である。しかしさがすのに15分もかかった。どこをどうやったら15分もかかるのか。まぁあんだけ家が広けりゃ無理ないか。
勇助は顔を洗うと2分ぐらいで食卓にもどった。さすがにもう覚えたらしい。
「遅かったじゃない。もしかして道(家の中なのに道?)に迷った??」
「でかすぎなんだよ! この家は。もう少し考えて作れよ。使ってない部屋とかいっぱいあるんじゃねぇのか??」
勇助の予想は見事的中。この家には使っていない部屋がかなりある。まったく金の無駄だ。
「あるわよ。でもいいじゃない。お金100万ですんだんだから」
なんと100万だけでこんなに広い家を建てたらしい。
「どうやって?? もしかして欠陥住宅??」
ちょっと疑っている。しかし欠陥住宅でもこれほどでかい家を作ることは無理だ。
「そんなわけないわよ。おじいさんもいっしょに作ったって言ったでしょ」
「いっしょに作っただけで100万?? それいいな」
なんだか楽してでかい家が手に入ったと思い込んでいるらしい。
「でもおじいさん半分以上やったのよ? 大工さんがやったのなんか壁紙はるのと掃除ぐらいしかやってないんだから。100万でも高いくらいよ」
要するに建てたのはじいちゃんだけということだ。
「なるほど…そういやそのじいちゃんは??」
「あぁ、朝畑仕事にいったよ。はやくご飯食べなさい」
「はいよ…」
勇助はいつもどおり早食いをしていた。
「あんたいつもそうやって早食いしてるわけ??」
東京でどんな食生活をしていたのかがわからない。しかもあんなに食べるのに太らないのが特に不思議だ。
「他の奴らが遅いだけだよ、俺は普通だ」
自分ではこの速さが普通だと思い込んでいる。
「あらそうなの…そうだ、お弁当とか作ってあげられないからこれで一ヶ月がんばって」
「5000円…無理じゃねぇか? まぁいいや、んじゃ俺歯磨いたら学校行くから。あっ、あとさぁ、家の電話番号教えてよ」
一応家の電話番号を聞いておく。なんかあったときすぐ電話できるようにするためだ。やはり問題を起こしてしまうとか思っているのだろうか。
「××ー○△□□」
「わかった、んじゃ行ってくる」
「行ってらっしゃい(歯磨くんじゃなかったのかしら?)」
ガラガラガラ
玄関から思いっきり走っていった。いつも遅刻をしているもんだからくせになったらしい。
「そうだ、まだ7時じゃねぇか。ゲーセンでも行ってくるか」
そう言ってゲーセンに言ってしまった。
ゲームをやって1時間後、学校が始まる時間を過ぎていると言うのにまだつづけている。
「くそぉ! もうちょいでハイスコアだったのによぉ!…ってやば! もう8時じゃん! 初登校で遅刻かよぉ!!」
結局は遅刻をしてしまった。やはり心配だ。おそらく東京の父親もこうなることぐらい予想していただろう。こういう子供なのだから。はたしてここの学校生活になじんでいけるのだろうか。
―――6話 なんですとぉ!!――――――――――――――――――――――
「くそぉ! もうちょいで8時じゃんかよ! …っていうかもう8時10分だ!! 非常にやばいぞ!! まじでやばい!!」
はぁ… なんでいつもこうなのか。7時に家を出て時間があるからゲーセン行くようなやつがいると思いますか?>皆さん
しかもそのせいで5000円もらったうちの2000円は使ってしまったのである。残り三千円で一ヶ月過ごすのだ。5000円で無理と言ったのだから3000円じゃ絶対に無理だろう。いや、ゲーセンに行くことを予測して無理といったのか…まぁそんなことはどうでもいい。
「はぁ、はぁ…あれ?チャイムが鳴らない……そうか、とっくにチャイムは鳴ったんだな。どうすっぺ…」
困っている。まぁそれもそうだろ。前の学校ではチャイムと同時に学校に来たが、今はチャイムがなって10分後だ。おっ! 誰かきたぞ…
「おっ! 君はたしか、転校生の麻倉君じゃないかね?」
「はい、そうですが…すいません。初登校で遅刻してしまって…」
おっ! あの勇助が謝っている。どうしたことだ、明日は雨か?
「君は今日8時半に来る予定だったんだよ? なんで遅刻なのかね?」
「(なんですとぉ! たしか、8時登校だったような…いや!どこの話を読み返してもそんなこと書いてねぇ!!)あっ! そういえば…ははは…」
「それより、早く入りなさい。ホームルームはじまるぞ。君のクラスはB組だ」
「はいっ! ありがとうございます」
「(かなりの問題児と聞いたが、元気でいい子じゃないか)」
おっと、先生。勇助をなめちゃいけねぇぜ! …と言いたいが本当に勇助はいい子になりかけている。ここは勇助を応援すべきだ。
「俺のクラスはB組だよな…ここか、って違う! 普通職員室にまず行くだろ!」
自分で自分をつっこんでいるところを見るとただのバカにしか見えない。というよりも、もうバカだ。勇助はバカだ。本当にバカだ。もうバカとしか言いようがない。
「職員室はここか」
バカバカ言ってるうちに職員室についたらしい。
「…うわっ!」
勇助の前に誰かが立っていた。
「勇助君…」
「み…美香?」
なんと勇助が苦手であるはずの美香がいたのである。
続く…
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2004/07/30(Fri)09:17:28 公開 /
DQM出現
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■作者からのメッセージ
ひさしぶりに【遠ざかる幸せ】をだしてみました。これが前の登竜門と同じぐらいの人気があれば(たいしてなかったけど…)「光」と「遠ざかる〜」の同時連載をしようかと思います。その場合はどっちかの更新だけ遅れると思います。皆さんの指摘、感想待っています。