- 『ある古着屋にて』 作者:より子 / 未分類 未分類
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店に入ると中は古着屋特有の狭く、込み入った様子だった。
レジに視線を向けるとバイトのコ、いや古着ファッションのバイトらしきコが商品に値札を取り付けている。
これも言及すれば将来商品になるであろうものであるが。
彼女がこちらを見た。
こちらを見て軽く首をこづく。
彼女の化粧は薄く、頬の赤っぽいチークが印象的だった。
とりあえず手前のジャケットの列から見た。
まず目に付いたのはベルベットのジャケットだった。独特の風貌を持ち、触れがたい雰囲気だった。
隣には、黒、濃い緑、紺のジャケットが並んでいた。
濃い緑のは婦人用だったのだろうか?
その後、コーデュロイ、デニムと続いた。
「どうぞ、気に入ったものがあったら試着してみてください」
いきなり背後から声がした。もう一人店員がいたのだ。
彼女は、彼女だったのだが、黒色の髪と赤く塗られた唇が病的に細く白い体をよりいっそう際立てていた。
悪寒を覚えるほどに。
軽く返事をし、先に進む。
ジーンズのコーナーがありサイズごとにキチンと棚に陳列されてる。
一通り目を這わす。
少し緑みのかかったものに目が留まった。
手に取り全体を広げてみる。
左の腿のあたりに薄く黒っぽいシミを見つけた。
再び全体に目をやりシミとのバランスを見比べる。
………
そのジーンズを棚に戻す。
シャツがかけてある列の前ではカップルが縦の青みがかったグレイと紺のストライプのシャツを手に取り何かを話している。
彼女のほうがこっちに気づく。
「あのコすごく可愛くない?」
それを聞いて男のほうがこっちを見た。
「可愛いいとは思うけどあまり好きじゃないな」
「どうして? あんなに可愛いのに」
「何か汚い気がしてさ」
「なんでー?」
「オレ動物だめなんだよね」
そう、僕は猫。
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2004/04/11(Sun)04:54:23 公開 / より子
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■作者からのメッセージ
はじめまして。初めてなのでとても緊張します。