- 『翼に消毒液を 1→2』 作者:ブランケン / 未分類 未分類
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原稿用紙約10.4枚
そこには大きなビルがある
少年はそのビルを眺めながら
タバコをふかしている
一瞬でこのビルの軍団が崩れ落ちたら
どれだけ楽しいことかと
頭の中で映像化されていた
見渡せば人々が慌しく動き回っている
少年はこんなに動いて疲れるのではないかと思った
彼らは休むことを知らないのかと思った
しばらくすると少年は人ごみから離れ
古びた公園に足を運んだ
誰もいない公園で少年は考えていた
あの人にどうすればこの気持ちが伝わるのかと
この感情をどうすれば彼女の心を動かせるのだろうかと
考えれば考えるほど少年は吐き気を覚えた
そして、それでも考えを止めなかった少年は
ついに嘔吐してしまった
甘酸っぱく、食べ物の不快な臭いが少年の鼻に入り込んでいく
少年はその臭いから逃れる為に手で鼻をつまんだ
そして、少年の体が疲れに包まれ
その場で寝てしまった
少年は3ヵ月家に帰っていなかった
家出ではなく、追い出されてしまったのだ
理由は中学校のことだった
少年はクラス中からイジメの対象にされていた
無視なら少年は耐えられた
むしろ、それのほうが少年にとって嬉しくもあった
少年は人との接触を異常なほど拒んだ
人に触れられるとその人の腕をカッターナイフで傷つけたこともあった
学校側は彼らは精神病ではないかと思い
親と少年を呼び出し面談を行なった
しかし、親は病院への診察を断った
理由は金のことである
そんな下らないことに金を使いたくないと言い出したのだ
学校側は転校を要求した
この近くの中学は全部で5校ある
その中の一つの中学を奨めた
そして、少年はその学校へ転校した
しかし、問題は解決などしなかった
逆に少年の心はボロボロになり
行動も異常を増した
一人のクラスの男子がからかって少年に罵声を吐いた
お前は生意気だな
だから、向こうでもイジメられてこの学校来たんだろ?
この学校でもみんなお前のことを歓迎なんてしてないさ
そう言うと男子は座っている少年を突き飛ばした
少年は半回転し、崩れ落ちた
少年は涙を浮べ微笑ながらこう言った
死ね
少年はその男子の手首を360度ねじった
鈍い音が教室中に響いた
男子は泣き叫んだ
少年はまたさらにねじり続ける
すると教師が止めに入った
少年の手を必死で剥がそうとした
少年は教師のほうに微笑みこう呟いた
邪魔するなよ
そう言って少年は教師を突き飛ばした
教師は不意を突かれた為か
3メートルくらい飛ばされた
するともう二人の教師が駆けつけた
少年は取り押さえられた
原因は男子の挑発から起こったということで
二人の両親共和解に応じた
その後、少年は両親からの暴力を受けた
その暴力は3時間にも及んだ
3時間後
少年は家を追い出されてしまったのだ
少年は何かも失った
信じていた両親も
かつて実現しよう思っていた警察になる夢さえも
少年は14歳
その14歳にはあまりに過酷なネオンの世界に吸い込まれていった
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「お前はまだ辿り着いていない
お前はラジオから流れるブルースを味わっているだけだ
そのブルースの音階さえも壊してしまえ
壊すんだ・・・・・壊してやるんだ・・・・」
少年は飛び起きた
その起きたと同時に公園のベンチから落ちた
少年はまだ震えている
昨日、家を追い出されてから26時間後の朝
少年は夢のことを必死で思い出した
顔は分からないが右手に銃を持ち、左手にビンを持った男
そして、あの言葉を呟いていた
少年は意味不明な夢を見たことを誇り思った
少年自身も何故誇りに思ってしまうかは分からなかったが
今の気持ちを言葉で表すなら「誇り」だった
少年はジーンズの右ポケットにあるタバコとライターを取り出した
少年はタバコを吸うことで自らの心を安定させていた
タバコの本数を数えた
4本だった
少年は舌打ちをして、左ポケットにある小銭を取り出した
678円だった
その金額に満足した少年はタバコに火をつけた
しばらくすると少年は放心状態になった
頭の中でグルグルと多色の円盤が回転している
体中が熱で覆われていく
次第に少年の額から汗が垂れていく
その汗が唇に到達すると少年はその汗を舐めた
塩っぽい汗が舌全体に広がっていくのが分かった
少年は放心状態から解放されると
無償に生き物を壊したいという衝動にかられた
そして、近くの蟻の列をしばらく見続けると
指で一匹づつ潰していった
少年は心の歓喜を確認した
命あるものを壊すことで自分が満たされることに気付いた
少年は蟻を潰すのを止め
ベンチに戻り寝た
午前1時20分
少年は目を覚ました
少年はネオンが夜の太陽に感じた
ネオンがあまりにも美しく思えた
少年は立ち上がり
そのネオンに導かれるように歩いていった
20分くらい歩くと人間で溢れていた
ピンク、イエロー、レッド、ホワイト、ブルーなどなど
ネオンが少年を照らした
少年は空腹であるこに気付いた
そして、近くの店に入っていった
「イメクラ エンジェルファミリー」
そう書かれた風俗店だった
店の男が少年を見てこう言った
あなた未成年ですか?
少年は首を横に振った
すると店の男がニコニコしながら言った
失礼しました 本日はエンジェルファミリーにお越しいただいて
誠に有難う御座います
そういうと少年は待合室に呼ばれた
そして男が女の顔が載ったファイルを渡し
この中から好きな子を選んでくれと言った
少年は意味が分からなかった
ただ自分は飯を食いたいだけなのに
どうして女の子を選ぶのかと
少年は男に言った
俺はただ飯が食いたいだけなんだ
店の男がまたニコニコしながら言った
お食事なら違うお部屋で注文しただければご用意させて頂きます
少年は生まれて一度も外食をいたことがなかった
全ての店で食事が出来ると思い込んでいた
そして、少年は早く飯を食べたくなり
適当に女を選ぼうと思った
そして、少年はファイルを開いた
するとある女に注目した
何処かで見たことのある女だった
少年はよく思い出した
10分くらいしてようやく正体が分かった
中学1年の頃にいた平塚 茜という女子だった
その平塚 茜の顔は
どこか悲しそうで
どこか苦しんでいる顔だった
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2004/04/13(Tue)17:01:20 公開 / ブランケン
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■作者からのメッセージ
読んでくれた方アリガトウございます!
次回も頑張って書きますんで
是非、読んでくださいね