- 『CHILDREN』 作者:夢幻花 彩 / 未分類 未分類
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原稿用紙約2.1枚
時計が午前十二時になった事を知らせた。辺りはなんの音もせず、即ちそ
れは大人も子供も眠りに着いたことを意味している。
それとも、星も月も見えぬ闇夜が、不気味なほどの静けさを感じさせるの
だろうか。
しかし何にせよこんな夜にしか彼らは姿を見せてはくれない。人間を、い
や、大人を恐れているのだ。
人間とは身勝手で傲慢な生き物である。特に大人ともなると、時に彼ら
の尊き命を奪い去る。
彼らは醜い大人のせいで死んだのだ。
しかし、彼らには出来なかった。憎しみを抱く事も、ましてや大人たちを
呪い殺す事も。ただ彼らは自らの欲望を満たすためだけに帰ってくる。
昔、遊んでいた懐かしきこの世界に。
そろそろ聞こえてくるはずだ。彼らの屈託の無い笑い声が。
なんの穢れも無い。
ある者は夢の中にその姿を見た。またある者は眠りの合間にその声を聴き
何故だか胸を熱くした。
朝日がさしてきた。夜明けだ。
人間たちが起きだす頃にはいつの間にか彼らはあるべき場所へ帰ってしま
っていた。しかし、そこには確かに暖かなぬくもりが広がっているような気
がする。そして、その中にいるとこれからの毎日を大切に生きていかなけれ
ばならないような気持ちになる。
―これは彼らが残してくれたのだろうか。
END
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2004/05/05(Wed)08:16:54 公開 /
夢幻花 彩
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■作者からのメッセージ
一部改正いたしました。
え?彼らが誰かわからない?タイトルをもう一度よくご覧ください。